第046話 版権型《キャラロイド》
二足歩行の
小型の
座り込むカズキに追い打ちをかけるよう、顔面に追撃が撃ち込まれる。
揺れている脳では防ぐこともままならず、呆気なく後ろに倒された。
仰向けになるカズキ。
するとネズミの
「あぶぶぶぶぶっ!」
右に左に連打される
『グルァッ!』
威嚇に吠えながらスカイライナーが擬人化ネズミに向けて牙を剥いた。主人に危害を加える敵を排除するべく。
しかし二足歩行の
「な、なんだアイツ」
両頬を赤く腫らしながらカズキはようやくと立ち上がった。
同時にネズミの
「うえっ!」
右手甲をスライドさせ
焦るカズキを目掛けてネズミが跳んだ。
併せてカズキは右腕を突き出す。
ハンドボールのようにネズミ型
青白い光が放出されて、ネズミ型
手足を振り乱して抵抗する
そうして数秒後、力尽きたかのようにネズミは動きを止めた。
「な、治ったか……」
ほっと胸を撫で下ろし、カズキはすぐに赤鎧へ視線を戻した。
ネズミ型
そして動き出したかと思えば、何をするでもなく赤鎧は大きく跳んで夕陽の空に紛れ消えた。
頬を腫らして呆けるカズキは追いかける気力も無く、スカイライナーも隣で空を見上げている。
「とりあえず、コイツを学校に持っていくか」
『グル』
ネズミの
◇◇◇
「――ってな
「それは大変だったね」
体育の授業中、校庭ランニングを終えたカズキは
ジャージのような体操服姿で、生徒達がグラウンドを走る。
全5周のランニングのうち4周目を終える
「アイツ、もうちょい鍛えた方がいいんじゃねーの?」
「確かにね。
「いや全然。なんで」
「だって鍛えてるでしょ。前のランニングの時はもう少し時間かかってたじゃないか」
「そうだっけ」
「そうだよ。良かったら今度一緒に午後のトレーニング参加しようよ」
「いーけど、
面倒臭そうに答えるカズキに、御堂ツルギは「確かに片桐先生の時は気が緩んじゃうよね」と微笑み返した。
その後しばらくして、日室遊介も5回の外周を終えた。
「や、やっとゴールや…」
汗に塗れて息も絶え絶え、日室遊介はグラウンドに大の字で倒れた。
「お疲れ様、日室」
「だらしねーなー、お前」
「いや……ハァ、オレ……こういうの……向いてへんから……ハァ、ハァ……」
満身創痍の日室遊介に反して、ほかの生徒らは涼しい顔でランニングを終えている。残る二人の生徒もゴールしたが、彼ほど疲弊してはいない。
「今日の午後って、なんだっけ」
「ホールで
「寝るだろーな、コイツ」
大の字に寝転がる日室遊介を見て、御堂ツルギも「そうだね」と笑った。
体育の授業を終えたカズキらはシャワーを浴び、ロッカールームで制服に着替えた。
ほどよい疲労感のカズキと反し、日室遊介は「あ~、あ~」とゾンビのように低く
北館の屋上へ向かうと、いつも通りエルグランディアがシートを広げて待っていた。
弁当の生姜焼きに舌鼓を打ったカズキは、コンビニ弁当をかき喰らう日室遊介らと共に講堂へと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます