友達#6
私と香は次の週もその次の週も二人で遊んだ。そして香と積極的に遊び始めてから一ヶ月と半分が経った。水族館、映画鑑賞、カフェ、カラオケ、家で漫画を読んだりゲームをしたり、香ちゃんとはもうしっかり「友達」と言える仲になり、人としての憧れや敬いも私は抱いていた。
「来週は何して遊ぶ?!」
ショッピングモールに来て服を買い、今はカフェで休憩をしているところだった。いつも通り会話の合間を縫って質問をしてくれる。私はこの誘いがある種の生きがいとなっていた。
「私はいいけど香ちゃんテスト大丈夫?来週の月曜日からだよ?」
「え?もうそんなに近いの!?」
私たちは中学生の壁の一つ定期テストに向かって勉強していた。
「そうだよ。なんかこの前テストの点悪かったらゲームできないみたいなこと言ってなかった?」
「そうなんだよー。お母さんひどくない?それはやりすぎだってぇ〜」
「でも香ちゃんそんなにゲームしないじゃん。」
香ちゃんとはだいぶ話しやすくなってきた。小学生の時は過度に人との関わりを嫌い、距離をとってきたが、香ちゃんのおかげで北海くんや秋田くんとも話すようになり相手の体調を見て話すことができるようになってきた。これも全て香ちゃんのおかげだ。
「そこまでやらないけどちょっとはするよぉ〜って言うか恭子ちゃんは大丈夫なの?」
「私はテストって言うか勉強得意だからね。」
「エホッエホッ、じゃあ来週勉強会しようよ!」
「いいよ。そう言えば香ちゃんの家まだ行ったこと無いよね?」
「そう言えば来たことないね。でも、、、」
少し俯いて考えていた。私はそれが何なのかは分からなかったが家の人にも迷惑がかかるし別にダメなのならダメでいい。
「いいよ!じゃあ来週土曜日でどう?」
「分かった!」
そう言って残り少しのコーヒーを飲み干す。香ちゃんはそれを見ながらショートケーキを頬張る。その姿は「可愛い」意外の言葉では全て不適切なほどに愛惜しく見えた。
そのあとは2人でクレーンゲームをしたりプリクラを撮ったりした。今までできなかった楽しいことを香ちゃんとやっていくうちにとても心は満たされていった。その日はプリクラを撮ったあと香ちゃんがいつも以上に疲れていたので解散となった。
家に帰ると「おかえりなさいませ」と声がする。私は恵まれていると思えるほど幸福感にかられていた。
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