友達#7
私は人から嫌われる運命で、それは覆しようのない事実。でも香ちゃんのようにこんな私でも普通の人のように、それ以上に接してくれる人がいる。私は香ちゃんに生きる希望をもらった。だから私はできる限りこの恩を返したかった。
「お邪魔しまーす。」
「はーい!入って入って!」
今日は香ちゃんの家で勉強会の予定だった。香ちゃんは私が来るなりそそくさと自分の部屋?に案内した。靴は二組分香ちゃんも私と同じで一人っ子なので三人家族。お父さんは遅くまで仕事をやっているらしく多分家にいるのはお母さんだろう。
初めての友達の家ということで緊張と興奮で心が躍る。
「あら、あなたが恭子ちゃん?いつもありがとうね。」
いかにも香ちゃんのお母さんらしく、優しい目と茶色い短髪が香ちゃんそっくりだった。
2階にある香ちゃんの部屋に入る。そしてそこにあった丸テーブルを2人で囲みクッションに腰を乗せた。
「香ちゃんのお母さん香ちゃんにそっくりだね〜瓜二つじゃん。」
「まぁお母さんに私が似てるんだけどね。」
香ちゃんがノートをテーブルに広げるのにつられ私も教科書とプリントを開く。勉強をするには十分な広さがあり、私の家を羨んでいた割には結構な豪邸だった。
そこからは2人ともあまり喋らず勉強をした。これが私たちの関わり方で接し方だった。20分ぐらいしたあと後ろのドアが開き香ちゃんのお母さんがお皿にポテトチップスとお水を乗せ持ってきてくれた。
「あっ、ありがとうございます。」
「いいのよ、気にしなくて。」
そう言って笑いかけてくれる姿は本当に香ちゃんそっくりだった。
「もーお母さん!大丈夫だからっ!」
香ちゃんは急かして母を部屋から追い出した。お母さんは帰り際に少し咳をしていた。少しの会話の後でも申し訳なさはついてきた。
そのあとお菓子を頬張りながら1時間ぐらい勉強した。そして香ちゃんが「数学の教科書取ってくる!」と言って一階に降りていった。香ちゃんの部屋で1人勉強を続けるのもおかしな気がしたのでお手洗いを借りようと階段を下る。すると香ちゃんと母の会話が聞こえてきた。
「ごめんね、香、確かにいい子なのかも知れないけどあんまり関わってほしくないわ。我が子がしんどい思いをするのは嫌だもの。」
「そんなんじゃないって!しんどくない!」
「でもいつも遊び帰ってきたあとすぐトイレ行ったり薬飲んだらしてるじゃない。」
「それはそうだけど…」
私はお手洗いをすることなく部屋に戻り勉強を再開した。香ちゃんが帰ってきてからも特に会話することなく30分したあと家に帰った。私は行きとは違い悲しさと申し訳なさを抱えて思い足取りで家に帰った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます