第156話 漆黒の兵士
クローディアによって
「ふうっ。助かりましたわ。だけどワタシの
「どうってことないわ」
クローディアは
周囲では王国軍の兵士たちが
「我こそは分家のクローディア!
クローディアを直接見たことのある兵士はおそらくこの中にはいないだろうが、その
そう感じて兵たちは
「下の連中は我らが同胞が蹴散らすから安心しなさい!」
そう言うとクローディアはすぐ近くにいた将校と
「コンラッド王子はどこにいらっしゃるの?」
「王子は脱出の準備を整えています。この
「そんな道が? それならなぜサッサと王子を脱出させなかったの」
「それが……ここのところの長雨で水路に地下水が流れ込んで増水し、通れる状況ではなかったのです」
公国兵に
ようやく水路の水が標準の水位に戻りつつあるので、水路内部の通路を使えるようになったという。
コンラッド王子は数名の
その話を聞いてベリンダは拍子抜けしたように肩をすくめる。
「それなら安心ですわね」
「いや……水路の先に敵が待ち構えていないとは限らないわ。油断は禁物よ。ベリンダ」
クローディアがそう言ったその時、前方で悲鳴が上がった。
先ほどまで壁を
クローディアはその将校に
「あの黒い
「それは……分かりません。今日になって急に現れた奇妙な敵兵でして、
全身、肌も見えぬほど
全身を金属でガチガチに固めたその姿は実に
すばやい身のこなしで周囲にいる兵士を次々と
「あの兵士。あんな格好で
そう言うとベリンダは
そんな彼女の背にクローディアは声をかけた。
「気を付けなさい。あの姿で壁を登ってきた奴よ。相当な体の強さを持っているはず」
そう言いつつクローディアは何か違和感を覚えていた。
さらに熱した油を浴びたせいで
(おかしい。あんな攻撃を受けたら、いくら完全防備でも肉体には相当な衝撃とダメージがあるはず。下手をすれば死んでいてもおかしくないわ。それなのにまだあんなに動けるなんて……)
警戒するクローディアの前方ではベリンダが
「ダニアのベリンダ。参ります。王国兵の皆さまはおどきなさい。ワタシの
クローディアの
その合間を
その鋭い
その動きは速かったが、それでもベリンダの目は敵を完全に捕捉している。
「死になさい!」
ベリンダの
ベコッと
だが……
「……気に入らないですわね」
今度はベリンダが連続で
そしてベリンダの最後の一撃が
だが……。
「グググ……」
ベリンダはさすがに
普通ならば立ち上がれないほどの手傷を追ったはずだ。
だというのに
そして
男の顔はその肌がドス黒く変色しており、さらに目は真っ赤に充血していた。
だらしなく開いた口から
「ば、化け物だ……」
「普通じゃないぞ……」
舌打ちをしてベリンダは
「クローディア?」
「化け物かどうか、ワタシが試してやるわ」
そう言うや
次の瞬間、クローディアが
首から上を失った胴体は血を噴き出しながらドシャッと倒れ込み、斬られた首は床に転がり動かなくなる。
その様子を見下ろしてクローディアは剣を振るって刃の血を払うと、切っ先を天に向けて
「首を斬られて死ぬなら、そいつはバケモノなんかじゃないわ。異様だろうが何だろうがワタシたちと同じ人間よ。恐れることはないわ!」
堂々たる女王の
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