第005話 LTS
校舎の裏手に連れられたカズキ達は、がら空きの平面駐車場に在る、赤い4シートのオープンカーへ乗りこんだ。
シートベルトを装着した
一行を乗せた赤いオープンカーは【LTS第三支部校】と刻まれたゲートから公道へと出る。
【LAVER Training School】――通称【LTS】。
カズキらが通うこの【LTS】は、
そこに加えて
中学・高校から専門性の高い学校へ進学することが一般的となった現代において、医療や
なかでも【LTS】では授業内容に『実際に現場で仕事を行う』というシステムが設けられており、近年注目を浴びている。
ここにいう『仕事』とは、【LTS】が自治体や企業、個人から受けた依頼を、単位修得課題として生徒に発布したものだ。
今カズキらが「課題」と呼んで向かっている現場は【LTS】が受けた依頼の一つだ。同様に以前行ったゴミ拾いもまた依頼だ。
そうして【
辿り着いたそこはビビットカラーが特徴的な大型輸入家具店。リーズナブルな価格と気鋭のデザインが人気で、カズキも数か月前に訪れていた。
立体駐車場に車を止めて一階から店外に出れば、3人と1機は裏手の搬入口へ向かった。
そこにあるのは大きな
「あそこが今日の現場だね」
脇目も振らず片桐たゆねは、作業着姿の中年男性に声を掛けた。おそらく責任者だろう。
「お待たせー」
と、話を終えた
「それじゃあ早速、お手並み拝見といこうかな。たしか
「はい」
「じゃ、今日は一人でやってみようか」
屈託ない
「……やります」
――意を決した
そうして最後に、突端へトリガー付きのグリップを装着した。
「お前のそれ、昔の鉄砲みてーだな」
「猟銃とか火縄銃のこと? 確かに似てるけど、これは弾丸なんて出ないよ」
完成したグリップ付きの
「ヒューッ。カッコいいね~、
微笑む
けれどすぐさま、真剣な表情で顔を上げる。
5メートルはあろう
周りで
軽やかに着地を決めた
広い敷地と高い壁。白く大きな壁沿いには搬送用のトラックが並んでいる。
そのすぐ
汚れと錆びが目立つ白いボディ。両手は蟹を思わせる
「
手が届きそうな距離まで接近すれば、長い
バシュッ……と乾いた空砲音が響く。刹那、
「よし……!」
「終わりました!」
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