学校生活#10

 「行動しなければなにも変わらない」

この言葉はあの有名遊園地の一番の有名キャラクター。ミッ○ーの生みの親とされるウォルト・ディズニーの言葉だ。

 それを初めて聞いた時なにを当たり前のことを言っているのだろうと思っていた。でも今、この現状を見て、全くそんなことはないのだと思ってしまった。


 自分がなにもしなくても、世界は平然と回り、なにもしていないからこそ、世界は平然と回るとも言える。だからこの言葉は間違いではないのだと思う。でも何もしなくても周りは勝手に行動するし、状況は変わる。時間は流れるし、季節は移り変わる。太陽は暮れるし月は上る。何もしなくても人は死ぬ。

 綺麗事だが、これは真実らしい。



 私は先生から話を聞いたあと、トボトボと廊下を歩いていた。誰も悪くない。とは言えない。こんな呪いにかかった私も悪い。死んでもいいなんて言った北海くんも悪い。お人好しで相手の目線も考えず詭弁を言う秋田くんも悪い。限られた情報で真偽を決め、偽善者ぶるクラスメイトも悪い。そんなことを考えながら、、、私はそっと教室のドアを開ける。



「じゃあ本人の前で言えるわけ?」

「そう言うんじゃないんだよ。」

 ドアを開けた音に反応しピリついた空気と一緒に視線が私に集まる。私はクラス内で言い争いをしていた秋田くんと、、茨城いばらぎさん?の方に視線がいく。


 ものの数秒のはずなのに何分もその冷たい空気が流れていたように思えた。その沈着を打ち消したのが茨城さん。

「じゃあどう言うことなの?もういい、本人に言うから。」

茨城さんはこっちに歩いてきて「全部あんたのせいだよ。」と言い放った。


「そんなことない。」

私と秋田くんの声が重なる。私は遠慮せず続けた。

「貴方達は何も分かっていないじゃない。」

「どう言うことよ?」

そう言って近くにあった机に座る。


「私もあまり分かってないけど北海くんが転校したのは貴方達のせいじゃない。」

「何言って、、、元を辿ればあんたじゃん!」

「私は何もしてない。」

「、、、」

 私の強気に押されたのか、はたまた呪いにより気分が悪くなったのか、彼女は黙ってしまった。


「あと私の靴をビチョビチョにしたのは誰?」

「きっ、北海じゃねぇのっ?」

「だから違うって!!」

 私の質問に答えた男子が秋田くんにどなられる。そしてその男子は狼狽える。


「見ただろ!あいつの靴箱、ゴミだらけだったじゃん!」

「それが北海くんがやってない証拠にはならないでしょ」

 茨城さんがここぞとばかりに否定する。実際そうだ。順序が違う。みんなの目からは北海くんがやったから北海くんは被害にあったのだ。


「ごめん!!」

さっきの男子生徒。名前は確か新潟にいがた しんくん、が大きく声を上げる。


「実は、、俺がやった、、、」

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