登場人物紹介から噎せ返るような個性が充満する中、淡々と始まる推理劇。混沌を御期待ならそのお眼鏡に適う作品ではあるが、二千文字弱という掌編程度の尺の中で惜しみなく展開される数々のキディングの応酬は翻弄されるがままに終始しており、全体の文章と流れのメリハリのなさがやや気になったか。