座る——昔のサムライはじじいになっても姿勢のいい人が多かった。なぜか?4

 で、最初にあった【サムライのじいさんはなぜ姿勢が良いのか?】って部分ですが。

 これはもうおわかりですね。


 刀を振るうのに最も重要な筋肉は背中。

 背中を自然と鍛えるのには、ただ姿勢良く座っていればいい。


 だからサムライってのは正座でもあぐらでも、いつも背筋をピンと伸ばして座っていたのです。

 毎日数時間だらしない姿勢で座ったあとに、毎日数時間背筋を鍛えるよりは、ただ毎日数時間姿勢良く座っているだけの方が効率イイですからね。


 人間ってのは毎日意識的に、定期的に運動しなけりゃいけないってなると、どうしても億劫おっくうになっちまう生き物です。


 ですが【ただ座るだけ】で運動になるとなればどうでしょう?

 最初の方は意識して背筋を伸ばして座っているかもしれませんが、【ただ座るだけ】ってのはやがて習慣になります。そうなれば意識なんてすることもありません。面倒くさいなんて思うことすらありません。


 その人にとっては【ただ座るだけ】。

 それだけで相当量の運動をこなしていることになるのです。


 そして身についた筋肉が、勝手にカロリーを消費してくれる。

 いつの間にやら贅肉とは無縁のボディを手に入れているのです。


 ああ念のために言っときますが、体脂肪率10パーセント台ってのは健康体ですからね?

『贅肉は敵だ!』

 とばかりに身体を絞りにしぼって体脂肪率ひとケタとかにしちまうと、それはそれで健康面では危険です。

 過ぎたるは及ばざるがごとし。何事もほどほどに。


 人体工学も筋トレ理論もなかった戦国や江戸の時代——サムライたちはこのことを本能的に感じ取っていたから、日々姿勢良く座っていたんじゃないでしょうか。


 まあたしかにこれだけだと重い刀を振るうには筋力が足りないかもしれません。

 ですが我らは現代の一般人。

 ンな重い槍や大太刀を振るう必要はなく、米俵を担ぐ必要もありません。


 日々の生活で健康に暮らせるレベルまで、筋肉が付いてくれればそれでいいのです。

 これ以上のレベル——ボディビルダーを目指したいのならそれ相応のトレーニングをどうぞ。苦難の道があなたを待っています。


 本作はあくまで【一般人】として、健康的な肉体を手に入れるにはどうすればいいかを考えるものです。


 苦労せず、楽して健康になるにはどうすればいいのか?

 ソファにだらけず、椅子の背もたれに寄りかからず、毎日姿勢良く座ってりゃいいのです。


 それだけです。

 なにも難しいことないでしょう?

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