第5話:思い
「……は?」
俺は目の前の得意属性の結果をみて唖然とした。
そう。俺の得意属性は無属性だったのだ。
「スグル〜!」
遠くからシンスケが走りながら呼んでいる。
「スグルはなんだった?」
「…無属性だった…」
「…そ、そうだったんだ。」
俺は何属性だった?と一喜一憂みんながしている中この世の終わりのような顔をしていた。
「ま、まぁ無属性でもきっと頑張ればどうにかなると思うよ!きっと!!」
「そうだな。」
「そう。無属性でも私がいればスグルは死なない。」
シンスケの背中からぴょこっとハルカが顔を出してきた。
「うわ!!!」
俺とシンスケは急に声をかけられたから驚いてしまった。
「俺はお前たちに頼ってばかりじゃダメなんだ。」
俺は両親やユウトさんを殺してしまった責任をいまだに感じている。
2人ともはそんなに責任を感じなくて良いと言っているが自分が非力だったから死んでしまったと思うと責任を感じずにはいられない。
「何度も言うけれど殺してしまったという責任を感じるのはわかる。けれどそれをいつまでも背負い続けてもなにも変わらない。それに3人で生きていこうと言ったのは他でもないあなた。なら一度でも良いから私達を頼るべきだと私は思う。」
「で、でも…」
「あなたは1人じゃない。例え両親や恩人を失っていても幼馴染の私たちがいる。私はそうゆうことを言いたい。」
「そうだよ!スグルは1人じゃない!僕たちがいるじゃないか!僕は運動が苦手だけどいないよりかはマシだと思うし、その方が気も楽になると思うよ!!」
まるで納得のいく返事をしないと話さないと言わんばかりにハルカとシンスケは俺のことを励ましてくれている。
「そうだな。俺たちはいつも一緒だ。これから進む道はとても困難な道かもしれない。でも!俺は今日、お前たちと一緒に進むことに決めた!今までも、これからも、ずっと一緒だ!」
俺の中で何かが吹っ切れた感じがした。
「あれ?ちょっ、ちょっとスグル!」
シンスケが驚いた表情で俺のことを呼んだ。
「どうした?って、えええーーー!!」
そう。得意属性が示されるその水晶にはさっきまで何も色がなかったのに紅く染まっていた。
「火か?この色は?」
火が得意属性だと思ったがどうやら違ったらしい。
「多分違うと思う。ユウヤ君の得意属性は火を示していたけど今回のは少し色が違う。光っぽい色もしているし確かに火のようにも見える。」
「ただ、私たちがわかるのはとても心地のいい色というだけ。」
今、多分みんなが思っていることは一緒だと思う。
とても心が温かくなる。懐かしいと思うような心地よい色。
「とりあえず、教官に聞いてみようよ!僕、呼んでくる!」
そうシンスケが走りながら言った。
「ねぇ、スグル。」
「ん?どうした?ハルカ?」
「スグルは、私たちのことをどう思っているの?」
「…どう思っているって聞かれても、家族であり、唯一の理解者ってところかな?どっちみちとても大切で守らなければならない存在だよ。」
「…そう。」
「そういうハルカはどうなんだ?」
「私は……」
暫くの沈黙が続いた後、ハルカはおもい口を開いた。
「私も同じような感じ。とても大切な人。」
「そっか。やっぱそうだよな!これからも一緒に頑張ろうな!!」
「スグル〜!!教官、連れて来たよー!!」
教官を連れてシンスケが帰ってきた。
「見たこともない色がでたと田中訓練兵から聞いたのだがそれは本当か?佐藤訓練兵。」
「はいっ、これを見てください!」
そう言って紅く染まった水晶を見せた。
「確かに。火のようにも光のようにも見える。ただ、なぜか…懐かしいな。」
教官も俺たちと同じことを感じたらしい。
「今の状態じゃ判断は困難だ!!だが、このまま曖昧に済ますわけにはいかん!!新種として俺は本部に提出するとしよう!!結果はまた後日伝える!!」
すぐいつもの暑苦しい声色に戻りそう言った。
「今日はもう遅い!!寮に戻りゆっくりと体を休めると良い!!」
「はっ!!」
俺たちは返事をして寮に戻った。
「じゃあ、私はここで。」
「おう!また明日な!!」
「じゃあね!ハルカ!」
ハルカとは寮が違うからここで別れた。
シンスケと一緒に寮に戻るとすぐさま俺たちの周りに人が集まってきた。
「新種の属性って本当か!?スグル!?」
また長い夜になりそうだな。そう思った俺だった。
アラクネ!登場人物紹介!
名前:中島ハルカ
年齢:10歳
血液型:AB
特徴:7歳の時にスグルに助けられてから死ぬまでスグルに尽くすと決めた。スグルの言うことを全面的に信用する。自分が間違っていると思ったことは誰であろうと指摘する。ユウヤに惚れられている。
ワラウトヤッパカワイイナ!!!
化け物が蔓延るこの世界で ばらぃろ @BaRaIRo
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