第22話 なんだこれは...たまげたなぁ...
「あの、すいませんそういえばお聞きしたいことが聞けていなかったです」
魔法石を受け取って放心している俺を放置し、礼華が父親に言った。
「ん?ジパングのことではなかったのかい?」
「ジパングのことなのですが、私たちが聞きたいのは、ゲシュペンストという存在についてです。お父様はご存じですか?」
「.......すでにそんなことまで君たちは知っていたのか」
「ゲシュペンストは、実体を持たないジパングの敵だと伺っています。本当に実在するのですか?」
「あぁ。間違いない。ゲシュペンストは狡猾で手強い相手だ」
父・礼厳は指令室の椅子に座って一息ついた。
「僕がジパングに滞在していた間も、ゲシュペンストはずっとジパング問題視されていた。そして、日本国内でも発見されている」
「お父様はゲシュペンストを見たことがあるのですか?」
「ある。厳密には、ゲシュペンストにとり憑かれた人間を、だが」
「人間の身体を乗っ取り、精神さえも操作すると伺っています」
「その通りだ。日本で暴れたゲシュペンストがいて、それをこの20年で17人捕えてきた。しかし、まだその元凶・王を捕まえてはいない」
「信じがたいですが、やはり実在するのですね...」
「君たちはどこでその情報を?もしかして、礼司がジパングで聞いたのか」
「ええ...」
礼華が俺のほうを見た。
とりあえずいったん考えることをやめることにした。
そうそう、その話を進めないといけないんだった。
「ジパングのトチギ領、領主リリーからその話を聞きましたね。ゲシュペンストを俺と協力して滅亡させたいって」
「よくその話を僕にもちかけたね。僕がゲシュペンストだったら危ないところだったぞ」
「兄さんがどうしても、って言うから!」
「いや、なんとなー-------------く父さんはジパングとのつながりがあると思ってたんですよ。なんか昔から秘密の多い人だったから。あとどうしても悪人には思えんかった」
「頭の良さは、お母さん譲りかな。まぁ、もう話してしまったことだし隠すこともないから僕は助かったよ」
礼司の義父である冷厳は続けた。
「実はもともと、礼司と礼華に日本軍へ入ってもらったのも、ゲシュペンストを暴き出すためだった。君たちの力が必要だったんだ。まさかこんなに早く事が進むとは思わなかったが」
「「やっっっっっぱりあなた/お父様の想定通りですか!!!」」
「だって説明したとしても、君たち絶対信じなかっただろ。礼華はすぐ怒るし」
「子ども扱いしないでください!」
「俺たちの力が必要ってどういうことです?俺がジパング人だからですか?」
「まー-、それもあるね。礼司は子供の時から魔法について勝手に勉強しちゃうし、武器も自分で考えちゃうし、、もうこれは巻き込まざるを得ないというか。。ね。日本軍の人たちってほら、ダメな人ばかりでさぁ。どうしても君たちのような優秀人材を僕は入れたくなっちゃうわけ」
この人、そういえばいつも言ってたな。
日本軍がほんとダメダメすぎて、まじでこの国から出たいとかなんとか。。。
大人の人って大変なのね。って、なんで俺はこんなに冷静なんだ。調子が戻ってきたかもしれない。
「なるほど。それなら話が早い。俺と礼華、そして九条さんと3人でゲシュペンスト撲滅チームを作ったんだ。父さんも、それに加わって力を貸してほしいんです」
「おお、もちろんだよ。まぁ、というか、四条くんからその辺の話は諸々すでに実は聞いてたんだけどね」
「は?」
「もうそろそろ入ってきていいよー」
父さんは入口の扉に向かって手招きした。
すると、四条さんが恐る恐る入室してきた。ん?もしかして?
「四条くんは僕の部下だ。礼司の護衛としてそばにいてもらっていたんだ。ずっとね」
「四条さん!???えっ、なに、隠密?忍者??ボディガード???」
「す、すみません礼司さん。礼厳さんのご命令でした。あなたの命を守ってほしいと」
「そういえば四条くんと礼司は婚約?してるんだっけ。おめでとう礼司。父さんも四条くんなら安心だよ」
四条さん。あなたそっち側の人間だったのね!!
「なんだこれは...たまげたなぁ..........」
逆に異世界が来てそれと戦うことになった件。 尾形 @SaiOgata
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