学校生活#6
小学生の時私はいじめられていた。呪いのおかげで直接的ないじめはなかったので暴力はされなかった。でも教科書を破られたり、靴を捨てられたり、体操服を隠されたりと精神的なイジメは続いた。そしてそれは今でも私のトラウマとなり、まとわりついていた。
夏休みも終わり、香ちゃんが死んでしまったことも辛い過去だけでは無くなって、二学期という新しい日々に向かっていた。香ちゃんのいない学校生活は不安でしか無く、恐怖と虚しさが足取りを重くする。
まだ気温も高く私に光を当て続ける太陽は天から香ちゃんが励ましてくれているように思えた。学校に着き、今までのように自分の席についた。でも少しいつもと空気が違った。いや最近と空気が違った。この空気は嫌なほど覚えている。頭の中でも、体でも。
「おい、お前小学校の頃『呪われた子』って言われてたんだろ?」
私はその一言で背筋が凍った。なぜそれを知っているのか、私はその事実から逃げるために山奥の家に引っ越し、中学校まで来たのに。
「なんとか言ってくれよ。って言っても俺は相談受けてるから知ってるんだけどさ。」
私は今、北海君の言葉を受けて心が折れかけていた。私の呪いを知られては普通の生活ができないことなど何度も経験して知っていたから。あんなに優しかった北海君も今となっては私を脅かす敵でしかない。
「なんで、、、、、」
「お前が香を殺したも同然だからだよ。なんで、なんであいつが死ななきゃいけなかったんだ!お前が死んだらよかったんだ!」
泣いてしまった。その言葉を聞いて地獄のような日々が蘇る。『お前が死んだらよかったんだ。』『あんたさえいなければ』『お前なんて産まなかったら。』
小学1年生ぐらいの頃だっただろうか?初孫だと喜んで甘やかそうとしたお婆ちゃんが急に呼吸困難で息を引き取った。その後すぐに私は父から捨てられた。唯一私に構ってくれていた母も父が遠ざけた。
ガシャン!
私はその音で辛い過去から辛い現実へ引き戻される。そこには3メートルほど飛ばされて机にもたれ掛かる北海君とその北海君を思いっきり殴り飛ばしたであろう秋田君が立っていた。
「それは言っちゃいけねぇだろ。」
「なんだよお前、お前は関係ねぇだろ」
「聞いただろ?事故だって、じゃあコイツは何も悪くねぇだろ。」
「綺麗事抜かすなよ。言ってるだろ?ソイツは死を呼ぶんだよ!俺はその呪いとやらの影響を聞いたけど、そりゃもう凄かったぜ。ゲロ吐くほどにな、」
その言葉を放った瞬間クラスから私は異質な目で見られたことがわかった。そしてその視線もまた、地獄を蘇らせるトリガーなのだ。
「呪いとかそんなの知らねぇけどさ、死んでいいやつなんかいないんだよ。」
窓から入った太陽の光が秋田君を照らした。
その光景はとてもかっこよかった。
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