第4話 ”魔物”はどこに?
兵士の名前はリーバァと言うらしい。
それから俺は万が一の場合に護身術を習うことになった。
リーバァは体術も習得していることがわかり、俺が習うのは護身術であるよりも体術に近いと思う。
「さて、この4日間お疲れ様でした、また3日後お会いしましょう」
「はい」
初めての休みになった。4日間屋敷の一か所に泊まりながらリーバァから教わり、2日間はオンボロ離れに戻ることになっている。
リーバァの姿が見えない位置まで歩き、そこから”鬼化”を使い、離れに着く。
そしてあることに気付く。
離れの木の入り口ですら取っ手が壊れかけているなどとボロボロであった。離れにいなかった4日間に何かがおきたということだ。ただでさえボロボロの離れをさらに悪化させていることにする意味を考えさせられるが、とりあいず中の様子を見よう。
カミルは離れの中にと入っていった。
(にしても中もやられているか~)
離れの壁や屋根など一部が破壊されているようだった。屋根に関したら外から見ると一見大丈夫そうに見えたが入ると空が見えていた。
(まぁいい、イノシシでも狩ってくるか)
カミルは離れから出て森に向かっていった。
(ん?)
森に対して違和感を覚えた。でも具体的にはわからないのでおとなしくイノシシを探し始めた。
(え?)
全然イノシシがいないのだ。普段なら10分もあれば見つかるはずなのに。イノシシだけじゃない。この森にいた生物が全然見当たらない。
(そういえば)
九の伝説録~その一では主人公の村が何者かに襲われて、犯人を倒すことが目的なのだがその過程で村の周辺の森の生物がいなくなるという現象がおきた。その現象と今この森で起きていることが酷似している。
その現象の原因は”魔物”が現れたことによる環境破壊だ。
この世界の生物には本能で”魔物”がわかるようになっている。というゲーム設定だ。
つまりこの森の生物たちは”魔物”が現れ、本能的に逃げ出したということになる。
しかしその肝心の”魔物”が見渡らない。九の伝説録では”魔物”は主人公には倒せないようにレベルがものすごく高い。しかしそれは主人公に限ったことであり、この森に"魔物"がいても強さは未知数になる。弱い可能性もあればその逆もありえる。
それにしても森の端っこまで行ったのに”魔物”が一向に見当たらない。
”魔物”とイノシシを探すのを諦めて離れに戻っていくことにした。
そして離れの地下にカミルは向かった。この地下は奇跡的に被害を受けていなかった。
この六年間をただ浪費したわけではない。冷蔵庫制作をしていたのだ。
最初の頃は性能ゴミだったが何回も改良をしていき、前世の頃と変わらないほどの性能を手に入れた。電気の変わりになっているのは魔鉱石という鉱石だ。九の伝説録でもこの鉱石にはお世話になった。金策として。とまぁ、魔鉱石は魔力を帯びた鉱石で爆発しやすい鉱石として有名で別名爆弾鉱石と言われている。なので採掘がうまくいかず希少性が高くなり値段も高くなるのだ。
もちろん冷蔵庫に入れているのは今までに狩ってきた動物の肉だ。一部をとって離れの外に出た。
そこで焚火をすることにした。そしてお肉をそのまま焼くことにした。
今のところこれ以外に食べる方法がないため仕方ない、そう割り切り少し焼きすぎた肉を食うのだった。
ゲーム世界の亡国する第三王子に転生した。 隴前 @rousama
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