「違法なの? 合法なの?」

 子供には分からないことだ。知識があれば、今になって考えれば、「あれって違法だったんだ」と分かる。……たとえば違法視聴だ。


 最近(と言ってもだいぶ前か。十年前? あまりおおごとになっていないだけで、二十年前くらいから注意はあったのかもしれない……、俺が知らないだけかも――だが、知らない、というのは、広報の技術不足だろう)、ネットでの違法視聴が厳しく言われているが、違法であればどうして無理やり、規制をしないのか?


 ――できたらやっている、というのが本音なのだろうけど、どうしてそれをできないシステムにしている? 違法動画が上がった場合に、すぐさま削除できるようなシステムにするべきじゃないのか? クリックしても見られないようにする、などだ。技術不足か人手不足か知らないが、物理的に視聴不可能にしない限り、違法視聴は止まらないだろう。


 大人なら「違法だから見ないでおこう」という考えになるが、子供は違う。

「ダメだって言われているけど、実際にこうして見られるのなら合法なのでは?」と思ってしまう。違法視聴を、合法だと勘違いしてしまうのだ。


 ……俺が証明である。違法視聴という存在自体は知っていた。ただ、それに該当する動画は物理的に見られなくなっていると思い込んでいたのだ。


 だから普通のサイトにアクセスし、動画を再生して――動画が進めば、問題はないのだと……見られるのだから問題ないのか、と思い込んでいた。


 ……違法視聴していた動画はかなり多い。曲であり、アニメであり、アダルト動画であり――そして、貧乏時代の俺の脳内を作ってくれた、魅力的なコンテンツである。


 今の俺があるのは、そのコンテンツたちのおかげだ――感謝がある。だからこそ、金が入った時には、俺を作ってくれたコンテンツには金を払うことにしている。


 DVD、もしくは、動画配信サービスでの買い切り。サブスクサービスにお金を払った上で、健全に視聴するなどだ。

 ……これが罪滅ぼしになるわけではないが、無知な子供の時に視聴したままでは終われない。成長した今の俺で、もう一度、コンテンツを楽しむ――それが俺なりの感謝の形だ。

 違法視聴はそのまま違法だが、しかし知るきっかけではある……。


 見たコンテンツのどれが欠けても、今の俺にはなっていなかった――だから、貧乏人でも楽しめるように、コンテンツは定期的にピックアップされるべきである。


 無料が望ましいが、それが無理なら八割オフなど――恐らくほとんどのサイトでそういう動きがある。俺が訴えるまでもなく、先見の明を持つ経営者は、既に手を打っているのだ。


 それでも知らないものはまだまだたくさんある。


 調べなければ分からない、は、危険だ。



 人の目に映れ。


 自分から動かなければ、知られることはない。

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ミニッツ・ショット 渡貫とゐち @josho

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