友達#8
もともと勉強はあまり嫌いじゃなかった。頑張った分だけ力何なるし、裏切らない。だから5年生から6年生の一年間はほとんど勉強に費やした。誰かより優れているという幸福感はやはり承認欲求に繋がる。そして私も1人の人間なんだと感じるのだった。
あの母との会話を聞いた後も特に距離感は変わることなくテストの日と迎えた。香ちゃんは自信満々と言わんばかりの顔で席についた。
「香ちゃん目の下にクマできてるよ。」
「3時間しか寝てない」
ドヤ顔でこちらを見てくる香ちゃんの顔のクマが説得力を上げる。
「やっぱり恭子ちゃんはテスト余裕?」
「余裕とまではいかないけど自信はあるよ。」
「そうなんだ。一緒に頑張ろうね!」
「うん。」
まだテスト開始までは15分程あるが、テストの日に香ちゃんの体調を悪くしてはいけないということで、昨日香ちゃんにお願いして私語はテストが終わってからになった。
キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン、、
スタートの合図が響き渡る。最初の教科は英語、得意分野だ。と言っても中学一年生一学期の中間テストで出る英語といえばアルファベットの大文字小文字やBe動詞の文、単語ぐらいなのでスラスラと解いていく。リスニングも無く30分ほどで全て解き終わり終わりの合図を待った。
もう一度チャイムがなり周りはため息をつく。私は和歌山くんからテストもらい私のと一緒に前に回す。テストの間の休み時間といったら友達とあの問題がどうだったとかこの問題はこうやって解くだとかを話し合う人と次の教科に向けて最後の悪あがきをする人に分かれる。私はもちろん後者だった。
次の数学も特に問題無く正負の数やら絶対値やらを解いていった。少し計算問題が多く、見直しをする時間がなかったぐらいだった。
社会は知識問題が多く自信ありげにシャーペンを走らせる。時差の問題に少し戸惑ったが20分ほどあまり、他の人がシャーペンを動かす音に耳も傾けていた。
国語、理科も時間は余りまだまだ余裕だと感じながらその日とテストは終了した。
「どうだったー?」
テスト終了と同時に端の席から駆け寄ってくるのはもちろん香ちゃん。
「まぁまぁかな、」
「数学時間足りなかったよね!?」
過度に肯定意見を求める顔をしながら質問してくるので控えめに答える。
「確かに少なかったね。ギリギリだったよ」
靴箱でそのままテストの話をしていた。北海くんが来ると「じゃあね!」と言って走って行った。そして向こうでもテストの話を始めたみたいだった。
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