第7話・男の正体
俺は、少しスピードを落として歩く。
「……人、お前には悪いな」
「……? どういうことですか」
「まあ、良いから。読んでろよ」
ここまでの段階で、しばらくホテルの中の生活を書いていた。
「……夢を見た。ふと目を覚ますと、俺の体はまだ小さかった。小学生時代だ。『あ、こいつ起きたぜ』『もう一回寝ろよ』『永遠に眠れ!』これが、まだまだ続く俺の瞳へのいじめだった。何があったかというと、俺は生まれたときから、左右の瞳の色が違っていた。いわゆる、オッドアイだ。片目は黒、もう片方が赤茶色。小学校五年くらいになり、クラスメイトの女子が、『バイルイ君、なんで目の色が違うの?』と聞いたのがいじめの発端だった。いじめは中学ごろまで続き、不登校になった時期もあった」
「え、もしかして……あ」
「そうだ。さっきのとこは俺の体験談だ。で、この瞳の色が俺をこのゲームに参加させた理由じゃないのか? この声はどこかで聞いたことがあるな、と思った。なあ、
俺は人に、こう言った。
「え……? じゅんきって誰のことですか? さっぱり分かりません」
「うるさい。で、もう一つ気になることがあった。カリブンは、瞳の色が同じだった。赤い目は……マスクで作ったのだろう」
「え、なんでそんなことを?」
「ここに来た時に、俺はしゃがんでいた。カリブンのマスクがゆがんでいたから、見えたんだよ。——じゃ、お前への用はこれまでだ」
「ちょっとま」
その話の続きはもう聞くことができなくなった。床には人の残骸が散らばっている。そう、本性を吐かせるため、俺が人を蹴り倒した。
「ガガガ……お前、許さないぞ……絶対に
やっぱり、潤貴だったのだな。潤貴は、何か俺に嫉妬していると聞いたことがある。
これ以上、人の残骸を見ているわけにもいかず、俺は走り出した。
少しすると、俺は人の残骸の元へ戻ってきた。
「……お前だったんだな。——
「……」
俺は、人の残骸を片づけに来た白衣の男と接触した。やはり、こいつが一味であることは間違いない。そして、付けていたマスクを外させると、その顔はクラスメイトの鎧だった。
「いったいなぜ俺を襲った。ここはどこだ」
「……」
「俺が頭よさすぎるからか? それならあんまりだぞ」
「……別にそうじゃない」
鎧は初めて喋った。
「主犯は誰だ」
「……
「何でそんなことになってるんだ」
「ただのストレス解消だ、と貴登は言ってる」
「本当か? それなら、今すぐ貴登を連れてこい。今すぐだ」
一刻も早く貴登と話をしたい。せめて、貴登を殴ってから……。
「……貴登は、すぐそこにいるぜ」
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