第42話補足:相場はどういう時に大きく動くのか?①

 株価にしても、なんにしても、モノの値段というのは「基本」、需給でうごきます。つまり「買い手が買いたいと思う量(需要)」と「売り手が売りたいと思う量(供給)」。この2つによって決まるのです。


 ま、これはこれで当たり前ですよね? 11話の補足で説明した通り、「売り手が売りたいと思う量(供給)」が過剰になれば、商品を売り切らないと在庫が残っちゃうから、野菜とかだと腐っちゃうから安くても売りたくなるのです。ほら、いい例が、スーパーの半額弁当です。捨てるくらいなら安く売っちゃえというあれです。


 逆に、「売り手が売りたいと思う量(供給)」が多いと値段は高くなるのです。これもいい例があって、「クリスマスのフランス料理店」とかです。知ってます? フランス料理店で、いつもはガラガラな癖に、クリスマスの時だけ混むから、メニューも絞って、値段も上げるんですよ! クリスマス特別料理とかいって、ほんと、いやになっちゃいますw (一部偏見を大いに含むw)


 でも、これは、モノが腐るものの場合に限るのです。例えば、金とかどうでしょうか? 今、売らなくても腐らないですよね? そう、そういうものの値段というのは、単純に需給で決まらないのです。だって、売りたいときに売ればいいから、値段が高くなった時に売ればいいから、と人は考えるのです。


 そう、この「人の思想」こそが、金とか、小麦とか、腐らないものの商品(コモディティといいます)に値段に大きく作用するのです。いわゆる「人の思惑」、「将来の値段の読み」がモノの値段を決めていくのです。そして、それが顕著に出るのが「先物取引」なのです。


 例えばこの第42話。ロシア・ウクライナ戦争で実際に起きた小麦価格の値動きを参考にしてます。あと湾岸戦争、アラブの春の時の原油も同じような値動きをしましたね。つまり、市場参加者は、「戦争」によって「小麦」生産量世界8位のウクライナの小麦が取れなくなるから、小麦の値段が将来高くなると予測するし、「戦争」によって「石油」の生産量が落ちるから、石油の値段が高くなると将来予測するのです。となると、将来値段が高くなる前に、今の段階の安い値段で「小麦」や「石油」を買い占めよう。しかし、モノを置く場所がない。それなら「小麦」と「石油」を買う権利だけでも「安く手に入れよう」。この発想こそが、当時の「小麦」、「石油」価格の暴騰を招き、それに伴って現物の商品である「小麦」と「石油」の値段が跳ね上がったのです。ま、世の中、私を含めて、こんなことを考える金の亡者だらけなのです。ほんと、どうしょうもないですよね。グローバル経済ってw


 ちなみに相場には「噂で買って事実で売る」という格言があって、実際には戦争が始まる寸前が一番上がって、戦争が始まると下がるという傾向が多いんですが、今回のお話はわかりやすくこういう形にさせていただきました!


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第43話:先物証書のお話②

https://kakuyomu.jp/works/16817139557982622008/episodes/16817139559169524543

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