第14話補足:攻城戦

 今回は、いわゆる攻城戦について解説していきます。14話で説明した状況は、歴史的にみると西暦70年、ユダヤ属州とローマ帝国の間でおきたエルサレム攻囲戦が近いと思います。ただ大きく違うのはエルサレムを攻めるローマ帝国軍7万、エルサレムを守るユダヤ属州の兵力は6万と、数の上では拮抗していたという点です。


 ただ軍隊というものは数だけでは決まりません。水と食料を断たれた飢えた軍隊というものは、本来の力を発揮することが難しいのです。そのためローマ帝国軍のエルサレム包囲によって補給路断たれた6万のユダヤ属州の兵士は、エルサレム内に孤立し、本来の実力を発揮することができず、ローマ帝国軍に敗北してしまったのです。


 ちなみにこの戦争でエルサレムは炎上し、街のシンボルであった神殿はことごとく破壊され、西壁のみが残るという凄惨なものになりました。そして、この唯一残った西壁こそが、今でいう「嘆きの壁」です。この戦争の後、ユダヤ教徒がエルサレム立ち入りることは禁止されてしまうますが、ミラノ勅令によって4世紀以降、1年に1日だけ、この「嘆きの壁」に立ち入り、ユダヤ人が今は亡き神殿を、国家を嘆くことが許されました。なんというか、この一点だけでも、ユダヤ人の苦難の歴史がしのばれますね。


 さて、この手の籠城戦。歴史を紐解くと世界中に結構あります。日本でいくと豊臣秀吉による水攻めで補給を断った「備中高松城の戦い」とかが有名ですね。結局、兵士の命、人の命は代えがききませんから、正々堂々と戦って自軍の兵士を消耗するより、このように補給路を断ち、自軍の犠牲を少なくするということを考えていた人がたくさんいたことが分りますね。


 また、後半の話は、政治学と呼ばれるカテゴリーに含まれる話です。概説はこの物語の後半でお話する予定です。


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第15話:契約は計画的に

https://kakuyomu.jp/works/16817139557982622008/episodes/16817139558062188814

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