歩く——『虎はなにゆえ強いと思う? もともと強いからよ』とは言いますがそれにもちゃんと理由があります3

 では本題。

 屋外で、日常の中で、毎日無理なく身体を鍛えるには歩くんです。


 ただ歩くだけです。

 こう書くと何やら詐欺師扱いされそうですが違うんです。ブラウザバックも【戻る】もまだ早い。


 ここでちょいと人体構造の話をします。前章でも少し書いたことですが——。

 人間ってのは、体重の大部分を骨で支えています。


 座るかあぐらをかいて、徐々に身体を前傾姿勢にしていくと、ある地点で止まりますよね? 背中が弓なりになるって状態です。関節には可動域があるからそれ以上は曲がりようがありません。


 どんなに重たい上半身でも、背中の骨と関節が支えてくれるのです。

 で、これは脚でも同じです。


 人間が普通に直立した時に、どこがその体重を支えているのか?

 それはかかとです。


 人間の踵は人体のほぼ全ての体重を支えている、とても重要な骨なのです。だから踵の骨ってスゴく固いですよね。格闘技でも踵落としってかなりエグい威力があります。


 で、ここでちょっと犬なんかを観察してほしいんですよ。

 英語でそういう部分を【ドッグレッグ】っていうから犬を例に出しますけど、これはネコ科の動物でも同じです。


 ぱっと見、犬の膝が人間とは逆方向に曲がっているように見えるあれ……アレって膝じゃないんですよね。

 踵なんですよね。


 じゃあ犬が地面に接地させてるあの部分ってなんなんだよ、とお思いでしょう。

 あれはつま先なんですよ。


 つまり、犬や猫なんかの動物は常につま先立ちをしているわけです。で膝のようで膝じゃない足首が【ドッグレッグ】で、その上には普通に(人間と同じ方向に曲がる)膝があります。

(このドッグレッグってたしかゴルフ用語だったと思うんで、実際に犬の足首をなんというのかは知りません)


 でみなさん、ちょっとつま先立ちをしてみりゃわかるんですが——。

 これ慣れないと結構キツいんですよ。


 だって人間は踵という【骨】で体重を支えるのが普通だから。

 踵を使わずに立つってことは【筋肉でほぼ全体重を支える】ってことなんです。


 まあ最初はバランスを取れずにふらつくこともあると思います。なのでまずは室内で慣らしていきましょう。つま先立ちのまま室内生活が不自由しなくなってきたら、そこで初めて屋外でもつま先立ちで行きましょう。


 なお、ここで言う【つま先立ち】って、なにも絶対に踵を付けちゃいけないってわけじゃありません。そんな強烈な縛りを入れたらそれこそ義務や強制になっちまいますからね。


 そこまで厳密にやらないでもいいんです。バランスを崩しそうな時は普通に踵を付けるべきです。靴下の踵部分が床に擦れるくらいも全然オッケーです。


 目的は、日常の中へ自然とトレーニングを溶け込ませることなんですから。自然にできないうちに無理をしても意味はありません。

 だからたとえば階段の上り下りでは踵をきちんと付けるとか、そういう安全対策をするのが大事です。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る