彼女である幼馴染からNTR動画の入ったUSBが送られてきたので、勢いで自分と彼女の両親にコピーして渡したら、翌日両家による動画検証寝取られ家族会議が開催されることになり、空気が死ぬほど地獄です

くろねこどらごん

第1話

『あんっ♡あんっ♡気持ちいいよぉ♡』 


 なんだ、これは。


 とある土曜日。画面の向こうで行われてる行為に目を奪われながら、俺こと初小岩実はつこいわみのるは驚愕していた。


「これ、路夏だよな…間違いなく…」


 俺宛の名前で送られてきたUSBメモリの中にあった、一本の動画。

 怪しいなと思いつつパソコンに差して再生してみると、そこには俺の幼馴染にして彼女である、瀬谷路夏せやろかの姿があったのだ。


『へへっ、どうだ路夏?俺のほうが、実のやつよりずっと気持ちいいだろ?』


 いや、それだけじゃない。路夏を抱きながら熱烈な口付けを交わす男にも見覚えがある。

 宇場津太郎うばつたろう。俺のもうひとりの幼馴染にして、親友であるはずの男が、画面の向こうで俺を蔑みつつ、裸で俺の恋人を抱きしめていた。


『うん♡津太郎くんのほうが、実よりずっとすごいよ♡ねぇ、だからもっとぉ♡』


 本来なら拒絶しなければいけないはずなのに、路夏の瞳にはハートマークが浮かんでおり、そこには俺など映っていない。

 俺の恋人はもはや、親友だと思っていた男に陥落しきっている。

 それが分かってしまった。同時に理解する。


 俺は恋人を寝取られたのだ。それも、長年の親友に。

 俺は恋人に裏切られたのだ。長年の幼馴染で、初恋の相手に。


『へへへっ、おい見てるか実?路夏はお前より、俺のことを選んだみたいだぜ?俺はお前のことが、ずっと嫌いだったんだ。俺の路夏を取りやがってよぉっ!お前から路夏を奪えて清々したぜ!ざまあみやがれ!』


「あ、ああああ…」


 全身が震える。絶望が襲いかかる。

 これが、これが寝取られ。これが、恋人を奪われるということなのか。

 脳が破壊される感覚で、心が壊れそうになる。


「うわああああああああああああ!!!!!」


 絶叫とともに、俺は家を飛び出した。

 もうこれ以上、あの動画を見ていることなんて出来ない。

 俺の心はこの瞬間、粉々に砕けてしまった。きっともう、二度と立ち直ることは出来ないだろう。

 激しい絶望感に襲われながら、俺は近所の家電量販店へと駆け込んだ。


「うわああああああああああああ!!!!!」


 そして勢いのまま、USB売り場に直行する。

 16GBで680円。特売中なだけあって、中々にリーズナブルなお値段だ。

 俺はUSBメモリを手に取ると、2本選んでレジへと向かう。


「ポイントお使いになられますか?」


「あ、現金でお願いします」


「2つで1468円になりまーす」


「あ、2000円からで」


「532円のお返しでーす」


「どうもー」


「あざしたー」


 レジで会計を済まし、俺は再び家へとダッシュした。


「うわああああああああああああ!!!!!」


 そして勢いのまま、購入したばかりのUSBメモリを開封し、2つ目のUSBポートへと突き刺した。

 カリカリと音を出しながら、『リムーバブルドライブに対して行う操作を選んでください』と表示された画面をクリックし、俺はメモリからメモリへのデータ転送を開始した。


「うわああああああああああああ!!!!!」


 すぐに表示される移動表示。

 そこに示されたデータ移動にかかる時間は、約20分。


 早いな


 そう思い、NTR動画の再生時間を見ると、4分30秒と表示されていた。




 本当に、早いな




 そんなことを、俺は思った。

 津太郎は寝取られ動画を撮ることに慣れてなかったのか、冒頭に無音の時間があったし、それ以外にも会話や俺に向けた挑発の言葉を言ってたりもしたから、実際のプレイ時間は、3分以下しかないんじゃないか。あまりにも早すぎる。

 絶えず稼働しているUSBのほうが、やつの腰より軽く5倍以上は長持ちだ。

 これがSSDフラッシュメモリを用いた高速データ転送だったら、おそらく10分そこらで済んでいただろう。

 つまり俺の元親友は、フラッシュより2倍以上の速度の持ち主ということになる。

 そんなことを考えながら、俺はひとつの図式を頭に描いた。



 閃光<<<<(超えられない壁)<<<<親友(笑)



「うわああああああああああああ!!!!!(失笑)」


 フッ、勝ったわ。男として俺は、間違いなく元親友に勝っている。その確信があった。

 寝取られたというのに、全然悔しくないどころか、優越感すら湧いてくるくらいだ。こんな速度で満足できる幼馴染(笑)が、あまりにもチョロすぎるだけだった。


「うわああああああああああああ!!!!!」


 これからは畏敬の念を込めて、超光速粒子タキオンの津太郎と呼んでやろうかと密かに考えてるうちに、データ転送は終わっていた。


「うわああああああああああああ!!!!!」


 すぐに抜き取り操作を行い、2本目のUSBメモリを突き刺して再度データ転送。

 その待ち時間を利用し、対幼馴染特化のジョー○ーメモリと化したコピーメモリを手に取ると、俺はお隣の家へと移動し、チャイムを押す。

 僅かな間を置いて、玄関のドアが開き、路夏のお母さんが姿を見せる。


「あら、実くん。今日はデートじゃなかったの?路夏はまだ帰ってないけど…」


「あ、おばさんこんにちは。これ、中に動画入ってるんで見てください。出来ればおじさんと一緒に見てもらえると助かります」


「?ええ、分かったわ。いつも路夏と仲良くしてくれてありがとね」


「いえいえ、こちらこそ!では用が済んだので帰りますね。それじゃ!」


 会話を交わしUSBを手渡すと、そのまま俺は家へと駆け戻る。


「うわああああああああああああ!!!!!」


 今度は転送の完了した2本目のジョーカーを自分の両親に渡した後、寝取られた悲しみから、部屋へとダッシュし引きこもる。


「うっ!わああああああああああああ!!!!!………ふぅ。よし、寝るか」


 そして寝取られ動画を見てしばらくした後、なんとも言えぬ清々しい気分で、思い切り熟睡したのだった。




 ※




「それではこれより、両家を交えての家族会議を行いたいと思います」 


「   」


 どうしてこうなったんだろう。

 俺は我が家のリビングに集まった両親と路夏の家族、そして津太郎を見ながら、両手で頭を抱えていた。


「司会はこの家の家長であり、実の父親である私が務めさせて頂きますが、よろしいですか?」


「はい、異論ありません」


「よろしくお願いします」


「…………」


 親父の言葉に、路夏の両親であるおじさんとおばさんが頷きを返す。どちらもやたら神妙な顔つきをしており、雰囲気がやけに暗い。沈痛な面持ちであることは見て取れた。

 ちなみに路夏の目は完全に死んでいる。所謂レ○プ目だ。アンアンよがってハートマークまで浮かんでいた動画とは、180度真逆であった。


「ヒ、ヒィィィ…」


 津太郎は津太郎で顔を青くしてガクブル震えてるし、これまた動画の中のイキリっぷりはどこへやら。完全アウェーの空間に、ひどくビビっているようだ。


 ちなみにうちの母親だけは空気を読まず、「キャー!パパ、カッコいいー!凛々しいパパも素敵よー!」なんて言いながら、カメラをパシャパシャ撮ってるはしゃぎっぷりである。

 天然なところのある人だから、なにが起きているのかよく理解していないのかもしれない。

 親父も親父でお袋に乗っかり、何故かドヤ顔してポーズまでキメてる始末だ。まさに似た者夫婦である。

 息子が寝取られたことを、とても真剣に受け止めてるとは思えん。一発シバいたろかこの野郎。


「なんだこのカオス」


 もう一度言う。

 どうしてこうなった。

 まるでさっぱりわからないよ。


「コホン。えー、では早速ですが、本題に入らせて頂きます。うちの息子と瀬谷さんの娘さんである路夏ちゃんが、男女の交際をしていたのは両家の知ることだと思いますが、双方の誤解がないか、念のために一応確認させて頂きます。これは事実で間違いありませんね?」


「はーい♪そうでーす♪」


「はい」


「そうだと思っていました…これまでは…」


「…………はい」


「えっと、はいって答えりゃいいのか…?てか親父。この流れなんなのマジで」


 訳が分からず親父に問うが、親父は俺に手のひらを向けて静止してくる。


「余計なことは言わなくていい。お前の気持ちは分かってるつもりだ。全部俺達に任せとけ。まったく羨ま…ゴホン。では確認を取れましたので、次に移ります。両家公認のもと、二人は付き合っていたわけですが…瀬谷さん。お宅の娘さんである路夏ちゃんがこの場にいる宇場津太郎くんと浮気をしていた。これは事実で間違いないでしょうか?」


「間違いありません…ここに、証拠の動画があります」


 そう言っておじさんが取り出したのは、一本のUSBメモリ。

 それは、俺が昨日勢いでおばさんに手渡したメモリと、そっくり同じものだった。


「私も同様のものを、息子から渡されました。拝見させて頂きましたが…いやはやもう、大変お世話に…いえ、息子の気持ちを考えると、寝取られ最高!…いやいや、なんと言っていいか…」


「本当に申し訳ございません…!」


 というか、今思い出したわ。

 寝取られて脳が破壊された衝撃で、勢いに任せて親連中にNTR動画配布したんだったわ。

 すっかり忘れてましたわアハハハハ。


「アババババ」


 つまりこの場が出来た原因、俺やん。


 いや、元々悪いのは浮気した幼馴染達だけど、それはともかく親バレかましたの、俺やん。


「まさかこの子が浮気するなんて…あんなに仲が良くて、小さい頃はよく、『将来は絶対実くんと結婚するの!』って嬉しそうに言ってたのに…!う、ううぅぅ…」


「母さん、気持ちは分かるが落ち着こう。一番辛いのは、娘に浮気された実くんなんだ。彼は自分も辛いだろうに、その気持ちを押し殺して、私達に事実を伝えてくれた。勇気を出して、助けを求めてきた彼の覚悟を、大人である我々は汲まないといけない。そのために、今日は恥を偲んでこの場を借りたんだろう?」


「分かってる!分かってるけど…あまりにも自分が、路夏のしたことが情けなくて…!私の育て方が悪かったせいで、こんな、浮気するうえ動画まで撮って恋人を傷付けるような、恥知らずの娘に…!昔はあんなにいい子だったはずなのに…!」


「母さん…」


「ごめんなさい実くん!私の育て方が悪かったせいで、貴方を傷付けてしまって…!うちの娘が、本当にごめんなさい…!」



 いやいや。



 いやいやいやいや。



 いやいやいやいやいやいやいやいや。



 違うッス。全然違うッス。それは解釈違いッス。

 そんな気全然、これっぽっちもなかったッス。


 むしろすいませんッス。娘さんのNTR動画勢いで渡しちゃったせいで、こんな空気作っちゃってマジすみませんッス。そんな悲壮感出されたら居た堪れないッス。

 もはやここは地獄ッス。今すぐ逃げ出しちゃダメッスか?


「コロシテ…コロシテ…」


 いや路夏さんや、殺して欲しいのは俺もなんだが???

 なにお前だけ、現実から逃げようとしてんの?レ○プ目で現実逃避しようたって、そうはいかんからな。

 元はいえばお前が原因なんだから、お前と津太郎だけは、この地獄を受け入れろや!


 その時だった。


『あんっ♡あんっ♡津太郎くぅん♡気持ちいいよぉ♡』 


『!!!???』


 突如リビングに、女の子の喘ぎ声が爆音で響き渡ったのだ。


『へへっ、どうだ路夏?俺のほうが、実のやつよりずっと気持ちいいだろ?』


『うん♡津太郎くんのほうが、実よりずっとすごいよ♡ねぇ、だからもっとぉ♡』


「ほへー、撮影しながらこんなことまで出来るんだ。最近の子は進んでるわねぇ」


「ちょっ、お袋!?なにやってんの!?」


 見るとうちの母親が、なにやらタブレットを操作して、幼馴染達主演のNTR動画を鑑賞してるではないか。


「あぁこれ?家族会議するっていうから、せっかくだし動画をタブレットに移しといたの。パソコンよりも、こっちの方が見やすいでしょ?」


「見やすいとかそういう問題じゃねーよ!再生すんなや!ただでさえ地獄みたいな空気になってるのに、さらに焼き尽くすつもりなのか!?」


「ねぇ、幼馴染ちゃん。これ、本気で喘いでるの?演技とかじゃなくて」


「オイコラ待て!!人の話を聞いてくれ!!??」


 静止する俺を無視して、路夏にプレイ内容が演技かどうかを問いかけるお袋。

 昔から空気を読めない人だとは思っていたが、ここに至ってなんてことを聞くんだ。

 幼馴染が完全に死んだ目をしてるというのに、追い打ちをかけるとはアンタは鬼か。

 流石に路夏も口ごもっていたが、おばさんの「路夏、答えなさい」という、鶴の一声というにはあまりにもドスの利きまくった閻魔様のような命令により、渋々と口を開く。


「……まぁ、その。はい、そうです……」


「じゃあ、ちょっとここで再現してみてくれない?参考にさせてくれないかしら」



 またすげぇこと言い出したぞ、おい。



「私、パパに喘いでる時の声が汚くて萎えるってよく言われるから、幼馴染ちゃんみたいに綺麗な声で喘ぎたいのよねぇ。そうすればパパもヤる気が出て、実にも弟か妹を作ってあげれるかもしれないし」


 やめろ。やめてくれ。

 息子の前で、親の情事の話なんかしないでくれ。

 ガキの頃ならいざ知らず、この歳になりゃ子供の作り方だって分かってるんやぞ?

 敢えて目をそらしてるというのに、生々しいことを言わないでくれ。

 親の口から聞きたくない言葉No.1まであるんだが。寝取られを遥かに超えるトラウマを、アンタは息子に与えるつもりか?


「ねぇ、ダメ?」


「えっと、さ、さすがにそれは…」


 路夏は路夏でドン引きしてるし、お袋の戯言なんてさっさと流して、一刻も早く次の話にいってほしい。

 そう願っていたのだが…


「路夏、やりなさい」


 部屋に響いたのは、またもや路夏のおばさんの一言だった。

 てか、怖い。声めっちゃ冷たかったし。

 津太郎や親父、さらには隣に座ってるおじさんまでもがガチビビリしてるし、なんならおばさんの目自体が座ってる。


「で、でも…」


「やりなさいと言ったでしょ。それともなに?NTR動画撮影なんて恥の極みみたいなことは出来るのに、両親の前で喘ぐことは出来ないって言うの?」


 そりゃそうだろ。できねーよ普通。


 これは間違いなく、この場にいる男性陣全員の心の声であったことだろう。

 だが、所詮心の声は心の声。口に出さなければ、誰かに届くはずもない。

 そしてこの場には、口に出せる勇気ある男は存在しなかった。

 全員が助けを求める路夏の視線から目を逸らし、この地獄の時が一刻も早く過ぎることをただ願っていた。


「う、ううぅぅ……」


「路夏、早くしなさい。あまり皆を待たせないで。皆、貴方が喘ぐのを待ってるのよ」


 いや、全然待ってないッスおばさん。

 もはや地獄の空気ッス。マジで勘弁してください。

 そう言いたかったが、これもワクワクしながら待ってるのは、うちのお袋ただひとりだ。言えるはずがない。


「ワクワク♪ワクワク♪楽しみだわぁ。あ、パパ。言っておくけど、興奮なんてしちゃダメよ。パパを興奮させるのは、ママだけなんだからね!」


 興奮なんて出来ねーよ。出来たらソイツは異常性癖待ったなしだ。俺らはまともなんだよ。だからこそ辛いんだが。いっそ死にてぇ。

 そんな中、ようやく覚悟が決まったのか、目に涙を浮かべながら、路夏が口を開いた。


「あんっ!あんっ!気持ちいいよぉ!もっと!もっとぉっ!…どうですおばさん!!これでいいですか!!??」


 喘ぎどころかヤケクソ全開の声だったが、とにかく路夏は言い切った。

 両家と浮気相手が見守る中での羞恥プレイをこなした幼馴染の勇気に、寝取られたことも忘れ、俺は思わず拍手しかけたのだが…


「うーん、なんか全然気持ち良さそうじゃなくない?動画と声の調子とか全然違うし、もう一度やってもらえないかしら?」


『!!??』


 なにいってんだこの人。

 いやマジでなにいってんだこの人!?

 正気か!?いや正気というか天然なんだが、とにかく正気か!!??


「え、いや、あの…」


「もう一回!ね、私達の仲じゃない?こういうこと聞ける機会なんて中々ないし、おばさんを助けると思って。ね?」


 いや、助けてもらいたいのは俺達の方なんだが。

 そう言いたかったが、やはり言えなかった。

 親父は親父で路夏のおじさんによる「アンタの奥さんなに言ってんですか!早く止めてくださいよ!」という必死に懇願する視線を、体を震わせながらそらしてるし、津太郎なんてもう俯いている。存在感を消して地蔵化する気満々だ。

 女性陣だけで場が進行していき、もはや男には手を出せない領域に突入していた。


「路夏、やりなさい」


「う、ううぅぅぅ……」


「そういえば思ったんだけど、この動画やけに短いわよね。冒頭除けば行為自体3分くらいしかしてないし……ねぇ津太郎くん、貴方、やけに早くないかしら?」



 その言葉に、今度こそ時が止まった。



「え…早、え…?」


「うん、やっぱり早いわよ。すっごく早い。早すぎるわよこれ。こんなに早い人、私見たことないかも。あ、勿論そっちの動画でよ?私、パパ一筋だもん。パパも誤解しないでね?」


 誤解もクソも、それどころじゃねーよ。

 見ろよ、俺の元親友。めちゃくちゃ狼狽えてんぞ。

 どうやら早い自覚はなかったらしいが、だからこそ居た堪れないんだが。


「俺が、早い…?俺がクィックリー…?早いのか俺。な、なぁ噓だろ実。俺って長く持ってるほうか、むしろ普通くらいだろ?そうだと言ってくれ!?」


 おい、やめろ。聞くな。答えづらいだろうが。

 俺はお袋と違って空気を読めるんだよ。そりゃ早いのは事実だが、だからこそ言えるはずねーだろーがよォ!!!

 だが、答えないということは、世間一般的にはYESと捉えられることがほとんどだ。

 何も言わず俯く俺を見て津太郎も察したらしく、「そんな…」と一言漏らすと、燃え尽きたように真っ白になっていた。完全に魂が抜けきっている。


(なんだこれ…なんだこれ…)


 図らずとも、所謂ざまぁを果たした形になったわけだが、全くもって嬉しくない。

 こんな虚しいざまぁが、かつてあっただろうか。同じ男として、あまりにも痛ましい結末だった。


「あんっ♡あんっ♡気持ちいいよぉ♡もっと♡もっとぉっ♡」


「うん、いい感じ!参考になるわぁ。あ、もう一声お願い!もっとハートマーク増やす感じで!」


「路夏、やりなさい」


「あんっ♡♡♡あんっ♡♡♡気持ちいいよぉ♡♡♡もっと♡♡♡もっとぉっ♡♡♡もうやだぁっ♡♡♡許してよぉ♡♡♡私が悪かったから、もう勘弁してぇ♡♡♡」


 完全に吹っ切れた幼馴染の喘ぎ声がリビングに響く中、俺は思わず天を仰ぐ。


「寝取られって、誰も幸せにならないんだなぁ…」


 カオス極まる状況の中、俺はヤバ過ぎる現実から目をそらし、そう結論付けるのだった。





 ちなみに後日。


「あっ♡実♡語尾にハートマークついて戻らなくなっちゃったんだけど、どうしよう♡」


「   」


 こんな相談を幼馴染から持ちかけられ、罪悪感から手助けしたらまた母親達を巻き込んだ家族会議が開かれることになるのだが、それはまた別の話である。

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彼女である幼馴染からNTR動画の入ったUSBが送られてきたので、勢いで自分と彼女の両親にコピーして渡したら、翌日両家による動画検証寝取られ家族会議が開催されることになり、空気が死ぬほど地獄です くろねこどらごん @dragon1250

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