第6話・キャラクター
何だ、この叫び声は。
と、何やら床から上がってきたものがあった。
「こんにちは。あなたのパートナーとなります、『人』です」
そいつは、人という漢字に手と足が生え、目と口が付いただけの得体の知れない何かだった。でも、立体的だ。少し触ってみたが、透けてはいない。
――なら、これは何なんだ?
「取り合えず、ここからは色んな説明などは私が言いますね」
「あ、ああ。ちょっと待って。なら教えて欲しい。ここは、どこだ?」
「ほう、面白い質問をなさる。ここはどこか、答えは……まあ異世界みたいなもんじゃないですかね。実際自分もそんな分かってないんすよ」
「何だ、それは。このゲームは何の目的で行われているんだ。教えてくれ」
「う~ん、そんなこと言いますけどね、僕はあっち側の人間に生み出されただけの存在なんですよ。そんなの知ってるわけないじゃないですか」
――来た。
一つ、あいつは一つ言い洩らした。“あっち側の人間”ってよ。やはり、運営のような存在の人間がいるのだ。ということは、先程カリブンを拘束していた二人の男は本当の人間なのだろう。
「分かった、教えてくれてありがとう。ところで、お前は何て言えばいいのか?」
「『人』です」
「はぁ?」
「普通に、『人』って読んでくださいよ」
「……それ以外無いのか?」
「ありませんね」
変なやつだ。
「分かった、じゃあ人、カリブンは何なのか?」
「はぁ?」
「カリブンとは何者だ」
「だから、そんなこと知りませんって」
まあ、これ以上言ってもダメだろう。どっかで情報を漏らすのを待つか。
それと、俺には一つ気になることがあった。
——この声、どこかで聞いたことがあるな。
「ああ、蒸し暑いな――。あっちこっちで知らない言葉を話す人がいて、俺は早くも不安になった。まあ、ホテルを予約しているから多分生活には不自由しないだろう。スマートフォンには翻訳アプリも入っている。問題はない」
ここから、第二章に当たる部分の執筆になる。
「空港の近くのホテルについて、俺は荷物を下ろす。初めてのホテル、どころか初めて一人で海外に行ったわけだが、予め調べたから何とかなるだろう。俺は受付の人にスマホを見せた。『俺は台湾から来たバイルイです。予約しているのですが……』と見せると、受付の人は少し慌てたか。だが、取り合えず中国語で俺に話してきた。『バイルイ様ですね。ようこそいらっしゃいました。恐れ入りますが、お名前とご住所のご記入よろしくお願いします』と、俺はスマホで返した。『実は台湾の俺の家は無くなってしまったんです』受付は『そうでしたか。それは大変ですね。それでは住所の欄は飛ばして頂いて、サインをお願いします』いやぁ、日本語って難しいな」
そう、主人公は日本にやってくるのだ。最初はそれこそ逃げてきただけだったが、後々目的が分かってくる。
ちなみに、構想ではここからある人物と出会い、台湾、そして家族とチュンメイのために募金を始め、同時に語り部活動のようなものもする。だが、そこからバイルイの性格のおかげで、危機意識を持っていない人間と乱闘になったり、協力してくれる女性に恋をしたり……という予定になっている。
このキャラクター、意外と役立つのかもしれない。
人はたまにカリブンの元へ飛んで行って、髪の毛を引きちぎったり、耳をつねったりするのだ。たまぁに人は文字の一部を不思議な光で吸い取って、その文字をカリブンに向けて発射。カリブンをしっかり防御してくれるじゃないか。
――でもね、俺はやるから。もう、元の世界に戻るつもりはねぇ。
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