次の旅人へ
これで、この世界のことと、この世界で出会った少女の話は終わりだ。隣の部屋に、持ちきれなくて置いていった土産があるから、是非活用してほしい。
ルア…ハウの父、ハルはこう語った。
「ハウと一緒に、この世界で生きていきたい。ここまで一緒だった君たちに頼むのは酷だが、どうか、ハウを返して欲しい。―いや、返して欲しいのは彼女じゃないな。僕が、僕と妻がハウと共に過ごすはずだった時間を、返して欲しい。」
私たちは、それを受け入れた。元より私たちの度の目的はこの世界のことを知ることで、彼女を連れ回すことではない。
私たちは、自分でも驚くほどあっさりとルアと別れた。彼女は、とても幸せそうだった。
私たちの旅はまだ終わらなかった。ずっとずっと、歩いては新しいものを探して、世界を旅した。その度に知らない物、事、人に出会い、沢山の知識を得た。
詳細に語ると全く紙が足りないので、省くが、まぁそこは自分の目と足で調べて欲しい。
最後に、この世界は残酷でもある。旅をして、知れば知るほど自分を大切にしてくれた人を思い出し、二度と会えないことを思い知らされるからだ。私たちのような知性と理性を持たない、機械や道具や宝石なども全部そうだ。
だが、だからこそ彼らは新たな出会いを求めている。寂しいこの世界で、また自分を大切にしてくれる人を求めて。
どうか、君もそうあって欲しい。自分を大事にしてくれる人を、自分が大切にしたいと思えるものを、探して欲しい。
忘れじの地 鈴音 @mesolem
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます