第3話
この【てんかん】という病気は感染らないということを担任の口から再度みんなに告げられた。
そのおかげなのか、単に興味が無くなったのかはわからないが、皆から理不尽にいじめられることは無くなった。
それでも、やはり行動が制限されるというのはどうにも性に合わなかった。
夏のプール授業には常に祖母がプールサイドで見ていなければならなかったし、遊びに行くことは出来ず、友達はみんな私の家で遊ぶほかなかった。
学年も上がり、4年生になった時に転校生が来た。
転勤族らしく、この間までは北海道にいたという。
人前で堂々とする彼女を見て羨ましく思ったが、彼女自身に興味はわかなかった。
彼女の将来の夢は看護師。
それが建前であるということを1年後知ることになるのだが、この看護師というワードがトリガーとなり、私は自身の病気について詳しく調べることにしたのだ。
今ある治療法は”薬を飲む”ただそれだけ。
私は絶望した。
治る人も一定数いるようだが、治らない人は様子を見ながらずっと薬を飲み続けなければいけないらしい。
そして死亡確率が高いということ。
発作による突然死が多いらしい。
これを知ってから、私は日に日に焦りを覚え始めた。
もしかしたら明日死ぬんじゃないか。
したいことを何もできずに人生を突然終えるのではないかと。
それからは病気を治したい一心で、薬を必ず飲む、よく寝て疲れをとる、ちゃんとご飯を食べるということをした。
脳波も症状も安定して、一度薬を止めてみましょうということになった。
希望が見えた。
が、道のりは長く、その年数は6年にわたるものだった。
6年間、薬を飲まずに発作が起きなければ心配はないと言われた。
でも、これで治れば病院代や薬代、その他もろもろ、私にかかるお金や時間、気苦労が減ることで母の癇癪が治るならそれでいいと思った。
それで、それで。
しかし、人生というのはそんなに上手くいくものではない。
中学3年生の冬、視界に広がったのは幼いころに見たあの天井だった。
駄目だった。
また地獄のような日々が始まる。
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