恋人#6

 このクラスは18人。元々は20人だったはずなのだが、今は北海くん、香ちゃんがいなくなり、少し、いやとても寂しい。最近は前のような重い空気はなくなり、皆が楽しい中学校生活を送れていた。でもまた、その空気は悪い空気の漂う空間になり始め、それは密度を大きくし、空気を重くし始めた。



「山梨、ちょっといいか?、秋田も」

私と秋田くんは[山口 サン]と言うクラスメイトに呼ばれた。

「ええ、何かしら?」

「何かしらって、、お嬢さんかよ。」

「かまわないでしょ。」

私は山口くんのツッコミを受け、秋田くんに同意を求めるように促す。


「まぁまぁ、で?何のようだ?」

 早速本題に入ろうと秋田くんが山口くんの肩を持つ。

「後でお前らに話があるんだがいいか?エホッ、、、エホッ、、」

「ああ。」

「大丈夫よ。」

「てか呪いってまじなんだな。」

「、、、、、、、」


 沈黙が続いた後、秋田くんが山口くんを睨む。

「ごめんごめん、、そうじゃなくて、」

 そう言ってそそくさと離れていった。


 放課後になり、山口くんに連れられ体育館倉庫の前まで来た。どうしたのだろう?こんな人気のないところに呼び出して。


「先いいか?」

「まあ、いいが。」

 秋田くんが少し声に怒りを混ぜて話し始めた。

「北海の上靴やったのってお前だよな?」


 私はその言葉に耳を疑った。そう言えばと言えばそうなのだが北海くんの上靴を隠した犯人はまだ見つかっていなかった。


「ああ、でも待て、これには理由があるんだ。」

「は?理由だ?言い訳だろ?聞きたくねぇよ。」

 今まで見たことないほどに秋田くんが怒っていた。少し怖かったのもあり、私は話についていけなかった。


「お前はいじめられたことないからわからないだろ。」

「だから何だ。いじめは許されるべきじゃない。」

 

 殴る寸前まで行きかけの秋田くんを私は止める。

「話ぐらい聞いて上げたら?」

「、、、」


「俺さ、小学校の頃いじめられてたんだ。ハーフだからさ、そりゃそうさ。青い目してんだ。ガキの頃はおかしい奴にしか見えない。それからさ、そう言うその人の特徴って言うのかな?それを侮辱する奴が許せなかった。」

「だから何だってんだよ!、、北海が泣き出して!転校までして!お前もいじめてんだよ!偉そうに過去語る権利なんてねぇんだよ!」

 秋田くんは半泣きだった。


「落ち着いて、、ね?」

「ごめん。取り乱した。」

 私は一旦秋田くんを落ち着かせる。

「俺、北海に仲直りしたいんだ。でもメール知らないしさ。お前らなら知ってるんじゃないかって。」

「ごめん。私は知らない。」

 現に私のメールには香ちゃんと理央さんしか入っていない。


「何が仲直りだ。転校までさせといて、教えるか。お前に言うことはもうない。」

「そうか、、ありがとう。」

 山口くんは、そう言って心臓を強く抑える。それが呪いからか、はたまた突きつけられた苦しさからかは分からない。


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