圧倒的暴力。ブスのヒロイン、調子に乗ったバカ、暴れる陰キャ。バカの王国の日常を描いた作品でした。
文章がめちゃくちゃ読みやすく、本当に救いと癒やしはほぼないのですが、どこか冷めた主人公の淡々とした語り口調や、時々出てくるユニークな言い回しでちょっとポップになっている治安が悪い学校の日常の一ページ。
骨折とか刃物沙汰が起きても救急車は呼ばない。わかる。
これは僕がカスみたいな学校出身だからわかるー! となるだけで、他の人の感想が気になる作品でもあります。
たくさん読まれて欲しい作品。ホーリーランドや軍鶏好きな人にもオススメ。
とある田舎の中学の教室で起こった、白昼の乱闘事件のお話。
と、そう要約してしまうと本編のいいところを全部取りこぼしちゃう、そんな気がするくらいには強烈な現代もののドラマです。
いやもう、本当にすごかったです……。
文体の異様なカロリーの高さが凄まじい。
猥雑で苛烈で勢いがあって、何か言いようのない熱のようなものを持った文章。
読んでいてこう、ほんのり具合悪くなっちゃうようなところがとても気持ちいいです。文に中(あた)る感覚。
描かれている内容そのものに関しては、もうここで語るのがもったいない!
地獄の底みたいな田舎の、もうどうしようもない子供の人間関係。
その詰み具合と淀みっぷりを描いているのですけれど、そこに炸裂した暴力のもたらす結果がもう……。
カタルシスのようなものは確かにありながら、でも根本的には全然スッとしない、結局は何からも逃れられていないところがとても好きです。
単純な、娯楽作品的な〝都合の良さ〟みたいなもののない感じ。
読んでいて得てしまったカタルシスも、結局は「散々腐されたあれやこれやに(主人公ではなく、読んでいる自分が)迎合した結果」とも取れてしまうこの感覚。素敵……。
冒頭の二行目と、タイトルの意味、そして「10」の使われ方が好きです。
いろいろビリビリきました。とにかく苛烈。刺激の強さがたまらない物語でした。