【34:コンテストについての私見 その1】
ちょうど今現在(2022年10月)、第8回カクヨムWEB小説コンテストが行われています。
多くのレーベルが協賛して行われていますが、これは言わば一種にドラフト会議のようなものにも思えます(コンテストの詳細は各自確認してください)。
簡単に言い表すことは出来ませんけれど、幅広いエンターテインメント性を求めているコンテストだと感じました。
やはり商品化した場合、展開の幅が広く、収益が高そうなジャンルに偏ってしまうのは、仕方のないことでしょう。
出版社の視点から考えれば、ビジネスとしてコンテストを開いているわけですから。
もうけを出さなければいけないのです。だから必然的に、現在の売れ筋路線を求めることになるのです。
一方で今回の募集ジャンル以外のジャンルはどうかと言うと、単純に役に立たないのです。
裏を返せば、金にならないジャンルがハッキリと見えてくるコンテストでもあると思いました。
驚いたのはプロ向けの部門が用意されていること。
確かにプロとアマでは文章力や構成力に差が出てくることもあるでしょうし、審査員にも先入観が入り込んで、自然と出来レースの様相になりかねません。
そうしたことを避けるためにも、また疑われないためにも、こうしたすみ分けは良いことと考えます。
ただしおよそどのコンテストも、プロアマ問わずの文言が見られますが、だからと言ってプロが入賞したような話は聞いたこともありません(あるのかも知れませんが)。
そもそも既にプロであるのだから、コンテストに参加する必要性が無いのです。
ここでふと考えました。このタイミングで敢えてプロの部門を作ることの意味をです。
こうした場を設けることで、プロデビューしたことにあぐらをかくことなく、不断の努力を促す狙いがあるのかも知れませんし、ライバル心をあおって良い意味での競い合いを期待しているのかも知れません。
何事も日々精進が大切です。
けれど逆に言えば、プロになっても出版社が望むような作品が書けていないとも取れるわけです。
つまりは初心に戻って出直してこいと、厳しくも応援する意味合いもあるようにも感じています。
一方で既に打ち切りされてしまったプロ作家に対しては、再デビューするチャンスを与えているのではないでしょうか?
KADOKAWAにとって戦力外となったカクヨム系作家さんも、だいぶ増えてきたと思います。
また既に予備軍に入っている作家さんも確実にいるはずです。
例えそうであっても一度はデビューしているのですから、自分で引退を決めない限りはプロ作家のまま。単に次の行き場を探している自由契約選手と一緒です。
ですが自分でよそ様に売り込むことは、非常に困難です。
それこそ、『頼もうっ!!』と道場破りみたいに乗り込むわけにはいきません。
そんな中で設置されたこの部門は、救済措置と言えるほど甘いものではありません。
ですが狭き門であったとしても、再びチャンスが訪れるのならば、本人は発奮するかも知れません。
それによって、それまで無かった思考が動き出すことだってあるわけです。
まさかの覚醒を期待したいのです。
あとこれは推測になりますが、打ち切りの話をされた後、新しい作品でコンテストに参加することを提案されるプロ作家も、ひょっとしたら出てくるのではと。もちろん本当にそうであったとしても、お互いに口外禁止の取り決めがなされています。
いずれにせよこのプロ部門は、トライアウトの意味合いもあると感じています。
コンテストについての私見はまだまだ続きますので、一度ここで切ることにします。
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