第4話
2錠の薬から5年も逃れることができたのに、あと少しのところで私の体は持たなかった。
以来またもや活動を制限されてしまう。
しかし私は高校ではバスケ部に入りたかった。
両親は猛反対だった。
それもそのはず。激しい運動をすれば疲れも伴う。
それによって発作が起きる確率も高くなる。
私は両親の反対を押し切って1年間を条件にバスケ部に入部。
大変な日々ではあったが、楽しくもあった。
夏休み明け、いつも通りの授業と練習を終えて家に帰る。
夕飯を食べてお風呂に入った。
そこまでの記憶はあるのだがそこから先がまた無いのだ。
薬を飲んでいたにもかかわらず発作が起きた。
細心の注意を払っていたのにもかかわらず。
いつものごとく舌は痛々しく腫れあがり、血も見える。
上手く回らない舌に度々嫌気がさす。
1週間は学校に通えず、2週間たっても私のご飯はゼリーやおかゆなど流動食だった。
薬の量は2錠であることに変わりはないが大きさが少し変わった。
以前より大きくなった。
つまり薬が増えたということ。
それによる副作用で眠気で授業はまともに集中できず、発作前の記憶まで無くなってしまっている私の定期テスト結果は芳しくなかった。
このころから薬を飲むことが苦痛でしかなかった。
どうせ治らないもののためになぜこんなに時間をかけているのかと。
自己否定も激しくなり、存在意義すら見失った。
真っ白な紙に愚痴を連ねる日々。
道路を見れば無条件に死に対する恐怖を覚えた。
同時期、両親は私を面倒くさそうに扱うようになった。
高校生になった私は病院代も薬代もそれなりにかかる。
「絶対に倒れないでね。面倒なんだから。」
これが母の口癖になった。
あんたが倒れても私は何もしないし、どうも思わない。
そんなふうだった。
私だって両親の子供であるのだから、多少の心配の言葉が欲しかった。
「大丈夫?」
その一言だけでいいのに。
むしろ両親からは倒れてどこかに行ってしまえ、そう言われている気さえした。
両親を頼れなくなった私はさらにどん底を生きている。
独りで生きている。
2錠と心 学生のあやちゃん @aya_0876
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