第2話 お前のことが大好きなのに。
「あぁ、付き合えたらなぁ…。本当に幸せなのになぁ…」
「やめろよ、溜息ばっか。」
「だって、しょうがないじゃん!」
俺の部屋で身体を丸めて溜息ばかりついている彼女は幼馴染である石井天音《いしいあまね》。家が隣ということもあり、物心ついた時からの仲だ。サラサラとした綺麗な髪やクリクリとした目をもつ可愛らしい彼女は、まるで恋愛漫画に出てくるヒロインのようだ。
「そんなに好きなわけ?」
少し小馬鹿にしたように天音に聞いてやると、
「うん!すっごく大好きなの!」
と素直な気持ちをストレートに伝えられ、胸がキリキリと痛んだ。
「はは、そうかよ。青春してんな。」
苦笑いでそう答えた。
天音には好きな男がいる。毎回俺と会った時は天音の口からはその男の話が出てくる。そして結果的には、あぁ、付き合えたらなぁ。というワードと共に先程同様の流れがスタートする。もう何十回目の会話だか。
___全く…俺の気も知らないで。
「ねぇ…唯月はさ、好きな子とかいないの?」
「俺、?」
「俺は、、」
「いないよ。」
もう…胸がはち切れそうだ。もどかしくて、もどかしくて、狂ってしまいそうだ。いつまで耐えたら良いのだろうか?
こんなにも好きなのに、大好きなのに。
___お前のことが、大好きなのに…
まるで蝶、いや確かに蝶 inu. @Gomakichi
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