安穏の洞窟ダンジョン攻略開始
ユウジン副団長に北側地区の食事ができるお店に連れて来られた。
入ったらお店の人に個室へ案内された。どこか日本の料亭に似た感じがする個室は、襖があれば雰囲気が出る感じだった。
「すごく高そうなお店ですね。ユウジン副団長はよく来られるのですか?」
「いや、大事な任務とかが終わった後の特別な時にしかこないぞ。リオンの予想通りここは結構高いからな。だが、それだけ美味いものが食える」
やはりお値段は高いようだ。そして、美味しいそうだ。王都の上級飯、期待大だな。
食事が来るまで、先程の事を話してみる。
「あの、先程の話なのですが、4大魔境には、結構お金かけてるのですか?」
「そうだな。4大魔境には莫大なお金をかけてるぞ。リオンは知らないかも知れないが、迷いの森に対応している人達の中には、王国の中でも相当の実力者がいるんだ。それこそ、俺よりももっと強い人達がな。それに必要物資が大量にいるから、金は相当いるんだよ」
意外だった。
ユウジン副団長は騎士団の副団長だから、それよりも強い人は少ないと思っていた。
そして、やはり迷いの森にお金を相当使ってるようだ。実際、国からの分以上に使ってそうだな。
それよりもユウジン副団長より強い人の話を聞いてみたい。
「騎士団の副団長より強い人はそんなにいるのですか?」
「俺より強い奴なんて、たくさんいるぞ。騎士団の団長だったら分からないが、副団長は言わば平民から出世して騎士団に入った中のまとめ役みたいな位置にいるからな。俺自身、そこまで強くないと思ってる。けどな、騎士団をまとめて、上手く立ち回るのが得意だから副団長になったんだ。コウガ副団長程では、勝てないかもしれないけどな」
そういえば、コウガも元は平民だったと、リカルドの手紙で知ったんだった。
それにしても、副団長より強い人は多いのか。平民のリーダー的存在な感じだな。
「なあ、リオン。平民が禁止リストのお金の流れだけを知ったらどうなると思う?」
話が急に変わったけど、何かあるのかな?
それにしても、難しい話だな。
「貴族がダンジョンの資源を独占していると知ったら、反乱する可能性があると思います。ただ、お金の使い道を正しく理解出来れば、何も制限しなくてもいいと思います」
多分、無理だろうけどな。
実際に危険な場所に、行かなければ分からない事だってあるし、同じ立場にならなければ分からない事は多い。
ユウジン副団長の思いを色々と聞いていたら、食事が運ばれて来た。この話は公爵様との話し合いの後にでもという事になった。ユウジン副団長も色々思う事があるのだろう。
それよりもお昼ご飯だ。
メインはお肉料理で、ステーキみたいだが、ステーキソースはない、あるのは塩が添えられているだけだ。
そして、スープにパンと、野菜も充実している。
ユウジン副団長が勧めるだけの料理だ。ステーキが塩だけで、肉の味を上手く引き出していて、めちゃくちゃ美味しい。
食事を堪能し、食後の紅茶を飲んでいると、
「今日はリオンに王都のダンジョンを教えておこうと思ってな。後はスペシャルステージを何とか解放して欲しい」
「はい。努力します」
どうやら、ダンジョンの事を公爵様に頼まれていたようだ。俺も公爵様の帰り際に、スペステの事はお願いされたからな。
そして、スペステを知っている人も王国内に、ほとんどいないようだ。俺からの情報だけど、本当にごく一部にしか知らせてないとの事だ。
俺のマニュアルを見せるのも、スペステを知っている人達だけで、話し合いをする事になっているらしい。
どうやら、スペンダー領からの情報は、かなり秘密性が高い事になっているようだ。俺の情報が……の方が正しいかもしれないが。
そして、とうとう王都のダンジョン攻略である。
そりゃあ、もちろん楽しみにしていたさ。それが例え初級ダンジョンだったとしても、戸惑いの森ダンジョン以外行った事がないのだから。
今から向かうのは、特A校舎の先程入った出入口とは反対側、北側の出入口から歩いて5分のところにあるダンジョンである。
初級ダンジョンの安穏の洞窟ダンジョン。出てくる魔物はスライム、コボルト、そしてボスのロックバード。
ふふふ。やはりいたようだな。憧れのスライムだ。
俺はスライムがメインのゲームや、スライムが主人公の漫画がかなり好きだった。そのスライムがこの世界には実在しているのだ。
ここ最近なかったが、テンションもかなり上がるってもんよ。久々に脳内ファンファーレが聞こえたよ。
「ユウジン副団長、早くスライムに会いに行きましょう」
「いや、スライムに会いにじゃなくて、まずはダンジョン攻略だぞ」
おっと、そうだった。
ダンジョン攻略だ。ユウジン副団長とパーティーを組む事になった。とはいえ、俺一人で攻略するように言われた。
そして、安穏の洞窟ダンジョンに到着した。
戸惑いの森ダンジョンの建物と作りが同じだが、違う場所が1箇所だけある。そう、表札だ。[安穏の洞窟ダンジョン]と書かれている。戸惑いの森ダンジョンは無かったんだけどな。
どうも表札は後から付けた感じだ。とりあえず、進んでみると、中もどうやら同じ感じだ。
とりあえず、装備を取り出す事にした。とは言っても、ダークネスローブとクロギアブーツの防具は着けている。あとは今回スキル上げする為に、鉄の細剣、メタルシールド、知的な首飾り、神秘の指輪を装備する。
鉄の細剣は鉄の剣の細剣版だ。所謂、レイピアだな。
そのまま、ユウジン副団長と一緒に入口の転移陣で安穏の洞窟ダンジョンへ向かう。
転移された先は、名前の通り洞窟のダンジョンとなっている。
「洞窟なのに真っ暗じゃないですね。ほのかに明るい感じで明かりが必要ないくらいです。他の洞窟のダンジョンもこのような感じなのですか?」
「初級の洞窟ダンジョンはこんな感じだな。だが、中級以上のダンジョンは明かりは必須だ。真っ暗で何も見えないからな」
なるほど、生活魔法のライトの出番がありそうだな。
それにしても、洞窟にしては意外と広いな。
スタート地点だからかもしれないが、少し先に進む道があるのだが、今回は4箇所も分かれている。
まずは左端から行こうかな。
一番左の道を進んで行く。道というか穴があってそこに道が続いている。通り道も思ったよりは広く感じた。もっと暗くて狭いイメージだったけど、普通に剣を振り回せるぐらいは広い。
少し進むとあいつが佇んでいた。そう、スライムだ。
スライムは思ったよりは大きいのかもしれない。横幅は50センチはあると思う。
水色の少し透明な感じで、横長の大福みたいな形をしている。
まずは<鑑定>でスライムを確認だ。
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名称:スライム
種類:スライム種
状態:普通
ステータス
レベル:1
体 力:10/10
魔 力:10/10
攻撃力:1
耐久力:1
敏捷力:1
精神力:1
抵抗力:1
スキル
体当たり
魔法
なし
エクストラスキル
なし
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
スライムよわーー。
これは子供でも勝てますね。そう思うとゴブリンは子供にはかなり強い魔物なのかもしれないな。
まあ、苦戦する訳ないので、サクッと鉄の細剣のアーツ、<トリプルアクセル>で倒す。
トリプルアクセルは、細剣の三連突きなので、間違っても三回転の跳躍ではない。
スライムは光の粒子になって消えたので、魔石を拾って先に進む。
「リオンは細剣を使うんだな?コウガ副団長からは剣を習ったんじゃないのか?アルスは剣を使ってたぞ」
俺もコウガからは剣を習っていたよ。
ただ、今はスキルのレベル上げをしているからな。
うーん。マニュアルの許可がどこまでの範囲か分からないからどうしたものか。
でも、副団長なら俺の事、かなり知ってるし教えてもいいけど、まあ少しぼかしとくか。
「マニュアルが見れるようになったらわかりますよ」
「強さの秘訣だったか。マニュアルがあるんだな。ならその時まで楽しみに待つか」
ユウジン副団長は、それ以降は詳しく聞いてはこなかった。
そこから、真っすぐ行っただけで、次の階層への道があった。これは戸惑いの森と同じ感じの階層への道だ。
道中は今のところ、最初のスライムを含めて3匹倒している。戸惑いの森ダンジョンの1階層よりも戦闘は少ない感じだ。
さて、次はコボルトだったな。コボルトもメジャーな魔物なので、早く見てみたい。
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