第27話 探偵団は最高だ!

それから、何度もルークたちと探偵団のお仕事をした。


神社に悩みの手紙が入っていれば、わたしが小さく書き直してポストにいれた。

ルークたちよりわたしのほうが安全なときは、わたしが調べたりもした。


わたしはルークたちと会えるのがうれしかった。

ルークたちがときどき神社に遊びに来るようになった。


神社の階段に座って、わたしがいなくなってからの話をたくさんしてくれた。


「この間なんて、朝家にいったらビリーがふたり分の食事を作ってたんだ」

「そんなんだー」

「だから、おれが食べた」

「はははっ、おいしいからよかったね」

「ああ」


「この間なんて、わたしのこと間違えてルナってよんだんだよ」

「そっか」

「わたしステラだけどっていったら、あ、ごめんだって」

「ふふふっ」


「でもそういうステラだって、フルーツジュース飲んでたとき酸っぱいねルナっていってたじゃん」

「そうだっけ? レオンだって呼んでたじゃん!」

「まあ」


「ありがとうみんな、わたしのこと忘れないでくれて」


わたしはうれしくて涙がでてきた。

そして思い出して泣けてきた。


「あたりまえじゃん、わすれるわけない」

「ありがとう」


そんな話をたくさんしてくれた。


この間は、ビリーをわたしの胸のポケットに入れて善吉さんのところに連れていった。


「善吉さん!」

「ビリーかい?」

「元気そうでよかったー」

「ビリー、お礼も言わずいなくなってすまなかったね」

「いえ、成功したんだと思っていました」

「すべて、君のおかげだよ」

「いえ、そんなことないです」

「いや、本当にきみのおかげだ。そして、るなくんもこうして無事に帰ってこれた」

「はい」

「ありがとう、ビリー」


善吉さんもうれしそうだった。

ビリーは善吉さんの手のひらの上で、泣いていた。

ふたりは本当にうれしそうに笑いながら、昔の話をしていた。

よかった、本当によかった。


――――


冬休みが終わろうとしていた。

冬休みは短いんだよな~

今日は朝から雪が降っていた。

道路にも積もっている。

こんな日はルークたちはこれないよな。

わたしは窓の外を眺めていた。

すると、木の上にフクロウのエルがいた。

えっ?

エル?

ルーク?

わたしは急いで窓をあけた。

すると、そこにルークとレオンとステラがいた。


「みんな、どうしたの?」

「ルナ! これを渡しにきた」

「なに?」


ルークたちは窓枠にきてさしだした。

それは、木の実でつくったネックレスだった。


「うれしい」

「こびとの世界ではその年の初めて雪が降った日に、仲間同士で木の実のネックレスやブレスレットを贈りあうって決まってるんだ」

「そうなの?」

「だからみんなでつくってもってきた」

「ありがとう、うれしい」

「でも、わたしなにもみんなにあげるものがない」

「いいんだ。ルナは探偵団の大切な仲間だから今日渡さないとと思ってきたんだ」

「あ、ちょっとまって」


わたしは、いいことを思いついた。

木の実はないけど、ビーズがあることを思いだした。

わたしは急いでみんなのネックレスを作った。

とはいっても小さいからあっという間につくれた。

ビーズで色を変えて作った。

ルークにはブルー系。

レオンにはグリーン系。

ステラにはピンク系

それぞれのネックレスをつくってみんなに渡した。


「「「ありがとう、ルナ!」」」


すごく喜んでくれた。


「これを、ビリーに渡してくれる?」

「わかった」


わたしはビリーのネックレスも作った。

ビリーのはグレー系でシックにまとめた。


そのあとは、部屋で話をした。

下から持ってきた、クッキーをだしたらすごくおいしいと喜んでくれた。

バナナジュースもとても喜んでくれた。

バナナはこびとの世界で見あたらなかったから、喜んでくれると思ってだしたんだよね。


それから、外から雪を集めて部屋に運んで、雪だるまをみんなで作った。

4体つくった。

それぞれ、ルーク、レオン、ステラにわたしの4体だ。

窓枠の外に置いた。

なかなか上手にできたのではないだろうか。

その雪だるまが解けるまで、わたしはずっと心が温かかった。


――――


冬休みが終わり、普通の日常がはじまった。

でも、こびとになる前となったあとでは気持ちが違った。

普通の日常が普通ではない。

毎日が特別な日になった。

特別だと感じるようになったのだ。


わたしは人間だ。

こびとにはなれない。

ルークたちとは住む世界が違うけど、少しだけつながっているだけで心が温かくなる。

心が落ち着く。

仲間がいるという安心感がある。


だから、大丈夫。

わたしは今日も学校に行く。

休みの日は神社のお手伝い。

そして、ときどき探偵になる。


最高の仲間たちと一緒に探偵をする。

最高だ!!


「ルーク! レオン! ステラ!」


「「「ルナ!」」」


ルークが声をあげた。


「よ~し、行くか!」


「「「おっけい」」」


今日も最高の仲間、探偵団と一緒に仕事をする。


わたし、こびと探偵はじめました……!!

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こびと探偵はじめました 柚子桃しずく @momoyuzu-sizuku

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