ラーメン屋と犬、爆弾
怜悧
ラーメン屋と犬、爆弾
カウンター席だけの小さなラーメン屋。
男は一番奥の席に座った。
「味噌ラーメンを一つ。」
男は薄茶色の中折れ帽子を脱ぎ、丁寧に置いた。
薄汚れた窓から、ぼんやりとした街灯の光と犬のうなり声が入ってくる。
「すいませんねえ、うちのワンコが喧しくて…。」
その犬は元々警察犬だったという。
爆弾魔を追い詰めた際、犯人の反撃で両目を失い、引退したそうだ。
「夢に見るのか、時々こうしてうなされてね…。優秀だったみたいなのに、可哀想になあ。」
店主の話に相槌を打ち、男は箸を置いた。
店を出ると、リードに繋がれた犬と目が合った。
見えないはずの目をかっぴらいて、涎を撒き散らしながら吠えている。
「なるほど、確かに優秀な犬らしい。」
ラーメン屋と犬、爆弾 怜悧 @routeroto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます