学校生活#7

 「生き地獄」人と関わることもできず、人を慰めることもできず、話すこともできない私は孤独の人間。孤立して、いじめられる。  

 そんな生き方は「地獄」と表現するほかないのかもしれない。でも私は、希望と言う光を知ってしまった。


 授業は終わり、私は意味もなくグラウンドを眺めていた。校庭には手前にはサッカー部が、奥には野球部が練習に励んでいた。その一人一人が今の私には輝いて見えた。


 20分ぐらいだろうか?夢を追いかける生徒を目で追った。物音ひとつしない教室は私一人の空間となっていた。


「もうそろそろ帰ろう。」

 私はそう呟き考え無しに広げていた真っ白なノートを閉じカバンに入れた。重いカバンを担ぎ窓の外から聞こえる部活生の掛け声に耳を傾けながらゆっくりと歩いていた。


「やっぱり俺が悪いのかな、、」

「ごめん、痛くなかったか。」

「そりゃあんなか殴られたら痛いけど。」


 廊下の曲がり角で北海君と秋田君が話しているのが耳に入った。少し罪悪感を覚えたが私の事でもあるので話を盗み聞くことにした。


「ごめん、でも流石にあれは傷つくだろ。なんであんなこと言ったんだよ。お前そんな奴じゃないだろ。」

「全部八つ当たりだよ。知ってると思うけど、俺さ、香と幼馴染だったんだ。色んなことしてきた。色んなことして行くつもりだった。

「そうか、、」

「もう会えないって思ったらさ、もう無理なんだよ。どうしてもしょうがないって思えないから、、」


 北海君は壁にもたれかかってしゃがんだ。私はその言葉を聞いて、胸が苦しくなった。私もそうだったから。私もしょうがないって思えなくて、手当たり次第に理央さんに八つ当たりをした。香ちゃんのお母さんだってそうだった。北海君は泣いていて、その泣き声が私の心臓を抉る。


「、、、、、」

「だからどうしても許せないんだよ。被害者ずらしてるアイツが、、知ってるか?アイツんちのメイド。俺の家に来たんだよ。学校にまで連絡して、俺の家調べて来てさ。ソイツ知らなかったんだ。香が死んだって。多分聞いて回ってたんだよ。そんなに頑張ってくれてんのに、、なんも変わらず学校来て、、」


「理央さん、、、」

 私は誰にも聞こえないような小さな声でそっと息をするように名前を呼び頬を濡らした。


「多分山梨も何も感じてないわけじゃ無いんだよ。なんなら1番責任を感じてるかも知れない。だからさ、見守るんじゃなくて、守ってやろうぜ。」


 私はその場から逃げるように学校をさった。真っ赤な夕日はいつの日かの香ちゃんの背中を思い出させる。そして罪悪感が心を暗く染めていく。「もう大丈夫だ」と思っていたがそうじゃなかった。


「もういいんだ」


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