鋭い鼻を持つ者たち
黄舞@9/5新作発売
鋭い鼻を持つ者たち
「どうだ? 対象は見つかりそうか?」
うだるような炎天下の中、長髪の女性――ナーシャが額の汗を拭きつつ先を歩く男に話しかけた。
ナーシャは可能な限り肌を晒したくないという強い意思を体現した、黒を基調とした服装で身を包んでいる。
さすがに顔を隠す訳にはいかないため、頭には幅広のつばの付いた黒い帽子を被っていた。
「まぁ、待て。臭いは間違いなく強くなってる。この先に居るのは間違いないさ。それにしても、このくそ暑いってのに、よくそんな格好でいられるな? 見てるこっちが暑いくらいだ」
「今さら言うことか? いったい私と組んでどれほど経っていると思っているのだ。そもそも君はそんなに立派な毛皮を四六時中身に付けているというのに」
答えた男――ヴァルゴは、この地方では最も多い人口を持つ
頭の上下左右に付いた垂れ耳は、まるでイヤーマフのようだとナーシャは思っている。
ヴァルゴ自身は上半身は裸、身に付けている物は短パンと靴だけだが、生来の純白の毛並みのせいで、遠くから見ると白基調の服を全身にまとっているようにも見えた。
一方のナーシャは
「お前と組んでどれほど経ってるって、今日ボスに言われて組んだばかりだろう。そして俺とお前は初対面。出会ってから数時間ってところか?」
「そうだ。数時間
「はー……唯人ってのは皆そうなのか? ボスの命令だから仕方がないが、この仕事をさっさと終わらせて、金輪際こいつとは組ませないでくださいって言ってやんないとな」
「そういう言葉は思っても胸にしまうか、少なくとも本人である私には聞こえないように言うものだ。相棒は信用が第一だろう? いずれにしろこの仕事を早急に終わらせる必要があるというのには私も同感だ。今こうしている間にも被害者は増え続けているのだからな」
両手を上げて天を仰ぐヴァルゴと、いたって真面目な口調で話すナーシャ。
このちぐはぐな二人が追っているのは、最近巷で広がっている違法な
傷を治癒するために用いる回復薬自体は、多種多様なものが市販され、存在自体も合法。
その内のひとつ、件の回復薬は効能自体は劣悪だが、傷口に使うと異常なまでの爽快感を持つ。
その爽快感には依存性があり、短期間に連続して使用すると中毒症状を与える。
そうなるとわざわざ自傷して回復薬を使うという異常行動に走るようになるのだ。
ヴァルゴの所属する保安局第三課は、これまでに販売元や製造元を突き止め根絶やしにしようと躍起になっていた。
長い月日と、相当数の課員を動員しても、これまでに見つかったのは深い事情を知らない末端の売人だけ。
しかし、とうとう売人に捌いている元締めらしき人物の一人を突き止めた。
課で一番の実力者であるヴァルゴに、その捜査員として白羽の矢がたったのは当然の成り行きといえる。
「分かりました! 任せてください!! 必ずやつをとっ捕まえて、知ってる情報根こそぎ吐き出させてやりますよ!!」
指名されたヴァルゴも、絶対に犯罪組織の尻尾をつかみ、文字通りそれにかかわった者たちの尻尾を引っこ抜いてやる、と一人息巻いていた。
そんなところに現れたのがナーシャだった。
その時のヴァルゴのなんとも言い表すことの出来ない感情は、推して知るべしだろう。
人種によって様々な多種族より優れた特徴を持つ獣人たちに対し、唯人は優れた特徴を持たないというのが一般常識だったのだから。
唯人は獣人とは違い、誰かの囁きを聞く耳も、遠くに佇む人物を見分ける目も、抵抗させない強靭な腕力も、逃走を許さない速力も、そして対象の臭いにより追跡する鼻も持っていない。
ヴァルゴにとって、今日突然捜査に同行を命じられたナーシャという唯人は、お荷物以外の何物でもないというのが正直なところだ。
「この先だな。見つけた臭いの元は。うん? まずい! おい!! 急ぐぞ!!」
「どうした? 急に。急ぐぞと言われても、私は君みたいな健脚は持ち合わせてないんだがね」
「あーもう! 向こうの角を右に曲がったら真っ直ぐだ! 適当に後からついてこい!!」
ヴァルゴは返事も待たずに駆けだした。
どうやら予想外の出来事が起こっている、いや、起こってしまった後のようだ。
ナーシャは離れていくヴァルゴを見つめながら、ふぅと息を吐き、再び汗を拭った。
***
「こりゃひでぇ……こうなっちまったらもう追加の探索はお手上げだな」
ヴァルゴがたどり着いた路地に、目的の売人は物言わぬ姿で倒れていた。
辺りには売人から流れ出た血の海が徐々に広がっていく。
今まさに凶行が成されたことを示すものだが、ヴァルゴの顔に見えるのは諦めの表情だった。
「ふぅ……こんな暑さの中、急ぎ足なんてするもんじゃないな。頭がくらくらする。おや? そちらさんが、今回の対象で?」
ヴァルゴが現場に辿り着き、何か手掛かりになりそうなものがないかと一通り探した後になってようやく、息を切らしたナーシャが入ってきた。
ナーシャを見たヴァルゴはまるで八つ当たりのように舌打ちをする。
「ああ! 残念ながらな! さっきまで生きてたんだ。今は、見ろ……こんなんになっちまってはもう
「追えない? たった今対象を殺した犯人が近くにいるのなら、今度はその犯人を追えばいいのでは? この場所の臭いを纏った近くにいる人物を」
「はぁ……唯人ってのは常識すら持ち合わせないのか? 俺ら犬人が追うためには、明確に対象の物だと分かる臭いを覚える必要がある。一度に覚えられるのは多くねぇ。どこまでも追うなら、普通のやつで一種類、良くて二種類だ。俺は三種類は出来るが、それでも無理だ。何故だか分かるか?」
「いいや。ちっとも」
「この血だよ! やろう。血に【臭わずの花】の汁をばらまきやがった。まぁ、よくある手だから仕方がねぇが」
「臭わずの花……面白い表現だ。こんなに芳醇な香りを持つというのに。この花はこの地方至る所に生え、多くの獣人が自らの体臭隠しに使う習慣があるらしいね。鼻が良すぎるというのも考え物だ。人それぞれ体臭は違う。それゆえ獣人たちには、何もしないと誰がどこにいるのかすぐに分かってしまうのだから。それを無効化するため獣人たちは様々な香りを身に纏う」
ナーシャの言葉にヴァルゴはあからさまに苛立ちを見せた。
ヴァルゴの問いに分からないと応えながら、きちんと自らその理由を口のしたのだから。
必要なのは対象を特定できる、もしくは狭めることの出来る臭いだ。
汎用的な臭いでは、特定することは不可能だし、強すぎる臭いがあるせいで、ヴァルゴには臭わずの花以外の臭いが嗅ぎ取れなくなってしまっていた。
もっともそれが犯人が狙ったであろう成果なのだが。
元々短気な性格のヴァルゴは、怒鳴り散らしてやろうと自慢の牙が生え揃った口を大きく開け……その鼻先をいきなりナーシャに抑えられ、面を食らってしまった。
「まぁ、待て。せっかくの糸口になりそうな対象を殺してしまった犯人。その手がかりを君が見つけるのが不可能なのは百も承知だ。だが、そのために私がいる。そうだろう? 相棒」
「なん……だと……?」
ナーシャはおもむろに懐から細長く薄い紙の束を取り出し、その紙の先端を至る所に擦り付け、自らの鼻先で扇ぐように振った。
ヴァルゴにはナーシャが何をしているのか、見当も付かない。
まるで自分と同じように臭いを嗅いでいるようだが、他の獣人たちに比べ嗅覚に優れる犬人、その中でも特殊な訓練を経て選ばれた自分に出来ないことを、唯人のナーシャが同じ嗅覚で何か手掛かりを見つけるというのだ。
ヴァルゴは怒るの通り越し、呆れかえってしまった。
こいつとは話をするのも時間の無駄だ、とヴァルゴはため息をひとつ。
路地に漂う臭いが辛いのもあり、ナーシャを置いて、少し離れた風通りの良いところへと移動する。
「はぁ……仕事を終わらせた後にボスに報告と言ったが、今日帰ったらすぐにでも解散を申請しねぇと……ただでさえストレスが多い職場だってぇのに、なんであんなのと――」
「今度はきちんと私のいないところで言ったのだな。つまりは少しは私に対する信用を得たいと、努力する気持ちを持ってくれたわけだ。なるほど」
「……っ! 唯人ってのはお頭まで弱いのか? どうやったらそういう考えが――」
「見つけたぞ。犯人の手がかり」
「は……?」
ナーシャの言葉に、ヴァルゴは思わず口をだらしなく開いた。
それほどまでに、ナーシャの言葉は荒唐無稽に聞こえたからだ。
「お前なぁ……どういうつもりか分からんが、嘘を言ったて何の意味もないんだぞ? それとも何か? 有りもしない情報を上げて、捜査をかく乱させようとしているのか? そういえば、今日の対象を俺が追跡するのは極秘情報だったはずだ。その対象が殺された。たった今だ。どうやって漏れた?」
「嘘? 嘘なんて言うのは不合理すぎる。そんなことをすれば、相棒の君との信用に修復しえない傷を作ってしまうではないか。それに何故バレたのかも大方予想がつく」
「いいだろう。あくまでもお前はまともで、嘘は言ってない。ならば、教えてもらおうじゃないか。その犯人の手がかりってのを」
「手がかりはこれだ」
「毛……? これが犯人の毛だってのか? そんなものよく見つけたな……しかし毛だけじゃ相手を特定するは至難の業だぞ。どうせ体臭隠しを使って……うん? 嗅いだことのない臭いだな?」
ヴァルゴはナーシャから手渡された毛を鼻先に当てる。
鼻をヒクつかせるが、全く知らない臭いだった。
「確かに珍しい臭いではあるが、これを手掛かりに対象を探すってのも無理がある。それこそ砂浜から目的の砂を見つけるような作業だ」
「その必要はないぞ。相棒。もう対象が誰かも分かっている。と、なると必要なのは証拠集めの方だな……ちょうど三つ追えるならおあつらえ向きだ。私の工房に戻ろう」
「工房だぁ? お前いったい……おい! 勝手に歩き出すな! おいったら!!」
***
「いらっしゃい。おや。バーナードさん。今日はお一人で?」
ナーシャがカウンターの内側に立つ店に、一人の上質そうな装飾品を複数身に付けた女性が入ってきた。
この店がナーシャの本業で、女性はそのご贔屓さんの一人だった。
バーナードと呼ばれた犬人の女性は、鼻をヒクつかせながらナーシャが立つカウンターへと近づいた。
「こんにちわ。ナーシャ。相変わらずこの店は気持ち悪いくらいに臭いがしないわね」
「ああ。雑味があると本来の香りが楽しめなくなるから。本日の用件は?」
「いつも通り、体臭隠し、あなたは香水と呼ぶんだったかしら? それを。今まであなたから買った三種類。すべて気に入ってるのよ。それはもちろんいただくわ。他にも新しいおすすめがあれば、そっちも嗅がせてちょうだい」
バーナードは笑顔だが、一度に四種類の品物を受注したナーシャは思案顔だ。
それがバーナードには不思議に思えて、ついつい言葉を発してしまう。
この店の主は言葉遣いは荒いが仕事に関してはとても合理的な考え方をする。
バーナードは今まで通った間に、ナーシャの性格をそう結論づけていた。
「どうかしたの? おすすめがすぐに出ないなら別にいいわ。今までの物をちょうだい」
「いや。おすすめはすぐに思いついたし、用意も出来るんだが。それを売ってしまうと四つか……と思って」
「どういうこと……? 話が見えないわね」
「こちらの問題で。ああ。噂をすれば、来たようだ。どうだった? 相棒」
ナーシャの言葉にバーナードが入口の方を振り向いた。
そこにはバーナードと同じ犬人の男――ヴァルゴが立っていた。
「ばっちりだ。もう十分すぎるほどの証拠が集まったぜ」
「そうか。それは良かった。ということなのでバーナードさん。次のおすすめを用意しよう。これは私からのせめてもの手向けだ。好きに使ってくれて構わない」
「手向け? ねぇ。いったい何なの? 私をおちょくっているとでもいうの!? いいわ。唯人がやってる珍しい店だからと贔屓にしてあげてたけど、誰を馬鹿にしたのか思い知るがいいんだわ」
「いやぁ。それが、そうはいかないんで」
「なんですって!?」
ヴァルゴは気楽な様子でバーナードに話しかける。
それがバーナードの感情を逆なでする。
「あなたはいったい誰なの? 馴れ馴れしいったらありゃしない! いいわ。今すぐ保安局を呼んであげるんだから。私の親しい人に保安局の課長がいるの。私が言えば、あなたたちなんてどうにでも出来るんですからね」
「いやぁ。それが、そうはいかないんで」
先ほどと全く同じ言葉をにこやかに返すヴァルゴに、さすがのバーナードもおかしいと気付く。
辺りを見渡すと、店の外には保安局第三課に所属する課員たちが集まっていた。
「な、なんなの!? あなた、私をどうするつもり? 私は健全な一般市民よ! 保安局に用になることなんて一つも!」
「それも。それが、そうはいかないんで。バーナードさん。先日殺人現場に居ましたね? 巷を騒がしているとある回復薬の売人が殺されたその現場に」
「売人? 回復薬? 知らないわ! それが私と何の関係があるというの!」
「知らないはずはないんですよ。この鼻でしっかりと探って来たんですから。売人を殺したのがあんただという証拠は残念ながら見つけられなかった。代わりといってはなんだが、回復薬の製造場所や保管場所がどんどん見つかった。あんたの付けた体臭隠しを辿ったらね」
ヴァルゴの言葉に、バーナードは目を見開いてナーシャの方を見た。
動揺の色が隠せないバーナードとは対照的に、ナーシャは表情をぴくりとも変化させない。
「た、体臭隠し!? ぐ、偶然は怖いわね。この店の体臭隠しを使ってる人が犯人だった。って話なだけでしょう? 私は関係ないわ。きっと他の人が私と同じ体臭隠しを使っていたのよ。その人が犯人よ」
「私の作る香水はフルオーダーでね。その人の体臭や好みから、適した物をその人専用に作るんだ。現場に落ちていた毛から香ったのは、ベニハコベ、ウンショウマロ、メルビー。まぁ他にもあるが。同じ物を使っても、その割合が少しでも違えば全く別の香りがする。あの場にあったのは、間違いなくバーナードさんに売った香水だったよ」
「そ、そんなのあなたの思い違いかもしれないじゃない!!」
「そう。だから相棒に頼んだんだ。バーナードさんに売った三種類の香水を元に証拠を集めるように。それが今言った通りだってことだ。香りの女神がいるなら、誓ってもいい。同じものを誰かが作るのは不可能だ。そして先に言っておくが、バーナードさん以外が知らないところで使ったってのも無しだ。言っただろう? 私の香水は相手の体臭も考えて作ると。別の人が使ったら、全く違う臭いがするんだよ」
そこへヴァルゴが追い打ちをかけるように言葉を投げる。
「言っただろう。証拠は十分すぎるほどに集まっていると。第三課だけじゃなく、殺人専門の第一課も動いてる。ちなみにあんたの
「なんですって!?」
「もちろん、あんたの身柄を拘束する権限は発令済みだ。何か言いたいことがあるなら、ここじゃなくて、法廷で言うんだな。おっと! 逃げようとしたって無駄だぞ? 俺が言うのも癪だが、うちの課には犬人がどんなにあがこうと逃げられない力自慢と脚力自慢の課員もいるんだからな」
バーナードは観念したのか、その場に崩れ落ちるようにうずくまった。
その後バーナードを中心とした大々的な捜査が行われ、少なくとも表面上では中毒を引き起こす回復薬は姿を消し、それにかかわっていた大物たちも、少なくない数の逮捕者が出た。
***
「いらっしゃい……おや。相棒。いや、もう相棒ではなくなったのだったか。今日は何のようだ? 君も私の作る香水が欲しくなったか?」
事件が落ち着きを見せ始めた頃、ナーシャの店に、あの日以来ぶりにヴァルゴが訪れた。
何故か恥ずかしそうに鼻先を指でかいている。
「いや……実はお前、いや、ナーシャに謝らなきゃならないと思ってな」
「私に? 謝る? 何を?」
「俺はあの日、ナーシャと組んだ日に、間違いなく唯人だという理由だけで、ナーシャを馬鹿にしていた。とんだ思い上がりだったよ。すまん」
「ああ。君はずっと名前すら読んでくれなかったね。終いには個人を表す言葉ではなく、私を指して唯人だと。間違いではないが」
「すまん! 唯人は全ての点で獣人に劣る。そう聞いて生きてきたが、よく考えればナーシャが俺は合ったことのある唯一の唯人だった。それなのに最初からレッテル張りなど」
「ふむ。今日の君の行動は随分と合理的じゃないな。もう相棒じゃなくなったんだ。今後接点を持つ可能性の低い私に、過ぎ去ったことに対する謝罪なんてして」
ナーシャは怒るでも笑うでもなく、真面目な顔つきでヴァルゴを見据えていた。
ヴァルゴは自分の謝罪が受け入れられたのか、それとも拒絶されてしまったのか分からなかったが、構わず言葉を続けた。
「ただ、一つだけ教えてほしい。俺は犬人だ。嗅覚には自信がある。あの現場は臭わずの花の臭いで充満していたはずだ。他の臭いを全て覆いつくすほどに。そんな中、どうやってあの毛を見つけたんだ?」
「ああ。そんなことか。君はそれが知りたくて今日来たんだな。それなら合理的だ。知識欲というのは時間が経てば経つほど強まるものだから。答えは簡単なことだ。唯人の私は犬人の君より嗅覚がずっと弱い。だから、臭わずの花の香りだって、そこまで酷くは感じなかった」
「俺の鼻が良過ぎることが、逆に足枷になってたってことか……」
「それとね。唯人の、いや私のと言った方がいいかな。私の特技に、一度嗅いだことのある香りは絶対忘れないというものがあるんだ。君は一度に覚えてられる香りは三つが限度と言ったね? 私は生まれてこの方嗅いだ香りの全てを覚えているし、どこで嗅いだか思い出せる。君みたいにその香りを追うということは出来ないけどね」
「全てだって!?」
「ああ。全てだ。嘘偽りなく」
「ふ……ふはははははは!!」
ヴァルゴは気が狂ったように笑いだす。
それを見たナーシャは目を細めた。
「なるほど! 鼻の良さというのもそれぞれなのだな! 実は、今日はもう一つ用があってここに来たんだ。ボスからの命令でな」
「命令?」
「ああ! 再び厄介な事件が起きててな。その解決に俺ら第三課が出張ることになった。そこで、だ。またナーシャと組め。そう命令が下った」
「しかし。君は金輪際私とは組みたくないと言ったんじゃなかったのか?」
「おいおい。臭いだけじゃなく、会話まで全て記憶してるとか言うんじゃないだろうな? あんなもんはなぁ、もの知らずだった過去の馬鹿な俺が言ったたわ言だ。俺の鼻とナーシャの鼻。この二つがあれば大抵の事件は解決できると思うぜ。なぁ、ナーシャはどう思う?」
「ふふ。それはヴァルゴにしては非常に合理的な考え方だと思うよ。なぁ。相棒」
鋭い鼻を持つ者たち 黄舞@9/5新作発売 @koubu
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