男子高校生の妄想

錠前伊織

第1話

 深夜0時過ぎ。

 特に理由はないがなんだか寝付けなかったので彼女に電話することにした。長い発信音のあと、まだ半分寝ている声が聞こえてきた。

「……なに」

「何してんの?」

「……ねてた」

「そっか」

「……うん」


__ピロロン。


 切られてしまったので、もう一度かける。今度はすぐに出てくれた。


「なに?」

「なんでもない」


__ピロロン。


 切られてしまったので、もう一度かける。今度はさっきより待つことになった。


「……なに?」

「なんですぐ切るの?」

「……ねむい、から」

「俺のこと嫌いなの?」

「……きらいじゃない」

「きらいじゃないってどういうこと?」

「……ふふ、いや、どういうことってどういうこと?」

「俺のこと嫌いなの?」

「………………………………すき」


__ピロロン。


 自然と口角が上がっていくのを自覚する。くぅぅぅぅ……俺も好き!


 もう一度かける。意外とすぐ出てくれた。


「……なに」

「明日なにすんの?」

「……ぶかつ」

「そっか。何時から?」

「……1時」

「がんばって」

「……そっちもがんばって、サッカー」

「うん、頑張る」

「……じゃあ、おやすみ」

「うん、おやすみ」


__ピロロン。





 

 よっっっしゃ!やる気出てきたぁぁぁ!



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男子高校生の妄想 錠前伊織 @amaguri3

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