好きだったゲームの世界に転移したので推しに会いに行こうとしたら既に近くにいました!…え?

くさもち

短編

「マジかよ…」

僕、加藤駿は絶句している。

なぜなら

「私は悪魔の子だから…」

「違う!エレナは悪魔の子なんかじゃない!」

「ありがとう。その言葉が聞けて良かったよ」

僕の推しが死んだからだ。


それでもストーリーはまだまだこれからも続いくらしい。

「うう。彰。なんで教えてくれなかったんだよ〜」

「うわ泣いてんじゃん。てかお前が教えるなって言ってたからだろ」

「でもさー」

このゲームを始めたのはこいつが教えてくれたのがきっかけだ。

「ストーリー進めれないかも」

「そんなに!?でも普通にお前が課金までして手に入れたエレナは使えるから大丈夫だろ」

「それじゃあダメなんだよ!」

「なんでだよ!?」

だってエレナは最終的に救われてない。


赤い目から悪魔の子と言われ何でもできる姉に劣等感を感じて、1人離れて正体を隠しながら、盗賊やドラゴンを倒して、必要あれば悪徳領主なんかも倒して暗躍していた。

それでも会った時にまた負けて、そこから主人公や姉や仲間たちと旅をしてボスを倒そうとするけど今の戦力じゃ全滅すると分かった時、エレナは自分を…

ここからは悲しすぎて言えない。

でさっきのシチュエーションだ。


「まぁ明日からまた学校だから来いよ」

「体調が悪すぎて明日は死んでるかも」

「そんなに!?」

彰には心配されたが学校は毎年皆勤賞を取ってるからそれを絶やさないよう行くつもり。

「駿ー!ちょっとお使い行ってきてー!」

「マジか」

外に出るのも気分転換でいいかもしれない。


「えーと、このレシピのものを買えばいいのか」

スマホで確認していると

「誰かあのひったくりを捕まえて!」

と僕の横を通り過ぎる。

僕は頑張って走った。

もともと僕は身長が平均よりもちょっと低く、体力もあまりなかったことを走ってから気づいた。


その瞬間僕は来ている車に轢かれた。

意識が遠のく。

明日は死ぬって言ったけど、ガチになるかも。

ひったくり犯はどんどん遠ざかっていく。

人を事故に巻き込んでおいて、まぁ僕が横を見ていなかった自業自得かもな。赤信号だったし。

「おい!大丈夫か!」

「誰か救急車」

だんだん聞こえなくなる。目も…


「え?」

僕は森の中にいた。

待て待てどういうことだ。

死後の世界って言うやつ?

天国へ続く道的な?

「とりあえず天使か、人か分かんないけど探すか」

僕は歩いて誰かを探すことにした。


そのうち見つかるだろうと考えていた僕が馬鹿だった。

辺りはもう暗くなってきた。

「どうしよう野宿か」

よくお父さんと小さい頃は登山してたまに野宿なんかというサバイバルもしたことがある多分大丈夫だ。

近くに湖もあったから、恵まれている。

すると、火が灯っているのを見つけた。

人がいる!僕は急いで茂みから出た。


だけど

「誰だお前!」

「あいつの仲間か!」

「いやあいつは仲間がいないはずだ」

「けど火をつければあいつが来てめった刺しにできるって言ったのはお前だろ!」


え?

天使でも優しい人でもなくむしろ悪魔のような山賊がいた。

「こ、こんにちは。道をお尋ねしたいんですが?」

「バカなのか?俺たちは山賊だぞ?そこにある荷物を寄越せ」

「やっぱりあいつの仲間では無いのか」

「まぁいい一般人を人質に取ればあいつは…」

ということで僕は何故か手を後ろで縛られ臭いおじさんと一緒にいる。

口も縄で喋れない。

一旦状況を整理しよう。

まずここは天国へ繋がる道ではない。これは確定。となると、ここはワンチャン異世界!?

転移したってこと!?

彰残念だったなぁー僕はチートで異世界無双してやる!


試しに心でファイア!

あれ?反応がない。

転生までしないと無理か。

「ちっ。少しは金があると思ったがガラクタばかりじゃねーか」

「ちょっと声を抑えろ。あいつが近くにいるとバレるぞ」

さっきから言っているあいつって誰だろう?


すると、茂みから風が吹いた音がした。

少し冷たい風だ。

見ると、山賊の1人が倒れていた。

「ひぃ!あいつだ!」

「冷酷の悪魔か!」

冷酷の悪魔?もしかしてここは地獄へ続く道?俺も死ぬ系?

そんなことを考えていると

「まだこんな所に残党が」

フードを被った僕よりちょっと背が高い人がそう言った。

「おい!こいつがどうなってもいいのか!」

この人からしたらどうでも良さそう。

「1秒で終わらせる」

あーせめて楽に…

しかし僕の縛られていた口と手の縄は解け、山賊たちは倒されていた。

ちょっと返り血を浴びたが轢かれた時よりはマシだ。


「大丈夫ですか?」

どうやら再び意識が遠のくことはなかったみたいだ。

「あの、ありがとうございます」

「君はどうしてこんな森の奥にいるんですか?ママとパパは?」

低身長なせいか年齢から3引かれても違和感がないと彰に言われていた。150ピッタリに今年入ってからなれたくらい。

もう慣れたからいいけど

「僕お父さんとお母さんがいなくて、それで途方に暮れて迷子になって」

あながち間違いではない。

と言うと目があった。


僕が好きだった推しと同じ赤色の目だった。

「ああ、すみません。怖がらせてしまいました。ところで行くあてがないなら私の家に来ますか?」

「お願いします」

人を倒してても僕を助けてくれた人だから怖がってなんかないのに。


「夜の森は危険だから手を離さないでください」

「分かりました」

お母さん以外で女性と手を繋いだのは初めてだ。ちょっとドキドキした。


それから僕達はしばらく歩いた。

途中、僕のことについて聞かれた。

年齢は17と言うと

「意外と歳が近かったのですね。すみません」

「良くあることですから気にしないでください」と返した。

女性に年齢を聞くのはいけないと思いやめた。

さらに、

「あなたは私が怖くないのですか?」

「なぜですか?」

「だって私赤い目をしているから…」

「赤い目をしてても僕を助けてくれた恩人に変わりはありませんよ?」

「そうですか」

と言って無言になった。

推しにもそう伝えたいと思った。


歩いていくとログハウスみたいのが見えてきた。

「返り血を浴びているのでお風呂に入って」

「分かりました」

家でもその人はフードを被ったままだった。


~~~~~~~~~~~~~~

私はエレナ・カーハート。

山賊たちを殲滅させた後、残党を追っていたら一般人を人質にしていたので保護した。

少年かと思ったけど私と一個下。

「お風呂上がりましたー。服貸してくれてありがとうございます」

その無邪気な笑顔を向けられるなんて初めてだから嬉しかった。後なんて言うのか…母性というか守りたいと思った。

お父さんとお母さんが魔物に殺されて急に1人になる子供はそう少なくない。私なら街に仕事場所を見つけるくらいはできると思う。

それにきっとこのフードを脱いだら彼は怖がってしまうからやめておこう。


私は生まれながら赤い目をしていた。目の色は黄色や青などがあるが珍しい。しかも私は水色の髪だ。

水色と赤の組み合わせは悪魔の色と言われ、家族からも一族の恥と言われ、爺や以外の使用人にも嫌われていた。

逆に姉は何でも出来た。魔法が6歳で解禁された時も氷属性と風属性が少しの私と対照に全属性使えた。

それから私はさらに悪魔の子なんて言われた。

でも爺やだけは私を悪魔の子なんて言わなかった。それから爺やは老衰で亡くなってしまい、私も魔法学園に入学する15歳になったが父親が入らせるつもりがないのを知っていたのでこうして森の奥に拠点を置き3年、山賊や時には税金だけを大量に巻き上げる悪徳領主なんかを殺していたら冷酷の悪魔なんて呼ばれた。


あの子は本当の私を見た時、なんて言うかなやっぱり悪魔なんて言うのかな。あの子に悪魔って言われるとちょっと堪えるかもしれない。

~~~~~~~~~~~

まず僕は自己紹介した。

「僕、加藤駿っていいます!」

「カトウ・シュン?珍しい名前ですね。私は…レナとでも呼んでください」

「分かりました!レナさん!」


僕はしばらくレナさんにこの世界について聞いてみた。

「ここはなんて言う国ですか?」

「もしかして君、記憶が無いのですか?」

「た、多分」

異世界のことなんて分かるはずがない。

「ここはサナリート王国の南西ズベルジという街の奥の森です。」

「サナリート王国ですか!?」

「え、ええ」

サナリート王国ってさっきやっていたゲームの舞台だ。ということは推しであるエレナさんに会えるってこと!?

「とりあえず私はお風呂に入ってきますね。ゆっくりしててください」

「はい!」

その人はフードを被ったままお風呂に向かっていった。

それにしても推しに会えるというだけでワクワクしてきた。

確かこの地図は地殻変動が起きる前のものだ。

ちなみに地殻変動が起きた時に魔物が大量発生してそこでたまたま主人公たちとエレナさんは会うということだ。さん付けしてるのは一応ゲームの設定ではエレナさんは僕より年上だから。

それにしても起きる前ということは修行中ってことか…

まだどこかで暗躍しているはずだ。

辺りを見回すと異世界の家っていう感じがする。


「これは」

棚の上に手紙があった。紙も日本みたいなものではなく、薄茶色だ。

勝手だけど読んでみたら、どうやらこの人はどこかのお嬢様みたいだ。使用人からの手紙だけど言い方が何か上から目線。僕だったらこんな人関わりたくないくらいだ。もしかしたら家出している最中なのかもしれない。


「何を勝手に見ているのですか?」

「す、すみません!」

「そこに置いている私も悪かったですね」

「いや僕が勝手に見てしまったからで…」

気まずい。

「ところで君はこれからどうするのですか?」

「僕は会いたい人に会いに行きます」

「会いたい人ですか…目星はつけているのですか?」

「分かりません。でもその人は今は1人で寂しいと思うので僕が会いに行って励ましに行きます!」

多分この時期は修行してても心には傷がある。本人はあまり自覚していないけど、それでも推しの力になりたいと思った。

「優しいのですね。多分喜んでくれると思いますよ」

「本当ですか!」

「まずは街に行きましょう。そこでその人の情報収集を行います」

「分かりました」

レナさんは頼もしい。良い人に会えた。


「ところでレナさんはフードを外さないのですか?」

「それは…あなたを怖がらせてはいけないので」

「怖がるって…僕怖がったりしませんよ」

「そんなこと言わないでください!」

「え、ご、ごめんなさい。僕そういうつもりで言ったわけじゃ…」

大きい声で怒られるのは怖い。

のことを思い出すから。

あれ?視界がにじんでいる。

こんなことで泣いてるのか?

「あーすみません。別に怒ってる意味で言ったわけではなくて」

おどおどしながらも頭を撫でられる。

「レナさん、僕の昔の話を聞いてくれますか?」

何故か誰かに話を聞いて欲しいと思った。

「いいですよ」


~~~~~~~~~~~~

「母さん!」

「大丈夫だよ。それより外で遊んできなさい」

「でも…」

「おい!酒はまだか!」

僕の父さんは昔は優しい人だった。でも僕が小学校高学年になると、会社が倒産し、仕事を探さず酒に溺れる生活をするようになった。

母さんは朝から晩まで働き、父さんの世話までした。

それでも父さんは僕に大きい声で怒ってきたり時には殴られたりした。

それを庇っている時の母さんを見る時は申し訳なさでいっぱいだった。

父さんは中学校に上がる頃に肺炎で亡くなった。

母さんは今も元気にやっていると思う。


~~~~~~~~~~~~~

「今まで良く頑張ってきたんですね」

強く抱きしめられる。

「まだ君は子供なのにそれを乗り越えてきたんですね」

「僕…」

そうだ。僕はこれを話して誰かに認めて欲しかったんだ。

「今のだってただの僕のエゴですよ」

「そんな訳ないよ。勇気を振り絞って話してくれた、君は偉いですよ」

僕はレナさんが持ってきてくれたタオルで拭くと

「僕、会いたい人に必ず会いに行きます!

そしてレナさんのように励ましてあげます!」

「きっと嬉しいと思いますよ」

と言ってくれた。


すると、

「それじゃあ私も勇気を出してフードを外します。嫌だったらすぐ着るので」

とフードを外した。

……え?

そこにはゲームで何百回と見てきた姿があった。 水色のショートカットにルビーのような赤い目。

「ほら私はこの見た目から冷酷の悪魔なんて言われているんですよ」

僕のお年玉の8割を飛ばしてまで手に入れた、推しがいた。


え?こんな近くにいる?理解が追いつかない。

「やっぱり気味が悪いですよね」

「そんなことないです!綺麗な水色の髪でルビーのような瞳、後本当は優しい人って知ってます!というか好きです!大好きです!結婚したいくらい」

「え!?いや、そのあ、ありがとう///」

推しに会ったら言いたいこと全部言えた。

あれ?あ、今なんて言った?

結婚したいくらい…?

それは言いたいことに含まれてないぞ?

や、やばい急に結婚したいとか馬鹿だろ。

嫌われた。推しに嫌われたら生きていけない。

「好きなんて言われたことがなかったのでどう返せばいいのか分からないけど、私も君のことを好きになったし、支えたいと思いましたよ?」

……………………………え!?

僕は嬉しさのあまり脳が処理できず倒れた。


~~~~~~~~~~~~~

「寝っちゃってるのかな?」

倒れたからびっくりしたけど今は寝ているみたい。

「寝顔かわいい」

思わず…って何を考えているんですか私は!?

だから姉様にも…

今はそんなことよりもさっきは急に大きな声で言ってしまって怖がらせてしまった。家にいた頃も近所の人にフードをつけるなんてもったいないと言われたから外したら悪魔だと言われた以降、期待されるのが嫌でついあんなことをしてしまった。フードを外した時は悪魔だと言われることを予想してたけどそれを外してさらに、

「求婚までしてくるなんて…」

今日初めて会った相手に言われるなんて誰も考えれないと思う。

しかも私の容姿を見て、褒めてくれたのは爺やしかいなかったから嬉しかった。

「ありがとう。シュンくん。」

私はそう言って眠りについた。


~~~~~~~~~~~~~~~~

目が覚めると既に朝だった。

横にはエレナさんがいる。

幸せ。え?

「エレナさん!?」

抱きつかれていた。ファンに殺される。

「おはよう。シュンくん。」

名前を呼ばれるなんてもう僕死んでもいいや。

「朝ご飯食べましょうか」

「僕も手伝います」

ということで一緒に朝ご飯を作っている。

「そういえばなんで私の本当の名前を知ってるのですか?」

「それは…手紙を見た時にエレナって書かれていたので」

「そうですか」

危ない危ない。


それか朝ご飯を食べてエレナさんと訓練することにした。

「魔法解禁は知ってますか?」

「知らないです」

知ってるけど知らない方が都合が良いと思った。

エレナさんは優しく教えてくれた。

「まずステータスオープンっていうと、こういう風にステータスが出てきて魔法属性が氷と薄い緑の風って分かって風が薄いのは普通よりちょっと劣っている意味なんですよ」


そう。だから僕はエレナさんの武器を最高ランクのものにして風属性が薄くても一般レベルまで持って行けるようにしたのが懐かしい。


「じゃあステータスオープンって言って見ましょうか」

「ステータスオープン」

と言うとステータスが出てきた。

「この魔法解禁っていうボタンを押せば自分の属性が分かりますよ」

「分かりました」

ボタンを押してみると、緑色と薄い水色が映った。

「風と氷属性みたいです」

「私と同じですね」

笑顔が眩しい。こんなのゲームだけじゃあ見れなかった。


実は氷と風は相性が良いと言われていて冷たい風で広範囲を凍らせられることもできる。

だから僕はエレナさんの風属性を極めてたというのもある。

エレナさんはそういうのもあり最強ランキングに入るほどだった。


でも今はそんなことをしなくても僕の風とエレナさんの氷で……最強になってしまった。

他にもステータスを調べていると

「身体強化に短剣か…」

短剣は動きが俊敏で二刀流ができる。

それに身体強化は合っているだろう。

「私は大剣だから相性が良いかも」


「僕、エレナさんと相性めちゃくちゃ良くないですか!」

手をブンブン振る。

「あ、ごめんなさい。ちょっと興奮しちゃって」

「大丈夫です///」


そこから簡単なトレーニングと魔法の練習をした。

簡単と言ってもめちゃくちゃハード。

「疲れた〜」

「意外とついてこれていますね。お昼ご飯にしましょう」

大きな木の下でサンドウィッチを食べることになった。

「お昼からは街でシュンくんに必要な物を買いましょう」

確かに短剣もエレナさんの物だし魔道具も属性は同じだから借りられたけど、自分の物は持っておきたい。ちなみに冒険者にならなくても適正武器は持つのが一般的に言われている。多分僕も冒険者になるけど。


「そうですね。あ、僕お金持ってなかった…」

カバンから取り出せば日本の1000円はあるけど使えるはずがない。

「私が全部払いますよ」

「後で返しますね」

「返す必要はないですよ。彼女に頼ってください」

「それって…」

「結婚はまだ早いですけど、お付き合いからなら私は大丈夫です…///」

………………………………え?

「本当ですか!?」

推しと付き合える日がくるなんて夢なのか、

もしかしたら本当にここは天国かもしれない。

「よろしくお願いします!」

「よろしくお願いします」


出掛ける準備をする。

「フードはしなくてもいいんじゃないですか?」

「街の人に見られたらいけないですから」

「あー多分街の人が惚れるからですよね」

正直エレナさんの美貌とスタイルと性格で街の男の人全員のハード射抜かれるからなぁ。

「そうじゃなくて、冷酷な悪魔なんて呼ばれていてもっと怖がられてしまうから着ていかないとダメなんですよ」

「それはエレナさんの本当の姿を知らないからそんなこと言えるんですよ。綺麗な水色の髪にルビーのような瞳を見ればきっと街1番の美女に選ばれます!」

「ありがとう///で、でも水色の髪に赤の瞳は悪魔の組み合わせって言われているから」

「それは地域の逸話なだけでこの辺りの地域はそんなの知らないから大丈夫ですよ!」


そう、主人公と会ってエレナさんは色んなところを回って悪魔の組み合わせなんてただの地域の逸話だと知る。というのをイベントを死にものぐるいで解放したサイドストーリーであった。

エレナさん家族の地域がたまたまそうだったなだけ。

「なんでそんなことが言いきれるのですか?」

「それは…」

サイドストーリーで知ったなんて言っても理解されない。

「本で読んだことです」

上手く誤魔化しきれた。

「なので!行きましょエレナさん!」

「でも…」

「もし何かあれば僕が助けます!必ず!」

エレナファンにかけて!

「うん!」


~~~~~~~~~~~~~

「うわ〜これが街か〜」

横でシュンくんが何かに感動している。

私は初めてフードを外して街に出た。

「まず買い物する前にギルドで登録しよっか」

「登録ですか!」

「身分証明証代わりになりますからね」

それにしてもさっきからシュンくんの顔が赤い。もしかして手を繋ぐのが緊張しているのかもしれない。

可愛いと思いながらギルドに向かうと一気に視線を感じる。

蔑まれた視線かと思いきや


「誰だあの美女?」

「さぁ、新人じゃねーか」


全然違った視線だった。

受付に向かうと

「新人さんですか?ようこそギルドへ」

「今日はこの人の登録をお願いしたいのですが」

「推薦人の登録もしたいのでギルドカードのご提示をお願いします」

職員さんの態度も全然違う。いつもなら慌ただしそうにするのに。

「レナ・サーター!?本当にご本人ですか!?」

すると周りがザワザワし始める。

やっぱり…

私は強く握ってしまう。

「大丈夫ですよ」

横でシュンくんが優しく言ってくれる。


「あの美女が冷酷の悪魔!?」

「いつもフードをしていて怪しかったけど」

「街の美女じゃねーか」


予想が外れてさらに恥ずかしく感じる。

急いでシュンくんのカードを作り、後にする。


「ね!言ったでしょ!」

「はい…」

シュンくんはこうなることを知っていたんだ。

私はシュンと出会えて本当に良かったと思う。私の考えも変わった。そしてなにより一緒にいたいと強く思った。


~~~~~~~~~~~~


「べっぴんさんやね〜」

「あ、ありがとうございます///」

なんか僕まで褒められているみたいだ。

「エレナさん。どうして偽名を使ってるんですか?」

「万が一家の者が来て調べられると困りますから」

家はもう既にバレてるらしい。だから手紙があったのか…


「じゃあ次はシュンくんの武器を買いに行きましょう」

「うん!」

それから武器を買ったり、僕が着るようの服を買ったり、魔道具を買ったりした。

魔道具は初心者でも扱いやすくそれなりの性能があるのでゲームの頃は助かった。


しかし

「全部お店で1番高いものじゃないですか」

「まぁ高いということはそれ相応の物でもありますから」

一気に申し訳なくなってきた。

「ここではお姉さんに甘えてください」

と頭を撫でられる。

女神のように見えた。


帰って、夜暗くなると僕達は今後について話すことにした。

「私、旅をしようと思います」

「え!?」

「今まで拠点を変えての生活でしたがいろいろな場所を見ようと思います」


そう。旅と拠点を変えての生活はちょっと違う。拠点を変えての生活は最低でも数ヶ月はそこに住むということだけど旅は各地を点々とし、基本的に日によって泊まる宿も違うということだ。


「この家はどうするのですか?」

「もともと空き家だったので所有者の問題はありません。ですが…シュンくんはどうしたいですか?」

「僕は…」

エレナさんが今18歳。地殻変動は1年後。

まだ時間はあるし、僕もいろんなところに行きたい。

「いつでもエレナさんと一緒にいます!」

「ありがとう」

「後、僕も旅をしながら強くなります!そしてエレナさんを守ります!」

「私も最強くなってシュンくんを守ります」

僕なんかよりエレナさんが何倍もかっこよく見えた。



それから僕達は旅をした。僕は冒険者になってエレナさんと一緒にクエストを受けたりした。やっぱり氷と風は相性が良く、困難な場面でも合わせ技で倒せたりできた。

ある日とある魔物を倒していた時に気になることがあった。

「このコア…」

ドロップアイテムが出るのは珍しくないけどなんか印象的だ。

「どうかしたのですか?」

「あ!」

これってエレナさんがゲーム内で倒されたボスのドロップアイテム!?


まずい。ストーリーを壊してしまった。

「ど、どうしよう…」

「大丈夫ですか?」

と頭を撫でられる。いつもこうされるからもう慣れた。緊張しない。

そもそも僕とエレナさんの出会いが物語を変えているから大丈夫かもしれない。

「よく分かりませんが、私がいるから大丈夫ですよ」

うん。多分大丈夫だ。


しかし、迎えた地殻変動による魔物の大量発生では

「シュンくん!ハリケーンを出して!」

「はい!」

そこにエレナさんのフリーザーが加わり、

大量の魔物を一瞬で凍死させた。

「やりましたね!シュンくん!」

「エレナさんのおかげだよ!」

うん?待て?ここでエレナさんと姉が再会するはずだけど…


「さ、サーナ、君の妹さんはこんなにも強いのかい?」

「妹は全属性なんか使えないから私より弱かったはず…」

そこには呆然とする主人公とエレナさんのお姉さんがいた。


「サーナ!どうしてここに?」

「エレナ、もしかしてこれはあなたが…」

「私だけじゃなくてシュンくんもだけどね」

「シュンくん…?」


何を話してるか分からないけどエレナさんのお姉さんからきつい視線が…

ゲーム内でも少し性格が難ありだったからなぁ。そこも一部のファンには受けてたけど。


ここでエレナさんは戦うはずなので、少し離れて待機する。

しかし、全くそういった音沙汰がしない。

すると、エレナさんが帰ってきた。

「エレナさん、お姉さんは…」

「今日はもう帰るって、あの人と一緒に魔王を倒しに行く旅に出るらしいよ」

「じゃあ…」

「けど、私は断ったよ」

え?

「シュンくんと他の国も旅をしたいからね」

………………………………………………え?

「えーー!」

いよいよ本気でストーリーを壊してしまったかもしれないけど


「シュンくん、帰ろう!」

エレナさんは手を出してくる。

まぁ最悪主人公が倒せなかったら僕達が行こう。

それまでは

「うん!」

僕は推しと楽しい生活を送ろう!



《ここまで読んでくださりありがとうございます!これからも仲良く推しと旅をして欲しいですね( ˆᴗˆ )

頑張って書いたのでもしよろしければ☆やTwitterフォローお願いします!

内容が分かりづらいや加筆修正して欲しいところがあればコメントしてくださると助かります》


Twitter

https://twitter.com/kusamoti251?t=zJa1zYfMMDsRFmoTGswdGg&s=09

































  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

好きだったゲームの世界に転移したので推しに会いに行こうとしたら既に近くにいました!…え? くさもち @41236987

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ