【42:異世界ファンタジーの系統分け】

 恐らく、いや間違いなく、今のライトノベル業界において、広い意味での異世界ファンタジーが一番人気でしょう。

 それは三十数年来、変わることなく不動の地位を築いているものと考えます。

 誰もが現実世界から離れ(逃げ出し)、違う世界(パラレルワールド含む)を訪れてみたい願望。

 空想にふけるのが精いっぱいですが、そんな思いはこれからも受け継がれていくことでしょう。

 

 カクヨムのカテゴリーでは、漠然と『異世界ファンタジー』とされていますが、もう少し振り分けても良いのではないかと感じます。

 タグがその代わりに近いものと考えますが、中々良い感じのタグが思いつかない作者も少なくないのではないでしょうか?(私は苦手)

 

 要は異世界ファンタジーでも、幾つかの系統を分けるということです。

 これはある一点から始まり、次第に枝分かれをして、幾つかの現在地に到達するものの表現方法です。

 若い人たちにはちょっとわかりにくい表現になるかも知れませんので、身近な例を挙げて説明します。

 バスターミナルがあって、そこを起点に出発するバスの路線が幾つかあるとします。

 全く違う方向へ向かうルートもあれば、途中まで同じ道筋を辿り、あるポイントからわかれるものもあります。

 また経路の途中で別ルートが交錯したり、最終的に同じ終点につくルートもあります。

 車内放送を聞いていると、『〇〇系統』とアナウンスされることもありますので、注意して聞いてみてください。

 そこでの系統とは、『一つの大きな流れ』の意味合いです。

 これと同様に、幾つかの大きな流れに乗る系統分けを行い、ある程度作品を見つけやすくした方が良いと思います。


 それこそライトノベルよりのファンタジーか、小説よりの純ファンタジーか、二つに一つです。

 黎明期である平成時代初頭の作品で言えば、『スレイヤーズ』や『フォーチュンクエスト』であれば前者。逆に『ロードス島戦記』であれば後者。

 同時期には後者のタイプも多く見られましたが、今では消えてしまった作家さんもおられるので、とても残念です。


 これ以上細かくすると、今度は収拾がつかなくなると思われますので、この程度が限界じゃないかなと思います。

 あまりにも作品数が多すぎます。


 余談になりますが、平成時代初期の『ロードス島戦記』は、新作が発表される際、時々『野生時代』の紙面に掲載されていました。

 他の一般小説の中に混ざっても、全く見劣りすることもありませんでした。

 つまりこの作品は小説よりの異世界ファンタジーなのです。

 個人的にはこうした方向性を持つ作品が、また増えていって欲しいと願います。

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