私と貴女のココロのスキマ

輝波明

第1話「馴れ初め」

私には最愛の妹がいる。

彼女の名前は虎島詩織とらじましおり

苗字が違うし血も繋がってないけどそんなのは関係ない。

かわいい黒縁のメガネをしてて優しい目つきの左目の下と大きくて柔らかくていやらしいみぎの乳房にほくろがあって、ちょっと茶髪ぽいサラサラの黒髪をナチュラルショートにしてて、お尻も脚もむちむちしててぎゅーって抱きついても痛くないし気持ちいい。

唇もぷっくりしてて優しい味がする。

そんな世界で一番大事な人に出会ったのは中学の時だった。

私はクラスで話す人はたくさんいたけどそれは表面上の付き合いだけで体育祭の打ち上げとかぐらいしかクラスメートと遊びに出かけることはなかった。

だから帰る時はいつも一人。

その日はちょっとしんどかったから本当はいけないけど通学路を外れて下校中の生徒たちの話し声だとか人の存在から逃げていた。

いつもは通らない滑り台やブランコだけじゃなく、シーソーやトイレ(壁は品のない落書きや不純異性交友目的の連絡先だらけだけど)、さらには砂場が二つある広い公園に足を運んだ。

そこの正門ぽいとこから見て左から2番目の

ブランコにうちのクラスの女子が俯いて座っているのが見えた。

「えーっと虎島さん、だっけ?隣りいいかな。」

そう声をかけて座ると私は徐にブランコを足が浮かない程度に軽く漕ぎ始める。

すると詩織ちゃんの方から話しかけてくれた。

「えっえっと…上条かみじょうさん?」

未来みらいちゃんでいいよ」

「じゃあみ、未来さ…ちゃん、私が今ここにいることは両親には内緒にしてもらっていいですか?」

「いいけど、なんで?」

「そっ、それは…」

「そっか、言いたくないか。じゃいいよ黙ってて、私も寄り道したことバレちゃうし。」

「あっあの私家に帰りたく無いんです…家に帰ったらまた怒られる…」

「ん?何か悪いことしちゃったの?私は怒らないから話してみて?そしたらちょっとは気持ちが楽になるかもよ?」

ブランコを止めて彼女の目から今にも涙がこぼれ落ちそうなのをみて小刻みに震える背中をさすりながら話を聞いてあげた。

「分からないけど…何か私が悪いことしてるから…」

「ん?分からないって?」

「分かんないけどパパがいろんなところ言って怒鳴りながら叩いたり蹴ったりしてくるんです…ママもめちゃくちゃな量の勉強をさせてくるし…晩ご飯の時間までに終わらないとご飯も食べさせてくれない…でも全部私が悪いんですよ…私がいい子じゃないから…」

子供みたいに泣きじゃくる詩織ちゃんを抱き寄せて頭を撫でながら私は優しく諭してあげた。

「ううん、詩織ちゃんは悪い子なんなじゃないよ。定期テストでもいっつも20位以内だし一生懸命授業も聞いて学校の活動も頑張ってる。それに私覚えてるよ?この間先生にノートの取り方上手って褒められてるとこ。」

きっとこんなに誰かに褒められたの始めてだったんだろう。私にぎゅって抱きついて顔が鼻水と涙でぐしゃぐしゃになるぐらい泣いてた。

うち、来る?」

「へ?」

ちょっと間の抜けた反応だったけど今思えばこの返事もちっちゃい子みたいで本当にかわいいかった。

「もう逃げちゃいなよ、そこにいて安心出来ないならもうそこは詩織ちゃんのお家じゃないよ。」

「うん…」

「じゃ、行こっか。」

そう言って手を繋ぎながら私は自分の、これから二人の家になる場所に向かって歩き始めた。

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