実力をお見せします

 安穏の洞窟ダンジョン2階層に辿り着いた。

 最初はボス部屋を目指す事にしているので、1階層は最短距離で抜けたからラッキーだった。

 2階層を降り立った場所は、少し広くなっており、1階層の最初の場所と同じような空間があって、進む通路が4箇所ある。


「次はコボルトだな。とはいえ、リオンならコボルトも楽勝だろうけどよ」


「そうですね。それよりも、ボスはどんな感じ何ですか?確かロックバードって聞きましたけど、大きい鳥ですか?」


 ロックバードというか、伝説の鳥でロック鳥というのがいたよな。ゲームとかでも、偶に見た事あったしね。

 確か巨体な鳥っていう設定だったはずだけど、初級ダンジョンでそんな巨大なのは出てこないと思うが、ちょっと気になったので聞いておこう。


「そんなに大きくないぞ。体全体が石で出来てるような感じだな。鳥だけど、飛んでないし走ってきて体当たりしてくるな」


「そういう感じですか。ありがとうございます」


 あー。そっちか。ロックって岩の事だね。石も岩も曖昧な感じだからなぁ。確か大きさで呼び方変えるんだよな。

 体が石か岩か分からないけど、硬そうな感じだと思う。耐久力高くて、敏捷力は低い感じかな。飛んでないって話だし。

 初級ダンジョンのボスとしては、弱い方かもね。


 ユウジン副団長と話ながら、道を進んで行く。

 1階層と同じように一番左の道を選んだ。


 少し進んだ先に、獣の顔をした2足歩行で、腕は前にだらっと垂れ流した感じのゴブリンより少し低いぐらいの魔物が姿を現した。

 これはコボルトですね。分かります。

 顔は狼に似ているかな。何かマイルドにしたワーウルフって感じだ。

 さて、早速<鑑定>してみる。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名称:コボルト

種類:獣種

状態:普通

ステータス

 レベル:1

 体 力:15/15

 魔 力:5/5

 攻撃力:5

 耐久力:3

 敏捷力:3

 精神力:1

 抵抗力:1

スキル

 ひっかく

魔法

 なし

エクストラスキル

 なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 装備もないし、ゴブリンよりも少し弱いかな。

 スライムと同様に、<トリプルアクセル>で、光へと消えて貰った。


 魔石を拾って、先に進んで行く。

 突き当たりまで、真っすぐ進んだが、次の階層への道は見当たらなかったので、横へ逸れて進む。

 そこから、さらに真っすぐ進むが、行き止まりにあったので、道を少し戻りぐるっと回りながら、次の階層への道を探す。


 戸惑いの森では、すぐに次の階層への道は見つかったが、こうやってぐるぐる回りながら、探索するのがダンジョンの醍醐味だよな。

 俺は洞窟内を色々見ながら、コボルトを倒しつつ、進むとようやく次の階層へ行く道を見つけた。

 1階層でも思ったが、次の階層への階段は、この洞窟ダンジョンには合っていると思う。


 このまま階段を降りて、セーフティーゾーンまで着くと、ユウジン副団長が、


「少し休むか?」


 と聞いてきたが、俺は特に疲れてもいないので、


「大丈夫なので、このまま行きます」


 と告げて、そのままボス部屋の扉に向かって行こうとした。けれど、


「リオン、剣で戦うところを見せてくれないか?」


 どうやら、剣での戦闘を見たいらしい。

 剣で戦うのはいいのだが、何か目的があるのかもしれないな。

 ダンジョンに連れてきたという事は、ボス戦で俺の実力を見たいのかもしれない。

 ステータスプレートの内容を見せれば、すぐに分かるのだが、この世界ではそんなに簡単にステータスは見せないらしい。

 それこそ、冒険者として一緒に戦っていくような仲間には見せたり、あとは信頼の置ける者とかしか見せる事はしないようだ。ただ、別に見せてはいけない訳ではないし、特に気にしない人は見せてくれる事もあるそうだ。

 俺としては、今ここで見せてもよかったが、マニュアルの許可が出たタイミングで見せる事にした。


 なので、細剣と盾をしまい、白銀の剣を取り出して、


「いいですよ。僕の実力が分かるように戦いましょう」


「おっ、それは助かるぜ」


 どうやら、俺の考えは正解だったようだな。

 それなら、ちょっと本気を出すのと、中二っぽいが、考えた必殺技を披露しようかな。


 ボス部屋の扉を開けて、中に入る。


 ボス部屋は、戸惑いの森とは違い、先程の洞窟と同じような感じなので、少し暗く感じるし、広さも戸惑いの森よりも狭く感じる。


 部屋の中央には、1メートルを超える鳥が立っている。

 鳥に詳しくはないが、雰囲気は鷲のように見える。

 しかし、体全体に石が埋め込まれており、見るからに硬そうだ。

 まずは<鑑定>で、ロックバードを確認だ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名称:ロックバード

種類:鳥種

状態:普通

ステータス

 レベル:5

 体 力:80/80

 魔 力:20/20

 攻撃力:15

 耐久力:30

 敏捷力:12

 精神力:8

 抵抗力:25

スキル

 突進、つつく

魔法

 なし

エクストラスキル

 なし

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 装備もないし、ゴブリンキングよりも弱いね。

 戸惑いの森は中級ダンジョンに近いぐらいの難易度があるっていうのは、本当なのかもしれない。

 というか、これが本来の初級ダンジョンの難易度なのかもな。


 じゃあ、さくっと倒しますか。


 俺は白銀の剣を構えてから、一息吐く。そして……


「超絶秘技、一の剣 〈瞬斬〉」


 瞬間、ロックバードの目の前に現れて、一閃。

 ロックバードは縦に真っ二つになり、光の粒子となって消えていった。


「リオン……何、したんだ?、、アーツ……なの、か?」


 どうやら驚いてくれたようだな。

 実力を見せる為、本気を出したからな。


 とはいえ、別に何か特別な事をした訳ではない。

 ただ、思念発動で<身体強化>して、全力でロックバードの前まで走り、思念発動で<スラッシュ>を地面から滑らすように斬り上げただけだ。

 これはアル兄にも見て貰ったのだが、すごく好評だった。

 まるで目の前から消えていなくなり、魔物の前に突然現れたかと思ったら、魔物が斬られていた。

 まさに一瞬の出来事のように見えるらしい。


 ちょっと名前はあれかもしれないが、超絶秘技を3種類程、作ってしまった。

 一の剣、二の剣や一の斧、一の鎌などのように種類は増やせる感じだ。

 普段の周回で使う訳ではないが、今のような[見せ場]があれば使う予定ではいる。


 という事で、ユウジン副団長には実力をお見せする事が出来たと思うので、


「秘密ですよ。でも、実力をお見せする事は出来たと思います」


 ステータスを秘密にしたので、これも秘密だ。

 ステータスを教える時に、聞かれたら教えてもいいかもしれないな。


「そりゃ、秘密だよな。でも、実力は分かった。どうやら聞いてた以上の実力のようだな」


 どのように聞いていたか知らないが、聞いてた以上なら俺としても満足だ。


 とりあえず、木箱の中のポーションを回収して、この後どうするかを確認する。


「とりあえず安穏の洞窟ダンジョンをクリアしましたが、どうしますか?スペステの解放条件をやっていきますか?それとも、他に予定がありましたか?」


「夕方に特A校舎に戻ればいいんだが、それ以外は決まってないな。一応、スペシャルステージ、スペステ?の解放もやって欲しいが、これは今日中じゃなくていい。他のダンジョンを見に行くのもいいぞ。どうする?」


 ここのダンジョンもそうだが、王都にあるダンジョンは町の中にダンジョンの建物がいくつも立っている。

 そして、初級ダンジョンだと、ここから歩いて30分ぐらいの所に2箇所あるらしい。


 俺は考えた結果、安穏の洞窟ダンジョンのスペステ解放を目指す事にした。

 一番の理由は移動に時間をかけたくなかったからだな。

 次の行先の特A校舎が、5分程の場所にいるのに、態々遠くに行く事もないだろう。


 という訳で、次は安穏の洞窟ダンジョンのスペステ解放を目指しつつ、マップ作りをする事にした。

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チート貰えず異世界転生 〜レベルを上げたきゃダンジョン周回すればいい〜 ranotsuKi(ラノツキ) @ranotsuKi

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