肝試しの次の日、俺はかのんちゃんに告白した。

すると、以外にも、かのんちゃんは即決でOKしてくれた。

「本当は、昨日、肝試しが中止になったこと、知ってたの。

中止の連絡を貰った時、丁度、リュウスケさんがお寺の方へ行くのが見えたから。

それで、リュウスケさんの後に、付いて行ったの。」

「そうだったのか。。。

かのんちゃん、ありがとう。」

「ううん。

それと、かのん、で良いよ。」

「そっか、じゃあ、俺もリュウスケって呼んでくれ。」

「うん。」

とりあえず、明日、世界が終わる事は無さそうだ。


1週間後、パソコン部の部活動の時、先輩からある話を聞いた。

随分と前にお寺の近くで起きた、殺人事件の事だ。

その事件では、犯人の男の知り合いであった女性と、たまたま近くを通りかかった男の子が、殺されたそうだ。

女性は男に追いかけられ、墓場へと逃げ込んだらしいが、墓石に躓き、転んだ所を、男に刺殺されたそうだ。

犯人の男は2人を殺した後、逃げようとして足を滑らせ、墓石で頭を打って死んだそうだ。


「もう、30年以上前の事だから、殺された人たちの霊も、居なくなってるだろうけどな。」

パソコン部の先輩は、あまり興味なさそうに言った。

その事は、かのんには、伝えないようにしよう。


あの夜、真っ暗な中、幽霊から逃げている時、俺は何故か足元がハッキリと見えていた。

そのおかげて、墓石に躓いて転ぶこともなく、逃げる事ができた。

きっとそれは。


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夏休み 肝試しと恋 木津根小 @foxcat73082

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