第157話 砦の乱戦
「はぁぁぁぁぁっ!」
クローディアは次々と
ベリンダが試しに
悲鳴一つ上げることはない。
にわかには信じ
数々の薬物や毒物に精通したベリンダはすぐに見抜いた。
「おそらく何らかの薬物の影響下で、肉体と精神が極度の興奮状態にあるのですわ」
戦場では興奮で痛みを忘れることがある。
戦い終わってから初めて自分が大きなケガをしていることに気付く者もいるほどだ。
何者かが薬物を用いてそうした状況を
公国軍の中でそういう非人道的な動きがある。
そのことを感じてクローディアは
「馬鹿げてる……公国がそんなことを。けど、だからって彼らが無敵というわけではないわ」
そう言うとクローディアは鋭く剣を振るった。
まず一撃目で
二撃目で確実に仕留める。
「フンッ!」
クローディアが剣を一閃させると、
そうなればこの狂気の産物と呼べる兵士たちも永遠に無力化されるのだ。
クローディアにとっては
彼女は立て続けに5人の
だが他の王国兵たちにとって彼らは難敵だった。
今や
重厚な装備ですばやく動き、痛みも恐怖も感じずに向かって来る相手に苦戦して王国兵たちは押し込まれていく。
数人がかりで押さえつけようにも、その
「奴らを中に入れるな! 食い止めろ!」
そして王国兵が入り乱れての乱戦のため、クローディアもベリンダも同士討ちを避けるべく満足に戦うことが出来ずにいた。
一方の
壁の周囲ではブライズが指揮を
「ここの総指揮官はどこ?」
近くにいる将校にクローディアはそう
このままでは
将校から総指揮官が1階にいることを確認すると、クローディアは
「王子の足取りを追わないと。ベリンダ。ついてきて」
そう言うとクローディアはすぐ近くにいる
そんな彼女にベリンダも足並みをそろえて同行した。
1階の広間では
「クローディア殿! お待ちしておりました!」
「コンラッド王子が脱出した水路はどこかしら?」
開口一番そう言ったクローディアに思わず面食らいながら、総指揮官はすぐに
「コンラッド王子は
そう言うと総指揮官はしゃがみ込み、少し前まで自分が立っていた場所の床板を真横にずらす。
するとその床板の下には下り階段が続いていて、そこから水の
クローディアは総指揮官にあらためて
「この先に敵が待ち構えている恐れは?」
「この水路は大河に
ノルヌイ
それはこのクルヌイ
王国軍が管理するその
そこまで逃れられればコンラッド王子の安全は確保されるだろう。
その総指揮官の話に、クローディアはとりあえず一つ息をつく。
だがそこで1人の兵士が青ざめた顔でその場に駆けこんで来たのだ。
「た、大変です! 王子にお
その凶報に総指揮官は顔をしかめる。
「馬鹿な……王子は確かに4人の侍女を連れてここから脱出されたのだぞ。私もこの目で見た」
総指揮官はそう言うと周囲の者たちを見る。
他の者も同じくコンラッド王子が逃げる際には侍女は4人いたと記憶していた。
「……何かおかしい。まずいわね」
クローディアは何やら胸騒ぎを覚えてベリンダと
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