終
セティリアスが毒によって亡くなると、ロレシアは、空洞から外へ出て、セティリアスの後を追おうとした。
それをグノスが引き留めた。
「グノス、一人、ロレシア、居なくなる。
俺、イヤ、ロレシア、傍に居る。」
グノスはそう言うと、優しく、しかし しっかりと、ロレシアを抱きしめたのだった。
ロレシアはグノスの胸で、大粒の涙を流し、声を上げて泣いた。
それでロレシアは、自殺を何とか思い留まった。
「ロレシアさんの、呪いを解く方法はあるのですか?」
ギュダリアは、ジッとロレシアを見ながら聞いた。
「さあ、それは解りません。
今まで、呪いを解こうだなんて、思ったことありませんでしたから。」
ロレシアはハンカチで、涙を拭きながら言った。
「呪い、解ける、魔法の杖。
魔法の杖、呪った。」
グノスが、嬉しそうに、ギュダリアを見ながら言った。
「魔法の杖って、あの女神たちが持って居た?」
ロレシアがグノスを見ながら聞いた。
すると、グノスはロレシアを見ながら頷いた。
「ロレシアさんに呪いをかけたのは、女神だったのですか?」
ギュダリアが、ロレシアを見ながら聞いた。
「ええ、まだ幼い感じの女神でした。」
「じゃあ、それでかもしれませんね。
この空洞から外へ出ようとすると身体が痛むけど、中に居れば痛まない。
つまり、この空洞の中では、女神が掛けた呪いは、無効になっているんじゃないでしょうか?」
「幼い女神だったから、呪いの効力も弱かった?」
「可能性としては、あります。」
そう言うと、ギュダリアはニヤリと笑った。
次の日、ギュダリアとグノスは、女神が持って居る魔法の杖を奪いに行くことにした。
「それではロレシアさん、必ず帰って来ますので、少し待って居て下さい。」
ギュダリアがロレシアを見ながら、笑顔で言った。
「ロレシア、倉庫の中、食べ物いっぱいある。
必ず、待ってろ。」
グノスはそう言うと、ギュっとロレシアを抱きしめた。
「2人とも気を付けて。
必ず、無事に帰って来て下さいね。」
ロレシアはそう言うと、複雑な顔で、2人に手を振った。
グノスに続いて空洞を出ると、木々の合間から明るい光が差していた。
そこは、多くの木々が生い茂る森の中だった。
少しヒンヤリとするものの、地上と変わらない感じがした。
グノスが突然ギュダリアを見ながら、手を動かした。
「神、来た、伏せろ。」
ギュダリアはグノスと一緒に身を伏せ、ジッとした。
少し大きな、力強く羽ばたく羽の音が聞こえた。
ギュダリアとグノスの直ぐ上を、女神と男神が並び、翼を羽ばたかせながら飛んで行った。
女神と男神は、背中に白く大きな翼が着いていた。
女神は白いワンピースのような服を、男神は片掛けの白いシャツのような服と白く短いズボンのようなものを着ていた。
そして、女神は、片手に杖を持って居た。
女神と男神が飛び去ると、
「あれが杖。」
と、グノスがギュダリアを見ながら言った。
「あれを奪うんだな。」
「ああ、奪う、オレ達。」
2人は力強く言うと、神々が飛んで行った方へと歩き始めた。
旅人の記憶 天空への塔(前編) 木津根小 @foxcat73082
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