序20 太陽の見せる夢2

 あの日、珍しくみーちゃんが、自分の家で遊ばないかと誘ってきた。


「みーちゃんの家ってどこだっけ」

「校門から左へまっっっすぐ進んだ先だよ!」

 そうして二人で水溜まりを跨いで遊びながら帰ったのだ。

 みーちゃんの家につくと、大学生のお兄さんが帰ってきていた。


 身長は170センチほどで、体の線は細くて顔は青白い。不健康そうな人だった。

「美月、彼女は?」

「ともだち!あーちゃんって言うの!」

 私もペコリと頭を下げて挨拶する。

「あきなって言います。今日はみー……みつきちゃんと遊びに来ました」

「……そっか。暑かっただろう。麦茶を入れるから先に美月の部屋で待っているといい」


 おそらく、この時に目をつけられたのだろう。この時の私にはお兄さんが怪しいとは微塵も思わなかった。


 二人ですごろくをしながら遊んでいるとお兄さんが入ってきた。

「ほら二人とも麦茶だ。溢さないようにね」

 その日は蒸し暑くて二人とも一気に麦茶を飲み干して、またすごろくへと戻ったのだった。


 ――――――気がつくと眠っていたようで、起きると真っ暗な部屋だった

 最初は夜になっちゃったのかなと思い立ち上がろうとした。

 ジャリ

 足元から変な音がしたのだ。

 まるで金属と金属が擦れるような音だった。

「……なにこれ」

 触るとひんやりしている。

 やはり金属。しかも鎖だった。どうやら足に付けられているらしい。

 私はとたんに怖くなった。

 ゆっくりとにかく前へ進もうとする。

 すると今度は首元に違和感を感じた。

 触れてみると、それは金属ほど固くはなく、自分の首にかけられているようだ。

「もしかして、首輪?」

「おや、お目覚めかい」

 ガチャという音と共に扉が開いて、部屋に明かりが入ってきた。

「みーちゃんのお兄さん?これなに?」

「あきなちゃんを飼うための首輪と足枷だよ」

「もう夜だから家に帰らないと……」

「あぁ、心配いらないよ。今日からここが君の新しいおうちだ」

 意味がわからなかった。

「違う!ここは私の家じゃない!」

 そう言って立ち上がって扉の方へ走り出す。

 しかし、足枷の鎖は壁に打ち付けられていたようで、つんのめってお兄さんの足元に倒れこんでしまった。

「きゃっ!?」

「おやおや、そんな悲しい事を言わないでくれ秋奈ちゃん。これから愛し合おうというのに」

 そう言いながらお兄さんは私の顎を持ち上げて唇を重ねた。

「いや!……!?」

 抵抗するが力ずくでキスの状態を維持される。

 数秒後、キスからは解放されたが、私はすでに泣きそうになっていた

「……ふぅ、いいね、調教のしがいがあるってものだ」

 そう言ってお兄さん、いや、変態は部屋から出ていった。


 時計がないから何分たったのかはわからない。しかし、お腹が空いてきた頃何かを手に持って現れた。

「ほらご飯だ」

 そう言っておかれたのは、黒くて丸い物……キャットフードだった。

「……え?」

 そう言いながら変態の方を見る。

「聞こえなかったかな?これが君のご飯だ」

「……でも、これ猫の」

「そうだよ?君は今日から僕のペットなんだ。猫には猫のご飯をあげるのは当たり前だろ?」

「私は人です!こんなの……」

 食べられません。と言おうとした。しかし、言い切る前に鞭が顔をかすめ地面に叩きつけられた。

 バシン、と大きな音がなり私は目を閉じて怯んでしまう。


「ひ!?」

「今は僕のペットだ。そしてこれからもね。後で調教の時間だ。しっかり食べるといい」

 そう言って変態は部屋から出ていってしまった。


 暫くして今度は美月と共に現れた。

「ふむ、やはり食べてないか。まぁいい」

 そう言いながら変態は近づいてきて私の顎後ろへ回り込む。

「さて、こいつを加えて貰おうか」

 そう言いながら、小さな穴がいくつも空いたボールを取り出した。

 次の瞬間には無理やり私のや口に入れて、付いていた紐どうしを頭の後ろで縛った。

「んんん!!??んーーー!」

 声は全て唸り声にしかならず、呼吸も苦しくなった。


「さて、今日は秋奈ちゃんに僕たち主従の仲を見せつけて上げよう……おいで美月」

 この変態は何をいっているんだ?

「はい!《ご主人様》!」

 待って美月!何を言ってるの!?

「んーー!!んー!!ー」

 お互いが抱き合いキスをし始める。

 当時の私もここで気づいた。この兄妹はおかしいのだと。


 ――――――そこからは兄妹でまぐわうという、おぞましい光景が、一晩中続けられた。


「さて、明日からは秋奈ちゃんだよ。大丈夫。このお薬を使えば痛みは快楽にかわるから……ね?」

「っ!!?」

「大丈夫だよあーちゃん。この治療をすれば不安なことも、怖いこともぜーんぶなくなるんだから。ご主人様に任せればぜーんぶ上手くいくんだよ?」

「んー!んんん!!!んーーーーー!!!!」



 そこから七日間。乗り込んで来た警察官に助けられるまで、私は調教と称した暴力をうけ、治療と言われた強姦を受け続ける事となった。


 まだ10歳の時の出来事であった。


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茜色の魔法使い 音無桐谷 @oto22811

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