エピローグ

悟と知恵は約束を書き換えた。


“互いに相手を手放さない事”


それと


“隠し事をしない”


というものだった。


とても単純で、でも彼女たちらしい約束ルールだった。


その場に居合わせた知恵の親友こと、青凪あおなぎ 知夏ちなつと図書室の後輩こと、蒲原かんばら 史緒しおの二人に立ち会ってもらった。


知恵のご両親に無事に仲直りし、やり直す旨を伝えると二人は一安心したように知恵と悟を抱きしめた。


悟の両親の元にお見舞いに行くと、だいぶ元気になった二人がいた。


そして母が思い出したように言う。


「悟。二人の間に隠し事はしちゃだめだよ!」


悟と知恵は顔を見合わせて、少しの間を置いてから笑い、


「母さん、安心して。その件はもう済んだんだよ。」


と言った。


混乱している悟の母を見て知恵も「ありがとうございます。」と告げた。


思い返してみれば悟のご両親が事故にあってしまったから起きた出来事なのかもしれない。


ひとつの出来事が、運命を変えているのかもしれない。


だからきっと二人にはまだ試練が残っているのだろう。その試練が必ずいい方向に進むものとは限らない。


それでも歩み寄ると決めた二人は、まるで

――繋がれた線香花火のように支え合いながら、咲続けるのであった。――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君が好きだから... 鈴風一希 @suzukazekazuki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ