第007話 機粒菌《きりゅうきん》
【
発見と同時に世界中から注目を浴びた【
自己選択能力を有した
独立したエネルギー機関。
超高出力の人工筋線維。
それら【
【Artificial Intelligence Various Ideal Servant】――【
その利便性と有用性から、
「――なぜなら
「要するに、
「そういうこと。そこで私たち
「………」
右腕を
長い五指が
直後、右腕に装着した蒼い
「
「はい」
「うん。けど、どちらも
効き目の早さは彼のそれに劣るけど、代わりに細かい隙間を狙う必要がないのが利点だ」
「飲み薬と湿布薬みたいな?」
「そんなトコロだね。そうして機体の外側から【
「まぁ、だいたい……」
「だいたい分かれば充分。とにかくキミが【
ポンポン、と優しく背中を叩かれ、カズキは少しだけ緊張を
準備運動代わりに手足を動かしてみせると、驚くほど体が軽い。LTSでは『羽のように』という表現されたが、まさしくその通りだ。
蒼い手甲に拳を握り、カズキは自身の倍も大きい
LTSに入学してから、およそ2ヵ月。基礎的な体術や護身術、
足が小刻みに震えて止まらない。
重く圧し掛かる不安とプレッシャーが、体に拒否反応を示す。だが反対に、責任感と使命感がカズキの背中を無理に押した。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。僕が先導するから、
爽やかに、だが明らかに緊張を孕んだ笑みを浮かべて、
「ばかやろ。そんな無茶させられるか。お前さっき
「だからだよ。
「なら俺が一人で――」
「ありがとう。でも大丈夫だよ。僕はもう2回も
そう言うと、
「あっ…!」
走りゆく背中に右手を伸ばすも、届くことは決して無い。
その足を、カズキ自ら踏み出さない限り。
『グル』
その時、生身の左手に何かが触れた。スカイライナーの鼻先だ。
「ライナ……」
ギリッと奥歯を噛み締め、カズキは左手にも拳を握った。
その手で、自分の胸を思い切り叩く。
心臓が一瞬だけ動きを鈍らせた。血流が遮られて脳に考える時間を与えない。
少しだけ、弱い自分が断ち切れた――気がした。
「行くぞ、ライナ!」
『グル』
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