天岩戸神話2

イツミキトテカ

第1話

 天照大神アマテラスオオミカミ天岩戸あまのいわとに隠れて早数日。その間、世界は真っ暗闇へと包まれていた。


 天照大神アマテラスオオミカミは太陽の神である。天照大神アマテラスオオミカミが姿を現さないということ、それはつまり、植物が成長を止め、食べ物は育たず、生き物たちは病気になり、死に絶えるということ。このままでは世界は混沌に飲み込まれてしまう。


 これには八百万の神々もすっかり頭を抱えていた。天安河原あまのやすかわらにわらわらと集まり、天照大神アマテラスオオミカミを洞窟から引きずり出す方法を日がな一日考えている。


 思兼神オモイカネノカミもまた、頭を抱えている神の一柱だった。


 知恵の神として一目置かれている思兼神オモイカネノカミ。他の神々からの期待に満ちた眼差しが結構ストレスになっている。


 とっとと天照大神アマテラスオオミカミを引きずりだそうとあれやこれや策略を巡らしてみたが、天岩戸あまのいわとはうんともすんともビクともしない。


 ついに、思兼神オモイカネノカミの堪忍袋の緒が切れた。


「お前引きこもるの二度目ぞ! いい加減にせえよ!」


 そう吐き捨て、怒りに燃えた思兼神オモイカネノカミは、勢いに任せ地面に魔法円を描き始めた…。

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