第2話
「ねえ、遊ぼうよ」
今でもリーダー格の彼女の気持ちは分からないが、どんな理由であれ、ひたすらに遊びを断っていた私のことが面白くなかったのだと思う。
別の友達が誘ってくれたこともあったが、彼女に突き放されてしまう。
やがて誰も誘わなくなり、私は一人、図書館で過ごすことが多くなった。
いわゆる、ハブられた。ということだ。
子供の気持ちなんてコロコロ変わるのだから、少し待てば大丈夫だと当時の私は思い込んでいた。
しかし、イマドキの小学生事情はそんな優しいものではない。
私は1か月余り、ハブられ続けていた。
いよいよまずいと思い母に相談した後、彼女の方から謝られる形で事は終息した。
が、それだけでは終わらなかった。
「おまえの病気がうつったんだ!」
「Kちゃんに謝れ!」
「あっちに行け!」
罵詈雑言が飛び交うこの現状は、マラソン大会を終えたばかりの教室内だ。
担任はいない。
状況を説明すると、
マラソン大会に出場したKちゃんは終了後、教室で倒れたのだ。
それを目の当たりにしたクラスメイトのほとんどは私を病原菌のように扱った。
その数々の言葉に耐えきれず、涙を流し始める私に対して、さらに飛んでくる怒りの声。
お前なんかが泣くな。と。彼らは口をそろえてそう言った。
そのすぐ後に知らせを聞いた担任はKを抱えて保健室へと向かった。
すると隣にいた1年の頃から仲良しの友人がこう言った。
「おまえは何も悪くないんだろ?」
頷く私に
「もう泣くなよ。俺が言ってやるから!」
私の隣で立ち上がると彼は言った。
「こいつは何も悪くねぇよ!」
「そうやって責めてるお前らの方が悪いだろ!」
少しばかりやんちゃだった彼からの言葉はクラスを黙らせるには十分すぎた。
そうしてその場は静かになった。
元気出せよ、と笑った彼は、憧れの存在になった。
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