読み始めると、まず個性の強い美少女主人公(二二歳)が登場し、キャラクター小説かなと思わせます。舞台は架空の世界。イケメンな騎士と出会い、二人で旅をする中で何度もときめきます。ここまでなら普通の物語なのですが。
序盤を過ぎると、いよいよメインテーマである経済が語られ出します。それも「取り入れてみた」というレベルではなく、完全に経済ものになります。また地政学や戦争、アジアの料理や芸術についても語られており、作者様の知識量の深さと、それをファンタジーに落とし込める力量にただただ驚かされるばかりです。
特に詳しく取り上げられているのが「先物取引」についてです。予備知識のない人でも読み進めるごとに理解が深まるように、丁寧に書かれています。
こんなに実社会の知識を与えてくれる異世界ファンタジーってあるでしょうか。
加えて人物、できごとが、最初から最後までモザイクアートのようにきっちりとはめ込まれているため、終盤ではタネ明かしの爽快感も味わえます。
途中まででも「勉強になるなあ」と感じること間違いなしですが、読み始めたらぜひ最後まで読んでほしい作品です。
読者諸兄姉の諸君、御機嫌よう。
今回御紹介する作品は『異世界ファンタジー』となっているが、モンスターや異能は一切出て来ない。
だが御安心を。
本作の主戦場は、商人達が繰り広げる頭脳戦にあり!
ウェブ小説では、商品売買を主軸とした物語など先ず御目に掛かれないだろう。
その珍しい本作であるが、専門的な知識は一切不要だ。
度量衡の単位は現代のものに置き換え解り易くされているし、ストーリー展開と共に詳しい解説も入る。
恋に恋する女性主人公なので、御堅い雰囲気もまるで無し。
かと云って描写が雑なわけではなく、商人達の繰り広げる闘いは読みごたえたっぷり。
おまけに地政学、宝石などの知識も身に付くとあっては、自らも作品を執筆されている読者諸兄姉にとって大変益があるのではなかろうか。
そして本作を読了後は、一端のコンゲームを描ける様になっている事だろう。
※前回のレビューの続き
よしっ!
サントリーの『白角・期間限定復刻版』の価格調査を終えたぞ。
自分が買った時は確か、税込価格1400円ぐらいだったよな。
それが今じゃ、税込価格3000円以上になっているじゃありませんか!
グッヒヒヒヒヒヒ……これは笑いが止まらん。
確か……近所のコンビニなんかにまだ置いてあった気がする。
それを買い占め一定期間寝かせて値段を吊り上げ、そして転売で大儲けだ~~~~~~~‼
と云う事で、先ずは祝杯を挙げるとしよう!
あ、『白角・期間限定復刻版』、開けちゃった……。
この後、近所のコンビニ、スーパー、ドラッグストア、酒屋全てを回ったが、私が『白角・期間限定復刻版』に出逢う事は終ぞ無かった。
私に商人(転売ヤー)の適正は無い様である。
トホホ……。
「メインセンテンスは経済」そうあらすじの冒頭で語られるこのお話―――。
思わず腰が引けそうになりますが、忌避したくなるお勉強小説ではないことをまずお伝えしなければなりません!
主人公は腕っぷしに自信が有るわけではない、自称(?)美少女な経済観念に明るいリツ。彼女が経済について解説するのかと言えばそうではなく、彼女の行動原理が経済学や地政学に基づいているのです。
彼女が取引しようとする品物がなぜ木材なのか……そんな些細な小道具にもしっかりとした背景が、世界情勢の解説とともに分かり易く記されます。彼女自身もしっかりそれを理解している才女!
けれど商魂逞しいひたすら強かなヒロインかと思えば、商品運搬で狼に襲われ、普通の女の子らしく命の危機に震えます。
けれどそこで頼りになるイケメン護衛、タルワールの登場です!手に汗握る、説得力ある戦闘描写にワクワクします。
経済のお話も勉強になりますが、冒険譚らしい戦闘シーン織り込まれ、ラブ要素も絡んで来る素敵なエンターテインメントになっています!
勉強とエンタメを両立した目から鱗のわくわく体験!是非どうぞ!