第9話

 ――『八歳の男児、連続放火の疑い』

 今月十八日に放火事件が起きた集落で、昨夜未明再び放火事件があった。最初の放火も容疑者特定に至っておらず、警戒態勢中の出火だった。警察と消防でパトロールしていたため発見が早く、戸建て家屋の寝具とカーテンが焼けたのみで、けが人は出なかった。

 火元が室内だったことからこの家に住む母子に事情聴取を行ったところ、二男で八歳の男児が前回の放火と合わせて自供したという。

 地元警察では現在、詳しい動機について調べている。


 辰虎はその短い新聞記事を読んで、その新聞を横に投げ捨てた。

「どこまでも逃げても、人間の暗い焔の檻に囲まれているようだ。なあ、昭子」

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焔の檻 西野ゆう @ukizm

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