第26話 巫女になる
すずなさんの神社を探し始めた。
ローデン村からビリーといったときの記憶をたよりに歩いた。
湖を、鳥さんに乗せてもらって渡ったんだ。
このあたりだろうか。
水たまりがない。
この辺だと思うんだけど……。
あたりを探したけれど、鳥居が見当たらない。
わたしの記憶違いなのか?
しばらくこのあたりを探すことにした。
近所の人に聞いてみよう!
「あの、すみません」
「はい」
「このあたりに神社はありませんか?」
「神社? わかりません」
神社ではないのかな?
「では、鳥居があったりしませんか?」
「鳥居? 鳥居ならそこを右に曲がったらあるよ」
「ありがとうございます」
とりあえず、いってみることにした。
言われた通り右に曲がってみた。
すると、鳥居があった。
鳥居があるが、ここなのか自信がなかった。
鳥居をくぐり歩いた。
たしかに階段の横に、大きな葉っぱが何枚も階段のように連なっていた。
わたしはこの葉っぱに乗って上までいったの?
階段を上りきると建物があった。
そしてそこには巫女さんがお掃除をしていた。
「あの~」
「はい」
その巫女さんは振り返った。
「すずなさん!」
すずなさんでした。
「えっ? どなたですか?」
「わたしです。ルナです」
「えっ? ルナさん?」
すずなさんはすごく驚いていた。
「本当に、ルナさん?」
「はい、ルナです」
「これはどういうことなの?」
「わたし、人間だったんです。事故にあい、なぜかこびとになっちゃってたんです」
「そんなことあるの?」
「わたしも最初は驚きました。でも、探偵団の仲間に入れてもらって毎日楽しかったです」
「みなさん素敵ですもんね」
「はい、わたしが人間に戻るために協力もしてくれました」
「そうだったの……」
「わたし、これからも探偵団でいたいんです。どうか、わたしをここで働かせてください」
「えっ?」
「なんでもします。ここで働いて探偵団の役にたちたいんです」
「わたしだけではきめられないので、祖父に相談してきます」
「はい、どうかお願いします」
わたしは頭をさげてお願いした。
すずなさんが戻ってくるのを待っていた。
「るなさん!」
「はい」
「祖父に事情を話して、お手伝いを認めてもらいました。でも学校へはちゃんと行くこと、休みの日のみのお手伝いならお願いしますとのことでした」
「あ、ありがとうございます」
「よかったですね、これからよろしくお願いします」
「はい、すずなさん!」
わたしは巫女としてお手伝いすることになった。
――――
学校が休みの日には朝早くから神社に行きました。
賽銭箱の中を確認してお願いごとがないかチェックした。
今のところないんです。
わたしは冬休みに入りました。
冬休みは、毎日神社にお手伝いに来ています。
そんなある日、賽銭箱にお願いごとが書かれた紙が入っていました。
すずなさんがいうには、違う紙に小さく書き直してポストに入れるということでした。
わたしが書き直してポストに入れにいきました。
「るなさん、ようやくみなさんに会えますね」
「はい」
「よかったですね」
「はい、早く会いたいです」
それから3日たった日のことです。
わたしは神社のお掃除をしていました。
すると小さな声が聞こえてきました。
「すずなさん!」
すずなさんを呼ぶ声です。
わたしは振り返るとそこにはルークたちが立っていた。
「あっ! 違う!」
そういって逃げようとしたけど、みんな立ち止まって振り返った。
「ビリー!」
「ルナか?」
わたしは涙がでてきて、声が出なかった。
ただただうなずいた。
「「「ルナ!」」」
わたしはみんなに近寄り、座り込んで泣いていた。
みんなはわたしの足元に顔をうずめて泣いていた。
「ルナ、元気だったか?」
「はい、元気です。ビリーは?」
「相変わらずだよ」
「ルーク、この間家に来てくれたんでしょ」
「まあ、ビリーにシチュー頼まれたからな」
「うそよ、ルークはしょっちゅうルナの様子をエルに乗って見に行ってるんだよ」
「しょっちゅうじゃないよー」
ルークは恥ずかしそうにいった。
こんなやりとりが懐かしかった。
まだ、つい最近のことなのに……。
「ルーク、ありがとう。いつもルークが近くにいるような感じがしてた」
「そっか、気づかれてたか」
「ルークからルナの様子を聞けてわたしはうれしかったよ」
「ビリー」
「この手紙をかいたのはルナかい?」
「はい」
「すずなさんの文字ではないようなきがしてね」
「はい、わたしです。そして今回みんなで来るようにと付け足しました。ごめんなさい」
「そうだったのか」
「みんなに会いたくて。そして報告をしたくて」
「なんの報告?」
「わたし、すずなさんの神社でお手伝いしているの」
「だから巫女さんの姿しているのか」
「うん、今は夏休みだから毎日お手伝いできるの」
「じゃあ、毎日会いに来てもいいの?」
「ステラ! いいにきまってる」
「やったー」
「そして、わたし……探偵団を続けたいの」
「「「「えっ?」」」」
「みんなと探偵団でつながっていたい」
「うん」
「今日みたいに、お手紙を渡したり人間界のことならわたしが手助けができる」
ルークたちが声をそろえていった。
「「「それはたすかるけど……」」」
「ビリー、だめかな」
「お互いに無理をしてはいけないよ。本来、人間とこびとは一緒にはいられないんだからね」
「はい、わかっています」
「気をつけられるなら、いいだろう」
「「「「やったー!」」」」
わたしは、探偵団を続けることになった。
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