第2話 白黒を逆さまにする・善と悪を入れ替える手法

  40年前、アメリカのあるベンチャー企業を訪問した時、マーケティング・マネージャーが、ジャガーに私を乗せて飲みに連れて行ってくれました。


  いかにも洗練された英国紳士という雰囲気でしたが、お酒の弱い私は、彼の(ブランド・ウィスキーのような)名前だけで酔っ払ってしまいそうでした。

  貴族階級で、ケンブリッジとオックスフォードの両大学を出たのですが、保守的というか、変化のないイギリスやアメリカ東部を嫌い、「夢のある」西海岸(オレゴン州ポートランド)へやってきたのだそうです。


  酒場で、「ケンブリッジとオックスフォードで何を学んだのですか」と、私が聞くと、「Justifyのやり方」と、この品のいい30代の紳士は穏やかな笑顔で答えました。

  「嘘を真実と言いくるめる」という手法で、アリストテレス由来の修辞学(レトリック)を、イギリスがインドや中国といったアジア諸国を植民地化する過程で、現場と大学の間でフィードバックを繰り返すことで、より洗練された詐欺師のテクニックとなったそうです。

  (「fraud」という単語を知らなかったのですが、彼は丁寧に紙ナプキンに書いてくれました。)


  (アメリカでは「自分の運転ミスで止まっている車にぶつけたら、停まっていた相手が悪い」と言え、と(保険会社・弁護士から)教えられているそうですが、中国や日本では「牽強付会」という言葉がこれに相当するのでしょう。

  歩道を歩いていた母子を轢き殺しておいて「車が勝手に暴走した」なんて平然と述べた人は東大卒ですが、大学で学んだのかこの人の性格なのか。)


  英国紳士らしいユーモアのある人、というよりも、かなり正直な人間であったのだと思います。それから3ヵ月後「アメリカン・ビジネスなんて、つまらん」と言って、このマネージャーは退職し、独りヨットで世界一周の旅に出てしまいました。

  イースター島で出会ったスウェーデン人のカップル(やはりヨットで世界一周、その下見の為に航空機で世界を回っていた)といい、就活だとか婚活だとか「韓国人マスコミが作る幻想の日本社会」という、狭くて小さくて女々しくて暗い世界と異なり、彼らはもっと自由で前向きで明るい、ずっと大きな世界観で生きているのだなぁ-と(今にして)思います。日本にもかつて、堀江謙一という、スケールのでかい大阪人(縄文人)がいたのですが。


  私が言葉のわからない台湾に住んでいるのは「韓国人政府とマスコミが作る幻想の日本社会」という汚染から自分の魂を守りたい、ということなのかもしれません。(堀江さんのような攻めではなく、逃げというところが、我ながら情けない。)

  しかし、ここ数年の台湾も、「台湾客家が作り出す幻想」に、台湾の人々のみならず、(すっかり韓国人脳になってしまった)日本人までもが騙されてしまっているようです。

  その意味で、東アジアで正気を失っていないのは、台湾の原住民と中国人(と北朝鮮人)だけ、という有様です。



  さて、前置きが長くなりましたが、

  人民網日本語版とフォーカス台湾、およびヤフーニュースのような第三者機関の流すニュースから、今回の中台問題の流れを順を追って見ていくと、中国人と台湾客家(米国ユダヤ人)、この2者(国)の人間性がよく見えてくる。


  さすが中国人、ここ数ヶ月間の中台米の紛争の一つの肝(重要なポイント)を世界中の人々に教えてくれました。

  「ケンブリッジ大学とオックスフォード大学」で研究されてきた「嘘を真実と言いくるめる」という(政治)手法です。

  中国の王毅部長は、今回の台湾客家と米国(ユダヤ人)のやり口を「恣意的に白黒を逆さまにする」という言葉によって、見事に言い当てたのです。



米国による中国の主権侵害に王毅部長が談話発表

人民網日本語版 2022年08月03日11:32

「・・・米国は、恣意的に白黒を逆さまにすることができるという幻想を抱いてはならない。米国は中国が事態をエスカレートさせていると主張するが、米国のほうが先に台湾問題で中国側を挑発し、中国の主権と領土的一体性を公然と侵害したというのが、基本的な事実である。・・・。」


<続く>


2022年8月13日

V.1.1

平栗雅人

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左道を執りて、政(まつりごと)を乱す者は、・・ @MasatoHiraguri

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