2025年【月刊 METAL KING 創刊号】-2

〈キング・オブ・メタルへのインタビュー インタビュアー:編集長M〉

 

 ――編集長M(以下、省略):それでは、インタビューさせていただきます。まずは、本日、このような時間を取っていただき、ありがとうございます。


 HARUKI(以下HA):ああ、気にしなくていい。こちらこそ、このような場をもうけていただき、ありがたい。


 KURUMI(以下KU):緊張しなくてもいいよ。ボクらは妖怪でも悪魔でもない。ただの『神の遣い』なのだから。


 ――はあ、神の遣い……ですか? それはいったいどういうことでしょうか?


 KU:ああ、それは気にしなくていいよ。


 ――はあ……。


 HA:(苦笑)


 ――えーと……では、改めまして、まずは『ヘヴィメタル・タワー』について。このライブハウスの構想はいつごろから持たれていましたか?


 HA:そうだな……まあ、全ては必然の元で進んできていることだからな。いつからなのかとか、そういった問題でもないんだが……そうだな、敢えていうとすれば『スティール・ボックス』が廃業したすぐ後、ということになるな。


 ――なるほど。だとすれば、それから十年近くが経過していますね。それだけの時間を要した理由というか……それだけ寝かせてきたわけを聞かせていただけますか。


 KU:それは、たいした問題じゃないよ。


 ――ええと……。


 HA:(苦笑)つまり、そもそも時間の観念が違う、とKURUMIはそういいたいのさ。機が熟せば自ずと開業することになろうし、そうでなければいつまででも……それが百年であろうとも、待つことになるだろう。長年待っていたからといって、それでメタルが死ぬというわけではない。


 KU:そうそう。


 ――ええ……と、それはつまり?


 HA:まあ、わかりやすくいえば、我々のメンバーがまだ揃っていなかった、とそういうことだね。


 ――我々、というと〈キング・オブ・メタル〉のことですか?


 KU:そうよん。


 HA:メタルの神の世界では、十年前のあのときにすでに揃っていたんだが、こちらではボーカルのMITSUKIはまだ十歳に満たない少女だった。だから我々は彼女が大人になり、我々に追いついてくるのを待たなければならなかった。


 ――少女? 彼女……といいますと? 情報では〈キング・オブ・メタル〉のボーカルのMITSUKIは男だとありますが……。


 KU:ああ、今この世界では、そうなっているよね。僕もそうだけど。


 ――??


 HA:(苦笑)


 ――と……ええと、少し腑に落ちない部分はありますが……そういえば〈キング・オブ・メタル〉は少なくとも二〇〇七年以前から活動をしていたはずですが……そうなるとMITSUKIさんは新メンバーということになりますかね……ええと、失礼ですが、KURUMIさんも、年齢的にはその頃にはメンバーではないんですね?


 KU:だね。


 HA:そうだな……あの頃のメンバーは今ではおれだけだな。ま、とはいえ〈キング・オブ・メタル〉は今となってはメタルの神からの伝言を民に伝えるためのツールでしかない。そこにふさわしい人材――ヘヴィメタルウォーリアーであれば、実際には誰でもいい。しかるべき時が来れば、おれもこの席を空けようと思っている。


 ――ええと……ベースのSATSUKIさんは、確か、元々〈シャガールの残像〉というバンドで活躍されていたという情報を得ています。


 HA:そうだな。その〈シャガールの残像〉も、あの頃のゴタゴタで解散して、それでこちらのバンドに入ってもらった。ああ――あの頃は『彼』ではなく『彼女』だったはずだが。


 ――はあ……。


 KU:どうでもいいよね、そんなこと……そうそう、ボクも実は昔〈シャガールの残像〉のファンで、一度ステージに上げてもらったこともあるんだ。いや、あの時は大変だった(笑)


 HA:(苦笑)


 ――大変……というと?


 KU:ほら、アレだよ。でも、アレがあって、SATSUKIもヘヴィメタルウォーリアーに開眼することができたんだから、結果オーライってやつ? それに、彼の弓矢が無かったら、今頃ボクたちもエメラルドドラゴンの餌食になってここにはいなかったのかもねん。……ねえHARUKI?


 HA:ああ、そうだな。


 ――ええと、……なんとコメントしていいのか、悩みますが……。


 HA:気にする必要はない。次にいってくれ。


 KU:そうよん。いずれ分かる……かもよん。


 ――では、少し音楽のことを。HAさんのドラムプレイはどこか独特で、僕の耳をもってしても、誰からの影響という部分が感じられないのですが、そのあたりいかがですか? 参考にされたドラマーなどはいらっしゃいますか?


 HA:いないね。おれがドラムを始めたのは十年ほど前だ。それ以来、ただ神の思し召しのままに。


 ――HARUKIさんは、以前のアルバムのときは、確かギターパートをされてましたよね? ギターからドラムというのは、えらく思い切ったパートチェンジのようにも思いますが……。


 HA:そうか? おれはそうは思わない。ギターであろうとも、ドラムであろうとも、メタルはメタルだ。……逆にメタルをやっていたのに、急に産業ロックへ鞍替えするような行為の方が、よっぽど思い切ったチェンジだと思うけどね。


 ――確かに……それはそうかもしれないですね。では『ヘヴィメタル・タワー』の開業の件ですが、これは近日中とありますが、具体的な日程は決定しているんですか?


 KU:決まってるよん。


 ――それは、何月何日なんでしょう?


 KU:うーん……それは、ヒミツ。


 HA:(苦笑)そのうち、あなたの耳にも入るでだろう。ただ、もうすでにこけら落としのチケットは完売しているからね。


 ――それは残念です。


 HA:まあ、一カ月以内、とだけはいっておこう。


 ――なるほど……それでは……――



 ――ところで『ヘヴィメタル・タワー』の『タワー』というのはいったいどういった意味合いなのでしょうか? スタジオ名にタワーと銘打たれているのは、僕は聞いたことがないのですが。


 KU:それは、アレだよ。あの白い塔だよ。僕らが昇って、屋上でエメラルドドラゴンと戦った、あの白い塔。


 ――??


 HA:(苦笑)


 KU:ああもう、分からないかな。だから、あの塔を模した形で、皆にもヘヴィメタルウォーリアーになってもらおうかと……もちろん、雰囲気だけ、だけどね。


 HA:まあ、理解しなくてもいい。実際に来てもらって、そして感じてもらえれば、それでいいんだ。


 ――はあ。


 HA:ヘヴィメタル症候群のことは、知っているな?


 ――あ……はい。概要だけですが……あの東欧で降った金属の雨、そして各地のライブでの発症。そして極め付けは、日本の大阪での金属の雨……あれが、十年ほど前になるでしょうか? それがあって『スティール・ボックス』が閉鎖するに至る。一方で、その大阪の雨以降、ヘヴィメタル症候群はピタリとその発症が収まった。ヘヴィメタルのライブは各地で開かれ、逆に盛り上がりを見せているにもかかわらず。


 ――ヘヴィメタル症候群のメカニズムに関しては、大学関係の解析の結論として、金属としてのヘヴィメタルに大電圧をかけると、ある波長の電波のようなものが発生し、それが人体に影響を与えることで、皆が気を失ったり、そして失踪するに至る精神状態に陥る、と。しかし、実証実験では確認されず、うやむやになった、と訊いている。


 HA:ああ、事実関係は、そうだ。しかしその本質は別のところにある。


 ――というと?


 KU:あれは、メタルの神が仕組んだことだったんだよ。神はとにかく、その当時のメタル界を憂えていた。そして、真実のメタルを正しく伝えるべく、まずはまがい物を一掃することにした。


 HA:そのためにメタルを禁止させる方向に持っていくことにした。さらに、一からメタルを作り上げるために、ヘヴィメタルウォーリアーを集め始めた。そして、今ようやく、そのメンバーが集結した、といったところだ。


 ――それがつまり〈キング・オブ・メタル〉である、と。そして、東欧の金属の雨から三十年を経てようやく、真実のメタルが産声を上げる、とそういうことですね!


 KU:はは。暑苦しいよ、オッサン。


 HA:こら、失礼だろ(苦笑)


 ――いえ、いいんです。では、次回アルバム、期待しています。あ、ライブもですけれど、CDもリリースするんですよね?


 HA:ああ、そのつもりだ。『シルバーメタル』の再販も同時に行うつもりだ。


 KU:畳み掛けるんだよね。


 HA:ああ。次回作のタイトルは『ヘヴィメタルウォーリアー』となる予定だ。


 ――それはまたなんというか……とにかく期待できるタイトルです!


 KU:ボクらがメタルマスターから、ヘヴィメタルウォーリアーの称号を貰い受けるまでの物語だよ。『エメラルドドラゴンとの死闘』は、ボクが作曲したよん。


 ――もう、曲も全て出来ているんですね?


 HA:もちろん。


 ――期待しています。


 ――では、今後の活動の予定ですが……――

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ヘヴィ・メタル 高丘真介 @s_takaoka

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